「へそくりウォーズ」の超レアキャラ“神松”から学ぶ、人生を幸せにするヒント|おそ松さんからの仏教

3COINSや歌舞伎とのコラボなど、まだまだ話題の尽きない人気アニメ「おそ松さん」。

おそ松たち六つ子の活躍を通して学べることを、今回も解説していきます。

本日のテーマは第21話「神松(かみまつ)」です。

ある日、突如現れた7人目の弟である「神松」。

出番は21話と最終回だけにも関わらずグッズ化もされ、人気アプリゲーム「おそ松さんのへそくりウォーズ」でも超レアキャラクターとして登場するなど、出番の少なさに比して強いインパクトを持つキャラクターです。

そんな「神松」によって地獄をみることになったおそ松たち。
おそ松たちを襲ったピンチから、人生を幸せにできるヒントを探っていきます

へそくりウォーズにも登場!7番目の兄弟「神松」とは?

ある日クズニートの六つ子はいつものように銭湯で湯船に浸かっていました。

ところが十四松は、六つ子にそっくりな謎の男がしれっと紛れ込んでいることに気づきます。

十四松は驚愕し、恐怖でガタガタと震えますが、他の兄弟たちは全く気付かず、寝る前になってようやく兄弟が七人になっていることに気づきます。

謎の男は自身が六つ子から生まれた七番目の兄弟「神松」だと名乗ります。

神松はね、皆(おそ松たち)が日々、人としての良い部分を零れ落としていく度に、その人としての良い部分が少しずつ溜まって出来た、まるで神のごとく清き松

完璧中の完璧、理想中の理想。

それが僕、『神松

説明が理解できない兄たちのために、神松はペンでスケッチブックに絵を描いて説明。

六つ子たちから「善の心」が流れ出て、神松になる様子が描かれていました。

神松は瞳の色が金色大きな福耳を持ち、常に穏やかに微笑んでいて、何となく神というより仏像のような外見をしています。

神松は、兄たちに何を求めるでもなく、微笑んでこう言います。

僕は皆のおかげで命を授かった。しかも着る服はある。寝る布団もある。
これ以上何を望むっていうの

神松登場から始まる六つ子たちの地獄…

神松は「おそ松たちの善の心が集まってできた」という本人の供述通り、毎日良いことをします。

おそ松には当たり馬券を贈り、カラ松のギターやサングラスをワックスで磨き、チョロ松にはライブの特別VIP席チケットをプレゼント。

一松にはたくさんのネコをプレゼントし、十四松には暴投をホームランで返してあげます。

トド松には合コンを企画し、たくさんの女子を集め、チビ太の屋台では1万円札を払って6人の兄達にご馳走。

六つ子たちにとって嬉しいことばかりもたらす神松によって皆幸せに…なるのかと思いきや、おそ松たちにピンチが襲いかかります

神松「そうだ!これ、お金。これから月々3万円ずつ、家に入れるから」

お母さん「そ、そんなのいいわよ…」

お父さん「お前!こんな金どこで…」

神松「え?僕もう働いてるよ。僕もう生まれて、5日くらい経ってるよ。家にお金入れるのなんて当然

お母さん「嬉しすぎる…全然産んだ覚えないけど」

お父さん「いや母さん!神松ちゃんの言うことは案外普通なのかもしれない!
我々は息子が、無職童貞であることをあまりに、受け入れすぎてしまっていたんだ!

お母さん「そうね、目が覚めたわ…待ってニートたち、いえ、クソ虫たち

お前たちはいつから仕事をするの?

周囲に親切で親孝行な神松は、両親からの愛を一身に受けるようになります。

そして両親たちは6人の息子たちが全員クズニートであるという家庭状況の異常さに気づいてしまい、「クソ虫たち」と六つ子を蔑むようになってしまいました。

そんな兄たちのことすら「人にはそれぞれペースってものがある」と神松はフォローします。

親切で親孝行な神松を見て、おそ松たちは…

二階の自室に戻った、おそ松たち六つ子は何やら話し合いをしていました。

神松を見習い就活をするのかと思いきや…

おそ松「神松が…こう部屋に入ってくるだろ?

そこをさぁ…はいィ!こう!!」

チョロ松「なるほど!即死だね!!

人の体ほどの大きさがある巨大なハサミを持ったおそ松が、神松を殺す予行演習をしていました

このままでは自分達の立場が危うくなると感じた六つ子は、神松の殺害計画を企てます。

トド松は大鎌、カラ松はガトリングガン、一松はダイナマイト、十四松は釘バットと物々しい凶器を準備し、神松を待ち構えました。

チョロ松「みんな最高だよォー!!マジで愛してるよォ~兄弟~!!」

おそ松「いやーこんな結末になるとはねえ」

トド松「しょうがないよ、あいつは父さんと母さんを正気に戻した」

チョロ松「しかも僕たちのことまでちゃんとフォローして…」

カラ松「あいつは何にも間違ったことはしてない、非の打ち所がない」

一松「だからこそもう殺すという選択肢しかないというこの矛盾…

十四松「人生難しいね!」

トド松「難しいね♪十四松兄さん♪」

六つ子「あはははは、あはははは!!!」

2階にやってきた神松に襲いかかる六つ子たち。

しかし六つ子から零れ落ちた、人としての良い部分をさらに吸収した神松は、イケメンになりパワーアップ。六つ子たちは全く敵いません。

そこへ六つ子たちが報われない片想いをしてきた幼なじみトト子ちゃんが現れ、神松をデートに誘います。路上でイチャイチャしまくる二人の姿を見て、六つ子たちは苦悶の底に落ちるのでした…

神松とおそ松たちから思い出す“三尺三寸箸”

全国各地に店舗を構える創作料理のビュッフェレストランに「三尺三寸箸」というお店があります。

店名の由来は仏教からきているそうです。

目の前に並んだご馳走の数々。

手元には、三尺三寸箸(およそ1m)もある長いお箸。

極楽では、向かいあった相手の口へご馳走を運び、食べさせてあげるそうです。

地獄では、どうにかして自分の口に持っていこうとして、いつまでも食べる事ができないそうです。

相手に喜びを与えることで、必ずその喜びが返ってくる

つまり「他人の為に生きることによって、自分も幸せになれる」という仏教の教えから”三尺三寸箸”の名を頂戴しました

そう、「三尺三寸箸」とは極楽にいる人と地獄にいる人の心を表現したお話だったのです。

ある物好きな人が地獄と極楽の見学に行ったところ、食事時で地獄の食卓でも極楽の食卓でも、1メートル以上ある長~い箸を使って食事をしていました。

地獄の人はその長い箸を使って自分の口にご馳走を入れようとするも入らず苦しみ、極楽の人はその箸で向かい側にいる人にお互い食べさせてあげるので、みんなご馳走を食べることができ、ハッピーになるのでした

神松は周囲の人にどんどん親切をして、愛され、恵まれていきます。

対して六つ子たちは自分たちが楽をすることばかり考え、神松が現れてから周囲の人に愛想を尽かれてしまいます。

まさに「三尺三寸箸」で描かれる極楽の住人と地獄の住人そのものではないでしょうか

「自利利他」の神松と「我利我利」のおそ松たち

前回記事では「4個」というお話でご紹介しましたが、「相手に喜びを与えることで、必ずその喜びが返ってくる」という仏教の教えを「自利利他(じりりた)」といいます。

 

他人を幸せにする「利他」の行動が、そのまま自分の幸せ「自利」になるという教えです

この「自利利他」の反対を「我利我利(がりがり)」といいます。

自分さえよければ他人はどうなってもいい
他人の心を考えず、自分の都合を優先させる。「我」つまり、自分の「利」つまり利益のみを考える心を「我利我利」というのです。

六つ子たちはまさに「我利我利」。

彼らは丸顔で可愛らしく、外見は”ガリガリ”とは程遠いですが、中身は自分たちだけがニート生活をしたい”我利我利”の心でいっぱい。

利他の心の大切さを示してくれる神松すら、自分たちが楽をするのを妨げる邪魔者としか思えませんでした

そんな六つ子たちは最終的にまっとうな人の心も失い弟を殺害しようとした、まさに我利我利亡者です。

しかしその結果、両親に蔑まれ、長年の想い人トト子ちゃんを神松に奪われ、おそ松たちは絶望のドン底に落ちていきます。

自利利他の心で生きる神松と、どこまでも我利我利な六つ子たち。
どちらの方が幸せになれるかは一目瞭然ですね

この後、物語は急展開します。その結末から、私たちが学べることとは…
次回に続きます。

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