今年も開催されたAKB48選抜総選挙。
開票イベントはテレビ中継もされ、毎年とても盛り上がっていましたね。
その総選挙で6位になり、2年連続で「神7」入りを果たしたのがNMB48のキャプテン兼エースである山本彩さん。「さや姉」の愛称でお馴染みですね。
その山本さんについての記事で特に気になるものがありました。
NMB48の山本彩が、2015年4月14日に放送された日本テレビ系バラエティ番組『今夜くらべてみました』(毎週火曜23:59~24:54)で、「寝る前に毎日死を考える」と告白した。
「毎日死を考える」と告白した山本彩
番組では、「テレビで我慢している本当の顔」というテーマで、ゲストがテレビでは見せていない一面を暴露。
山本は「寝る前に毎日死を考える」と告白し、「幼稚園の時からです」と語った。そして、自身の頭の中を説明。
「自分が死んだ先にいつか時間がたったら人類も滅亡して、そしたら地球が空っぽになって、いつか太陽に飲み込まれてなくなって、でもその太陽にも寿命があるから、太陽もいつかなくなったらどんどん星が宇宙からなくなっていく。そしたら宇宙が空っぽになるから、自分たち人類が生まれ変わる可能性がなくなるやなって思うと…」と話した。MCのフットボールアワー・後藤輝基は「う~ん」と聞いていたが、最後は「はよ寝ろや!!」とバッサリ。スタジオは大爆笑だった。
山本さんが「毎日死を考える」と告白したところ、スタジオは異様な雰囲気に。あげくフットボールアワー・後藤さんに突っ込まれ、笑いのネタにされてしまいましたね。
バラエティ番組だからそんな反応になったというのもわかりますし、突っ込まれた山本さんは爆笑が取れておいしかったとも思います。
けれど…。
私はこのニュースを見て「山本さんって何て真面目なんだろう!そんな山本さんにこそ、仏教で説かれる無常観を知ってもらいたい」と思ったのです。
死を見つめることは、心から明るく生きる第一歩
あなたは普段、死について考える機会はあるでしょうか。
多くの方が「死を考えることなんて、ほとんどない」と答えると思います。
友人や家族との会話で話題に出ることはまずありませんし、むしろ死について触れようものなら
「死?そんな暗くなる話はやめよう」
「大丈夫?何かつらいことがあったの?」
と話を打ち切られたり、心配されることが多いでしょう。
だから山本さんが「毎日死を考える」と話したところ、
(何言い出したの、この子。ちょっと、大丈夫?)的な目で周りから見られたのですね。
しかし…。
死について考えることはそんなに暗いことなのでしょうか。
仏教では、死を見つめ考えることは、心から明るく生きる第一歩である、と以下のように教えられています。
ただ世間の生滅無常を観ずる心もまた菩提心と名づく
龍樹(ナーガールジュナ) – 2世紀のインドの高僧
生滅無常とは、生あるものは必ず滅する、すべてのものは常がなく続かない、ということです。
これはどの時代でも、どの国でも成り立つ真理ですね。
何百年、何千年と生きている人はおらず、人は必ず死なねばならないことも真理であり、無常とは私たちの死、とも言い換えられます。
その私たちの死を観ずる心が菩提心(ぼだいしん)である、と言われています。
菩提心とは「生きてきてよかった!という喜びがずっと続いていく心」のことです。「自分の人生、こんなはずではなかった」と後悔する心とは真逆の心なのです。
死を見つめることで、本当に大事なものだけが残る
なぜ死を見つめることが、心から明るい人生を送ることと関係があるのでしょうか。
それは…、死を見つめることで人生が有限だと知らされ、本当に自分にとって大事なものは何なのかがわかるから、です。
必ず死んでいかねばならない私が、死を目の前にしても、これ一つやらなければならない大事なことは何なのか。
死というフィルターを通すことで、本当に大事なものが絞り取られるのです。
故スティーブ・ジョブズ氏もスタンフォード大学のスピーチで死についての話題を取り上げ、常に死を考えていたと語り、さらに次のように話しています。
ありとあらゆる物事はほとんど全て…外部からの期待の全て、己のプライドの全て、屈辱や挫折に対する恐怖の全て…こういったものは我々が死んだ瞬間に全て、きれいサッパリ消え去っていく以外ないものだからです。
そして後に残されるのは本当に大事なことだけ。
Stay hungry, stay foolish. [和訳] スティーブ・ジョブズ スタンフォード大学卒業式でのスピーチ – stayfoolish
スティーブ・ジョブズについては以下の記事で詳しく書いていますので、参照なさってください。
仏教を学ぶ有名人:仏教徒スティーブ・ジョブズが語る無常観とは
自分の死を考えて見つめることで、本当に大事なことだけが残る。
その残った大事なことに時間を費やしてこそ、心から明るく、後悔のない人生を送ることができるのです。
突然ですが…。
子供時代を思い出していただきたいと思います。
子供の頃といえば、夏休みが来るのが待ち遠しかったですよね。
その夏休みを快適に過ごそう思ったら、どうするのがいいでしょうか。
言われるまでもなく、夏休みの宿題をいち早くやり遂げないといけないですよね。
宿題さえ早く終われば、残りの夏休みを心置きなく明るく楽しく過ごせます。
ところが、宿題が残っていれば、とても明るく過ごせません。
夏休みが終わりに近づくにつれて、どんどん不安が大きくなっていきます。
そして、夏休み最後の日になって
「わー、どうしよう!もう宿題、間に合わないよ!!なんでもっと早くからやらなかったんだろう」と泣きわめき、後悔してしまうのです。
夏休みの宿題くらいなら、大人になれば笑い話になりますが、人生というスパンではこうはいきません。
「どうしてもっと大事なことに時間を使ってこなかったんだ!」と後悔しても、あとの祭りです。
終わりを見つめ、本当に大事なことを知ることがいかに大切か、わかります。
山本彩さんにも届けたい!仏教の無常観
このように仏教を知られると、毎日自分が死ぬことを考える山本さんは、とても真面目な人生観を持たれているな~、と感じられると思います。
山本さんにもこの仏教の無常観が届くことを切に願わずにおれません。
死を見つめることは決しておかしなことではなく、それどころか、後悔のない明るい人生を送る上で不可欠です。
死を見つめ、本当に大事なことを知り、真面目に生きていきたいですね。