「さとり世代」とバカにされる20代と、意味を知らずにバカにする人たち

もしあなたが20代なら「さとり世代」と言われたりしたことはないでしょうか。もしくは耳にしたり、言ったりすることがあると思います。

大抵からかいながら言われていることが多いです。最近では不可解な行動をとる「さとり世代」のコンビニ店員が漫画になり、話題になりました。これも変な人ということで、ウケをとっています。ネガティブな意味で使われている言葉になっていると思います。

しかし、その実態をご存知でしょうか。ということで、今日は「さとり世代」について紹介します。

さとり世代とは、欲がない世代?

「ゆとり世代は聞いたことがあるけど、さとり世代ってなんだ?」という人も多いと思います。まずはさとり世代の言葉の意味について説明します。

Wikipediaを参照すると

さとり世代とは世代の一つ。欲がないと言われている世代を指す。
さとり世代 – Wikipedia さとり世代 - Wikipedia

とあります。欲がない世代、達観してる世代といった意味合いでしょうか。

これまでの大人が欲しい欲しいといってきた、お金や家や車など富の象徴に対してそれほどまで、執着しないという行動が、達観しているように見られたのでしょう。それで欲がないとまで言われてしまっています。

世代的には、1980年代後半また1990年代の人たちを指しています。今の20代の人は、まさにぴったりハマるのではないでしょうか。

そして「ゆとり世代」とほぼ同じ世代なんですよね。「ゆとり世代」は、いわゆるゆとり教育を受けてきた世代に対して、言われ続けてきました。あの懐かしい総合の時間などがあった教育です。が、その表現がよろしくないということで、「さとり世代」が使われているとも言われます。

2015年の流行語大賞は「トリプルスリー」でしたが、この「さとり世代」は2013年の新語・流行語大賞にノミネートされた言葉でもあります。かなり認知されている言葉なのですね。

しかし実態は、いい意味で使われることはまずないと思います。つまらない人とも捉えかねないイメージですよね…。

そもそも「さとり」とは

そもそも「さとり」という意味について、理解しなければなりません。ただ単に欲がないとか達観してるとか、そういうレベルのものではありません。さとりについての認識の違いがここにあります。

さとりというのは、真理の体得のことを言います。真理というのは、古今東西変わらない真理を言います。仏教でいう因果律や諸行無常などの真理はもちろん、人生苦なりの実相から本当の幸せになる真理を体得することです。

これは口で「さとった」と言うほど易しいことでは決してありません。先達の仏教徒を見れば明らかです。

天台宗などの聖道仏教諸宗は、この真理を体得するために修行に勤めていました。その修業は苛烈なものです。

例えば、有名な修業の一つに「千日回峰行」というのがあります。これは奈良県の大峯山の頂上にある大峯山上本堂までの往復48キロの山道を1000日間、1日も休まず歩き続ける修行です。それだけでも驚きですが、その間所定の修行があり、食わず飲まずは当たり前、寝ることすら許されない時もあります。そうして自己と向き合い、煩悩を見つめます。信じられないような修行をしてまで、さとりを得ようとしているのです。

また禅宗開祖の達磨は、面壁九年の修行をしました。これは壁に9年間向き合い、座禅を組むという修行です。その結果、四肢が腐ってしまい、やむえず切断。今知られる達磨姿になったという伝説が残っています。

それくらい過酷な修行を通してまで得ようとするものが「さとり」なのです。覚悟という字も、それぞれさとりの意味ですが、相当な覚悟がないと「さとり」が体得できないことは、先達の姿を見て明らかでしょう。

「さとり世代」もそうですし、「オレ、さとっちゃったかも・・」といった言葉は、仏教のいう「さとり」からはかけ離れていることを知っていただきたいと思います。

いつの時代も揶揄され続ける若者たち

この「さとり世代」という言葉に、仏教のさとりの意味合いというのは、ほとんどありません。何となくのイメージで「さとり」とつけたのだと思います。

なので、「さとり世代」と言われて不快に思ったのなら、いっそ割りきって、よく分からない新世代をグループ化して落ち着けたいという、上の世代のやっかみくらいに考えるのがよいと思います。

こういった世代間のいざこざというのはいつの時代でもあります。上の世代が下の世代を揶揄するのは、常に行われてきたものです。少し上の世代だと「キレる世代」と言われていました。こちらは猟奇殺人がその世代に多かったことから、キレると何をするか分からないということで名付けられました。

またもう少し離れると「団塊ジュニア世代」というのもありましたが、こちらは別名「氷河期世代」と言われ、バブル世代からは哀れみを受けていたと聞きます。さらに遡れば戦時時代を生き抜いて来られたからしたら、そのバブル世代も恵まれすぎだと揶揄されていたこともあると思います。

このように、若者は常に揶揄され続ける宿命にあるようです。そしてそれを受けた本人たちが、若い世代をバカにするということが続きます。なんだか悲しいことです。

こういった、つまらぬやっかみに心奪われず、日々努力していきたいところです。また僕らも下の世代をバカにしてはいけませんね。気をつけたいところです。

参考URL

さとり世代とは (サトリセダイとは) [単語記事] – ニコニコ大百科 さとり世代とは (サトリセダイとは) [単語記事] - ニコニコ大百科