物と情報が多すぎることで不幸になる!選択過多のパラドックスについて

「夏だ。アツまれ」なんのことかと思ったら流行りのソーシャルゲームの宣伝。4人対戦できるのがウリのゲームだから”集”まってやってほしいというメッセージと、夏の”熱”さをかけた表現です。はたまた小栗旬が扮する桃太郎と犬・猿・キジがハリウッド映画ばりにデフォルメされた形で演じられているCMはコーラの宣伝。「FOREVER CHALLENGE」とうたうCMを、気づいたら全部見ていたという人は多いのではないでしょうか。

こういった宣伝文句は、テレビだけでなく、街を歩いても看板や屋外ディスプレイでもぶつかります。そしていまはスマホが普及し、スマホで見ている大半に広告が表示されています。それを見て知らずしらずのうちに購買意欲が駆り立てられています。こういった企業の買わせよう買わせようという意欲には驚くばかりです。

多数の宣伝があるということは、それだけ売るものが、買えるものがたくさんあるということです。ネットショッピングモールのAmazon(アマゾン)ではなんと販売されている出品数が5,000万点以上あります。本だけではなく、日曜用品や雑貨、今では靴や服といったファッション系も出揃い、また現物ではなく映画のデータの販売も進んでいます。これだけ充実すれば買えないものがむしろ少ないかもしれません。そしてこういったショッピングモールがリアルでもネットでもいくつもあるのです。どんな人の欲しいものもあるのではないでしょうか。

物のない時代を考えれば、現代幸せのことのように思います。しかし、本当に幸福を感じているでしょうか。選択肢が多いことが逆に幸福感を下げているという理論が最近話題になりました。

Figurine Collection
Figurine Collection / MartialArtsNomad.com

選択肢が多いと、人は幸福感を下げてしまう

心理学教授のBarry Schwartz氏は、選択肢が無限にあると、思考が麻痺してかえって消耗してしまうと説いています。ありえないような期待をしたあげく、間違った選択をしてしまったと思う自分を責めてしまうからです。
一般的には選択肢が多いほど良いとされていますが、彼の結論はまったくその反対です。かつてないほど選択肢の多い社会では、人は鬱になる確率が高くなるのです。
選択肢が多すぎると幸福感を損なうことがわかった件 | ライフハッカー[日本版] 選択肢が多すぎると幸福感を損なうことがわかった件 | ライフハッカー[日本版]

選択肢がないよりはあったほうがいいでしょう。しかしあればあるだけいいのかというとそうではないと言われています。

小学生の遠足のおやつ300円分で何を買うか。低学年のころからしたら300円というのは大金でした。欲しいと思っていた50円のグミが6袋も買えますし、うまい棒が30本も買えるわけです。ブルジョア気分を味わいながら、吟味に吟味を重ね、買うおやつを選択します。そして買った時は満足したものの、いざ遠足で他の子どものおやつを見た時に「ああ、あれも買っておけばよかった」という経験があります。隣の芝生は青く見える、です。

おやつ300円なら笑い話ですが、僕らは限られたお金と限られた時間の中生きています。しかし選択肢はほぼ無限。限られた命で何をすればいいのか、分からなくなることがあります。この状態が果たして幸福なのでしょうか。物が多くて悩み過ぎるくらいなら、ある種、選択肢が一つしかなく、それだけをすればいいという状況の方がいいように思えることもあります。

過剰に選択肢があると決められなくなるという原則は、ほかのものを選択する場合にも適用されました。結果としてその原則は、清涼飲料水を選ぶような日常に根ざしたことから仕事への満足度のような人生の重大な選択に至るまで、同様に適用されることがわかりました。
選択肢が多すぎると幸福感を損なうことがわかった件 | ライフハッカー[日本版] 選択肢が多すぎると幸福感を損なうことがわかった件 | ライフハッカー[日本版]

選択のパラドックスから抜け出し、より本質的に人生を見る

「選択肢が多い=幸せ」という公式は成り立ちません。どの選択肢をとるかの判断基準をもち、無駄に悩まないことが大事です。

車が欲しい。外車がいいか国産がいいか。色はシックに黒でいくのか、派手に赤にするのか。オプションとしてカーナビをつけるか、スマホのカーナビアプリで我慢するのか。選択の悩みは尽きません。土日でこういった悩みで時間を過ごす人も多いと思います。

金額の大きい買い物ほど、よく悩みます。しかし、それは本質的な悩みでしょうか。より大きな視点から言えばどちらでもそこまで大きく悩む必要はないかもしれません。

限られた命で悠長に選択に悩んでいる時間は私たちにはありません。選択のパラドックスにはまり、悩むくらいなら、もっと俯瞰的に人生を見つめられることをおすすめします。仏教では本質的な人生の捉え方が教えられています。