海外サッカーが開幕し、スポーツニュースも海外のサッカーの話題で盛り上がっています。特に日本人選手では香川選手が絶好調で大活躍していて嬉しいです。
そんな中、一つ、気になる記事を見つけたので紹介します。
C・ロナウドが最も恐れていることを告白「若くして死にたくない」
レアル・マドリードに所属するポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドが、自信にとって最大の恐怖が何かを明かした。28日、スペイン紙『スポルト』が伝えている。
スペイン誌『Libero』のインタビューに応えたC・ロナウドは、「僕が最も恐れているのは若くして死ぬことだ。僕は80歳か90歳で死にたい。若くして死ぬのは嫌なんだ」と、できるだけ長生きしたいという願望を口にした。
クリスティアーノ・ロナウドといえば、知る人ぞ知る世界的なサッカー選手ですよね。バロンドール(サッカーの世界年間最優秀選手賞)も3度受賞している、世界№1プレイヤーです。サッカーに疎いという人も名前は知っている人がほとんどではないでしょうか。
そのロナウド選手の年収はなんと97億円だそうで、破格ですよね。
世界で最も稼ぐアスリート3位のC・ロナウドは年収約97億円、メッシは4位に | ゲキサカ[講談社]
下世話ですが、1試合あたりの給料にすると約1億8千万円です。考えられない数字で、もう頭がおかしくなりそうですね。
そんなサッカー選手として最高峰の名声もお金も手中しているロナウド選手が恐れるものなどあるのか、と疑問に思います。少なくとも、お金がなくなってしまうのではないかという不安、仕事をやめさせられるのではないかのような不安はありませんよね。それだけのものを手に入れても、なお恐れていることが(いえ、それゆえにというのが正しいかもしれませんが)若くして自分が死ぬこと、と語っています。
名声や金を手にしても、なくならない死の恐れ
どんなに名声があろうが、お金を手に入れようが、死ななくなることはありません。ロナウド選手ほどお金があれば餓死の心配はさすがになさそうですが、病気になるかもしれませんし、事故に巻き込まれる可能性もあります。
サッカー選手のように激しいプレーをしていると、試合中に心臓発作で亡くなる方がおられるくらいです。今年の4月にも、前途有望なベルギーのサッカー選手が試合中の心臓発作が原因で24歳の若さで亡くなりました。
ベルギー期待の若手DFメルテンスが死去…試合中に倒れ処置も及ばず | サッカーキング
若いからといって、まだまだ生きていられる保証はどこにもないのですね。
若くして死ぬことになったなら…。
これまで稼いできたお金も使い切ることなく置いていかねばなりません。名声を称えられることもなくなります。こんなに苦しいことはありませんね。
手に入れてきたものが大きければ大きいほど、死によって失うものはあまりに多く、ゆえにロナウド選手は人一倍、若くして死ぬことを恐れているのかもしれません。
人間の普遍的な苦しみ -四苦八苦-
仏教を説かれてお釈迦様は、人間には古今東西変わらない苦しみがあると教えられてました。
それを「四苦八苦」といいます。日常でも、とても苦労したことを「四苦八苦した」と使われたりしていますが、元々は仏教の言葉です。
人間の普遍的な苦しみを大きく四つに分けて四苦、それにあと四つの苦しみを加えて合わせて八苦といいます。八苦についての説明はこの記事の主旨とは関連性が少ないため割愛します。
四苦は以下の四つです。
- 生苦
- 老苦
- 病苦
- 死苦
はじめの生苦(しょうく)とは、生きること自体が苦しい、ということです。
人生経験も浅い若いうちは「人生楽なり」ぐらいに思っていますが、社会に出ると生きることの苦しさを痛感します。特に人間関係の煩わしさに悩まされたことのない社会人はいないではないでしょうか。職場の上司はもちろん、同僚や家族、たとえ親しい友人であっても気を遣い続けてこそ長く付き合えのであり、距離感を間違えると築いてきた関係も崩壊します。
もちろん楽しい、充実しているときもありますが、それも長くは続かず、苦しみ・悩みを抱えていることの方が多いでしょう。
人生を深く見つめ35歳で自殺した小説家・芥川龍之介が「“人生は楽なり”というのは子供か狂人(頭のおかしな人)の言うことだ」と語っている通り、生きることの現実を知れば知るほど苦しみは深くなってくるのですね。
次の老苦は年をとることの苦しみ。病苦は病の苦しみのことです。
年をとっても、病にかかっても、これまで当たり前のようにできていたことができなくなってしまいます。体も思うように動かせなくなる。記憶力は衰える。この年ですでに芸能人の名前を思い出すのに一苦労です。
病気になれば食事制限で食べたいものも食べられなくなる。個人的にラーメンが大好きで、毎日でも食べていたいのですが笑 一度重い病気にかかってしまえばとても笑ってはおれず、つらい食事制限が待っています。
最大の苦しみは「死」
そして、四苦の最後が死苦であり、ロナウド選手が「最大の不安」と語っているような、四苦の中で最大の恐れであり、苦しみと教えられています。私たちが病気を恐れたり、地震や台風などの災害を憂うのは、その根底に「自分が死ぬかもしれない」という思いがあるからです。エボラ出血熱やMERSなどの伝染病で大騒ぎをするのは、それだけ致死率の高い病気だからですね。
かかった病気が風邪くらいならそこまで心配にもなりませんが、仮に末期癌と宣告されたならどうでしょうか。言いようもない不安におののくであろうことは想像に難くありません。そこまで不安になるのは末期癌と死が隣り合わせに思うからです。
それほど死ぬのが恐いのは、やはり今まで手に入れてきた名声や金、愛してきた家族とも離れられなければならないからです。ロナウド選手の一番の趣味は息子と遊ぶことだそうです。子ども思いのいいお父さんでもあると思うのですが、そのお子さんと過ごす幸せな日常をも奪わってしまうのが死なのですね。
この死の問題を解決してこそ、私たちは心から安心をして生きていくことができるのであり、仏教ではどうすれば死の問題の解決をすることができるのが教えられています。死を考えることは決して暗い気持ちになるだけのことではなく、心から満足できる未来に向かっての第一歩なのです。