【東京タラレバ娘】「いくら『マシ』を数えたって、私の人生全然幸せじゃない」ーーー女子が幸せになるために必要な“幸せ観”とは

「あの時、あーだっ『たら』」

「もっと、こーして『れば』」

「『タラレバ』ばかり言ってたら

こんな歳になってしまった」

頑張ってないわけじゃない

でも、まだ幸せにたどりつけてない「タラレバ娘

もがきながらも、幸せ探して突き進むーーー

女子のリアルが刺さりまくる、共感度100%の水ドラ『東京タラレバ娘』

22日放送された最終回の平均視聴率は11.1%を記録しました。

原作は東村アキコさんによる講談社『kiss』で連載中の漫画作品です。

独身、彼氏ナシ、女子会中毒の全国のタラレバ娘に捧ぐ!

ショッキングピンク色の帯に書かれた恐ろしいメッセージを見て女性たちが次々と購入、累計発行部数は330万部を突破しました

苦しい社会で毎日懸命に奮闘しているけれど、なかなか幸せには程遠い… そんな私たちタラレバ女子が幸せになれるヒントを『東京タラレバ娘』から探ります。

(参考)「『東京タラレバ娘』からの仏教」第1回(この記事だけでも読めます)

東京タラレバ娘あらすじ「厳しい現実、だけど真実」…33歳独身女子・倫子に襲いかかる苦難の連続

「いい歳して『痩せたら』だの、『好きになれれば』だの

何の根拠もないタラレバ話でよくそんなに盛りあがれるもんだよな・・・

オレに言わせりゃあんたらのソレは女子会じゃなくて

ただの・・・行き遅れ女の井戸端会議だろ

そうやって一生、女同士で、タラレバつまみに酒飲んでろよ!

このタラレバ女!!

派手に失恋しヤケ酒を煽っていた主人公、アラサー脚本家の倫子は行きつけの飲み屋で女子会仲間とくだを巻いていたところ、初対面の金髪の男にののしられます。

失恋した相手であるAD時代の同僚・早坂は、10年前に倫子に一度告白してきた相手でした。

その時は早坂のダサさを理由に交際をすぐ断った倫子でしたが、10年経って彼はステキなディレクターになっていました。その早坂から食事に誘われたので、倫子は再び告白されると思い込み、気合いを入れてディナーに向かいます。

しかし早坂の恋の相手は、倫子の事務所で働く19歳のギャル、マミちゃんでした。

マミちゃんは高校生の彼氏がいましたが、今の彼氏とも早坂とも付き合うと言い、自分も10年前、とりあえず付き合ってみたら良かったと思うも、後悔先に立たず。

さらにライターとしての仕事も思わぬ災難が訪れます。

自分を「タラレバ女」とののしった男・KEYが、倫子が脚本を担当するネットドラマの配役に起用されたのです。

「日本中の夢見るおばさんに少女漫画みたいなドラマを提供するのがアンタの仕事?

このドラマには出ない、ダサいから」

脚本の筋書きをKEYから散々に酷評され、さらにはプロデューサーが別の脚本家を起用し、倫子は企画から外されてしまいました。

10年前に早坂と柔軟に付き合ってみたら、恋も仕事も成功していたかもしれないのも事実。倫子の脚本が毎回同じような展開で変化がなかったのも事実…

すべて真実だけれど、とても受け止めきれない苦難が倫子に襲いかかります。

その後倫子はKEYから、どうやら22歳のグラビア上がりの女脚本家が枕営業をしたことにより、自分は企画から外されたらしいと聞かされました。

怒り狂った倫子は箱根までプロデューサーとその女脚本家を追い、その晩旅館に泊まって大吟醸で泥酔しまくり。

自暴自棄になっていた倫子のところにやってきたのはKEYでした。

倫子の前に現れたKEYは思いもよらぬ発言をします。

「チャンスじゃんか、今。ネットドラマとはいえ出演俳優が目の前にいるんだぜ

あんたをこの企画から外した張本人が

さあ、俺に枕営業してみろよ」

何かあっただけマシ?何もないほうがマシ?他人と比較してしまう私たちの“幸せ観”

そのまま勢いで一夜を共にしてしまった倫子ですが、起きたら隣はもぬけの殻でした。倫子はまたいつものメンバーとKEYの行きつけでもある「呑んべえ」で女子会をし、泥酔しまくります。

倫子「いや~しかし、まさかあんな小僧に遊ばれるとは…」

香「…でも…何もないよりはマシじゃない!?」

小雪「えっ、やだあたし男にやり逃げされるくらいなら何もないほうが全然マシ

香「えーっ、小雪、あんたそんなこと言ってたらホントこの先何もない人生だよ

アタシは逆にちょっとうらやましくなってきた

ああやって心をかき乱されてる様子を見てると、うらやましーっていうか…それに比べてあたし…最近…っつーかここ数年、何もねえなっていう…

アタシは恋したい!胸がはりさけそうな恋したい!死んでもいいって思えるくらいの恋したい!」

毎晩『ゴシップガール』のDVDを見て心を乱しているだけの香にとって、倫子は自分よりよっぽどドラマティックでマシな人生に見えていたのです。

かくいう筆者も仕事から帰ってきたらボーイズラブ同人誌を読んで心を乱すだけの「非リア充」ですので、香の“何もねえな”という枯れた生活っぷりはよく分かります…

「何もない」毎日を送っている女子からすると、遊ばれただけでもイケメンと寝た倫子は「私よりマシ」に見えるのですね。

対して現実的でサバサバした性格の小雪は

「あたしはああなるくらいなら何もない方がマシだけどね

この歳で今さら苦しい想いなんてしたくない

だったら一人のほうがまだマシ

と倫子を冷ややかな眼差しで見ます。

小雪の恋愛対象は現実ライン。

普通の男と付き合ってごく普通の幸せを掴みたい堅実的な彼女は、倫子を見ていると「私の方がマシ」と思ったのでした。

同じ倫子の境遇を見ても、自分より幸せに見える人もあれば、私の方がマシと見る人もあるのです

タラレバ娘たちのセリフから分かる「他人と比べる“幸せ観”」の限界

何かあっただけマシ

何もないほうがマシ

誰からも相手にされないよりはマシ

一晩の過ちの相手がイケメンだっただけマシ

あの女より顔もスタイルもマシ

やりたい仕事でメシ食えてるだけマシ

もう33歳だけど40オーバーの独身女よりは 全然マシ

でも

いくら「マシ」を数えたって  私の人生全然幸せじゃない

倫子が泥酔した頭でぼんやりと考えていた“幸せ観”。

私たちが日々追い求めている“幸せ”の本質は、「◯◯の方がマシ」「◯◯よりはマシ」と、誰かと自分を比較して感じている幸せだったのです

しかしこの比較して得られる幸せには限界があります。

人は恵まれれば恵まれるほど、自分よりもっと幸せそうな人が視界に入ってくるもの。

反対に周囲をよくよく見れば、自分より劣った人、恵まれない人も目に入ってきますが、周囲より「マシ」だと感じて味わう幸せは、倫子がいうように

いくら「マシ」を数えたって  私の人生全然幸せじゃない

のです。

倫子とあまり年の変わらない自分からすると、倫子はとても「幸せそう」に見えます。倫子はテレビ制作会社に勤めていましたが、一般的な企業からするとテレビ業界は給料が桁違い。

恋も仕事も上手くいかないアラサー女の

使えるモノは貯金だけ

と高級エステに行くシーンが作中にありますが、私は薄給で高級エステなんて行ったことはなく、家賃や食費のやりくりに頭を悩ませている生活レベルです。

そんな私からすると、表参道の、キレイな夜景が見える家で恋人ができないことを嘆く倫子は贅沢な悩みで苦しんでいるように見えます(笑)

しかし当の本人は“私の人生全然幸せじゃない”と語っています。

誰かと比較して感じる幸せには限界があるのですね。

「幸せになれないってことは私達にとって死ぬのと同じ」

この街で

私達はいつも

何年も何年も

楽しいことを探して

ワクワクすることを探して生きてきた

若い頃は恐怖心なんて何もなくて

その先に何が待ってるかなんて何も考えず

カタカタと登るそのレール上の上で

期待ばかりふくらませて

きっとこの先には

未来には

素敵なことが待ってるって

私達は幸せになれるはずだって

表参道のきらびやかな首都の街で、恋に仕事に頑張ってきた倫子たちが求めていたのは、高く高く描いた周囲の女性たちより幸せという”幸せ観”の理想でした。

しかしアラサーにもなると、その“幸せ観”には限界があることが知らされてきたのです。

自分たちが高さを設定した国内最大級の高度から最大傾斜角89度で落下する超絶叫コースター

という例えで、そんな幸福を求める生き方の限界が描かれているシーンがあります。

自分達をアゲてアゲて

どこまでも無理やりアゲて

あとはきっと落ちるだけ

乗らなきゃよかったこんなもん

降りたきゃ途中で飛び降りりゃいいってか

嫌だそんなの死んじゃうよ

死ぬの

幸せになれないってことは私達にとって死ぬのと同じ

私たちタラレバ娘にとって、幸せになれないとは死ぬのと同じ

たとえ健康な体で先進国に生まれ育った私たちでも、衣食住が満たされて息ができたらちゃんと生きているのかと言われたらそれは「お前はもう死んでいる」状態な訳です。

しかし他人より『マシ』な部分を数えて感じる“幸せ観“は本当の意味で私たちを幸せにはしない

他人と比較しなくても心から女性を幸せにする生き方はあるのでしょうか。

実は2600年前にインドに生まれたお釈迦様は、誰かと比べなくても幸せになれる道を生涯説かれていきました

お釈迦様は生物学的には男性ですが、教えられたことは現代の“タラレバ娘“の悩みを解決する道だったのです。

このコラムではそんなお釈迦様が教えられた“幸せ観”をお伝えしていきます。

関心のある方は次回以降も読んで頂けたらと思います。