【活撃 刀剣乱舞】主題歌「ヒカリ断ツ雨」歌詞の意味が明らかに?第8話『歴史を守る』から知る、三日月宗近たちの「偽善」とは※ネタバレ注意

7月から放送中のアニメ『活撃 刀剣乱舞』。

ufotableさんによる圧倒的な映像技術が話題を呼び、既存のファン以外にも広く視聴者を獲得しています。

大人気ゲーム『グランブルーファンタジー』とのコラボが9月からスタートするなど、話題に事欠かかない人気ぶりです。

そんな『活撃 刀剣乱舞』のオープニング主題歌は『ヒカリ断ツ雨』。

作中に登場するキャラクター・鶴丸国永を演じる声優さんで歌手活動も展開する斉藤壮馬さんが歌う曲で、7月26日から先行で行われたフル配信ではiTunes 総合チャートで最高位1位を記録しました

筆者も一度聞いてハマってしまい、9月6日発売予定のCDも購入予定です。

ダークでカッコいいメロディライン、意味深な歌詞はとても惹き込まれますね。

先週放送された、第8話『歴史を守る』では、この『ヒカリ断ツ雨』の歌詞の意味と関連するシーンがあります

視聴者が気になっていた疑問にも答えを呈示した場面をご紹介、そこから分かる人間の「偽善」について考察します

三日月宗近や山姥切たちが語った「歴史を守る」本当の意味

刀剣乱舞の主役・刀剣男士たちは歴史を守るため、審神者(さにわ)という能力者に人の形を与えられた刀剣です。

刀剣男士は審神者に忠誠を誓い、その指示によって様々な時代にタイムスリップ。

歴史を改変しようと目論む「歴史修正主義者」が操る妖怪のような敵「時間遡行軍」と戦います。

『活撃 刀剣乱舞』では主人公・和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)率いる第二部隊の活躍が中心に描かれていますが、第5話『戦火』で和泉守たちは時間遡行軍の策略を見抜き切れず、江戸の街が時間遡行軍に乗っ取られた軍艦で砲撃されてしまう事態に。

帰還後、歴史を守れなかったのではないかと不安を抱えていた和泉守に主人である審神者は

「現時点で2205年の歴史は変わっていません。任務は成功です。

と微笑んで告げます。

しかし視聴者の間では

「江戸の街が砲撃で燃えたのに歴史が変わらないってどういうこと?」

「和泉守を安心させるために嘘をついているのでは?」

という考察が盛り上がっていました。

続く第7話では『活撃 刀剣乱舞』で描かれる本丸の精鋭チーム・第一部隊が主役に。

この第一部隊に新たに配属された刀剣男士・骨喰藤四郎(ほねばみとうしろう)が「歴史を守る」本当の意味について直面する場面が描かれています。

「これで本丸に帰還か…」

「いや。俺達にはまだやることが残っている。あともう一仕事だ。」

室町時代で歴史を改変しようとしていた時間遡行軍と戦い、勝利した第一部隊。

任務が終わり、これから本丸に帰還するのかと思っていた骨喰藤四郎は、第一部隊の隊長・山姥切国広(やまんばぎりくにひろ)にこれからやることがあると告げられます。

不審に思う骨喰は、年長者の三日月宗近(みかづきむねちか)に尋ねます。

骨喰「なぁ三日月…これから俺達は何をするんだ?」

三日月「今回はいつにもまして手のかかる任務だったろう?新種による辻斬り騒ぎ。犠牲も大きかった。」

骨喰「でも、俺達は歴史を守れたんじゃないのか?」

三日月「そうだな。任務として歴史を守ることはできた。」

骨喰「どういうことだ…?」

山姥切「俺から話そう。

俺達が守れた歴史はあくまでも『未来の大勢に影響がない』ということであって

未来が全く変わってないというわけではない

時間遡行軍が現れなければ、失われなかった命があり、燃えずに済んだ建物があり、傷付く事のなかった多くの痛みがある。

骨喰「あくまでも『審神者が望む歴史を守っただけ』と…」

山姥切「そういうことだ。だから俺達は、本来なら存在しなかった歴史に巻き込まれた者たちになんでもいい、何かしてやりたいと思ったんだ。

「時間遡行軍」を倒し、2205年の未来が変わらないようにする。

刀剣男士が主から受けた指令はそれだけですが、任務を完了しても過去の出来事の変化は確実に未来を変えてしまい、苦しむ人間がいることを三日月たち第一部隊は痛感してきました。

第5話『戦火』で幕末の江戸が砲撃されたあと審神者が「任務は成功です。」と言っても和泉守が納得できなかったのも同様の思いでしょう。

過去が変わったことにより、目の前で苦しんでいる人間たちに、何かをしたい。

その思いから任務が終わった後一日、たとえば炊き出しをして、傷ついた町の人に施すといった活動を自主的にしていたのでした。

骨喰「そうは言っても彼らが傷付いたのは俺達のせいじゃない…仕方ないじゃないか…

大典太「仕方ない?ならあれを見ても同じことが言えるのか?」

第一部隊の先輩・大典太光世の目線の先には肉親知人を失い、墓前で涙を流す人々の姿がありました。

大典太「実際に人は死んでいるんだぞ。

…残された人間たちを見て、何も思わないのか?」

骨喰「ッ…だからってこんなの自己満足…

欺瞞(ぎまん)でしかない

髭切「確かに欺瞞だけど…わからないかい?」

山姥切「俺達は時間を渡り歴史を守ってきた。

それと同じだけ、守れなかった歴史、犠牲になった者たちに対し、葛藤し続けてきた。

もし何か俺たちでできることがあれば…ただ、それだけだ。

だから一日だけその者達の為に何かをしてから、本丸に戻る。

それが俺達の決まり事のようになった。

もしお前が納得いかなければ、参加しなくても構わない。

何よりこれは審神者からの任務ではない。」

「偽善」は思いやりといえるのか、それとも欺瞞なのか。骨喰の疑問とその答え

第一部隊が傷ついた人間たちに施しをしている様子を見て、新入隊員・骨喰藤四郎は

彼らが傷付いたのは俺達のせいじゃない…仕方ないじゃないないか…

だからってこんなの自己満足…欺瞞でしかない

と反感を覚えます。

たしかに時間遡行軍によって死んだ人はいくら慈善活動をしたところで生き返らないし、傷ついた人の傷を取り去ることはできません。

新入りの骨喰にとって、第一部隊の行動は自己満足であり欺瞞である「偽善」にしか見えなかったのでしょう。

欺瞞とはあざむくこと、だますこと。

事実を誤魔化した自己満足でしかないと思った骨喰ですが、その後息子を失った母親と言葉を交わし、その苦しみの深さを知って戸惑います。

第一部隊の行動は偽善であり、意味のないことなのでしょうか。

刀剣男士たちが守っている歴史は日本の歴史ですが、その日本には「情けは人の為ならず」ということわざがあります。

このことわざの意味は「情けは人の為だけではなく、いずれ巡り巡って自分に返ってくる」という意味です。

情けを人にかけておけば、巡り巡って自分によい報いが来るということ。

情けは人の為ならずーーー大辞林 第三版

日本に古くから根付く仏教思想には「自利利他」という精神があります。

利他とは「他を利する」つまり、人に親切をしたり、三日月宗近たちがやっていた炊き出しのような施しをしたりすることです。

人を幸せにしようと「利他」をすれば必ず巡り巡って自分自身が幸せになる

これを「自利」と言います。

たとえ自己満足や、お礼の言葉を求めてしまう心が隠れた「偽善」であったとしても、親切は必ず自分に返ってくるという精神が日本には古くから伝わっているのです。

しかし近年「情けは人の為ならず」を、「親切はその人のためにならないからしない方が良い」と思っている若者が多いそうです。

自利利他の精神が日本から薄れてきているのかもしれません。

『ヒカリ断ツ雨』サビ部分の意味は山姥切たちの利他精神

止められない時のように 降り続く雨

視界を遮るから もう何も見えない

それでも今進むなら 鼓動を止めて

偽善と呼べば良いだろう

雲を断ツヒカリ

その意味を知ろう

『ヒカリ断ツ雨』の一番盛り上がる部分にある「偽善と呼べば良いだろう」。

苦しんでいる人間を見て、葛藤しながら「何かしてやりたい」と思った三日月たち第一部隊。

その親切心はたとえ自己満足であり欺瞞であったとしても、いずれ自身をも幸せにする尊い自利利他の精神には間違いありません

今年実写映画化する大人気漫画『鋼の錬金術師』第15巻にも、ヒロインの父親が苦しむ人たちを医療で助けようとする行為を「偽善者」となじられたときに

「偽善で結構! やらない善よりやる偽善だ!」

と言うシーンがあり、名シーンの一つとして有名です。

『活撃 刀剣乱舞』でも、主題歌『ヒカリ断ツ雨』が流れるオープニングムービーで

偽善と呼べば良いだろう

という歌詞の部分は、三日月宗近を先頭に山姥切たち第一部隊が佇むシーンになっています。

刀剣男士たちの美しさは、偽善と言われようと「やらない善よりやる偽善」と、葛藤しながらも苦しむ人間たちを助けようとする自利利他の精神を体現しているからかもしれませんね。

三日月たちが実践し守っている日本に、古くから根付く思想・自利利他の精神を、私も心がけられる人間になりたいと思います。