皆さん、知っている韓国語はいくつありますか。
ハングルといえば「象形文字みたいだね」とか、「記号みたいだね」とよく言われます。ハングルの歴史についても、また機会があれば記事にしたいですが、今回は、韓国語には相手を思いやる素敵な言葉がたくさん詰まっていることを、ご紹介させていただきたいと思います。
気心しれた仲でもちょっとした気遣い
韓国人の連絡ツールといえば、友達同士で連絡を取り合うチャットアプリ、カカオトークですが、このようなラフなチャットの中でさえも、ほとんどの韓国人は結び言葉を使います。
例えば、“いい一日を(チョウンハル テセヨ)”や、“いつも健康で幸せでね(ヌル コンガンハシゴ ヘンボッカセヨ)”、“楽しい週末を送ってね(チュルゴウン チュマル ポネセヨ)”などです。初めて韓国人の友達から送られてきた時は感動して、素敵な文化だなと、とても温かい気持ちになりました。
このように韓国の方々は、チャットの終わりでも必ずと言っていいほど、相手をねぎらう言葉を贈り合います。
美味しい料理が二倍美味しくなる気遣い
他にも、日常的に自然と使われている韓国語の中に、相手を気遣う言葉があります。
例えば外食をした時、食堂のおばちゃんが“美味しく食べてね”と言いながら、注文した料理を出してくれます。最近、BIGBANG(韓国のアイドルグループ)のT.O.Pと共演した福田沙紀も、好きな韓国語BEST3の中にこの“美味しく食べて(マシッケ ドゥセヨ)”をランクインさせていました。そして
「日本でも、もちろん『どうぞ』などは言いますけど、『おいしく食べて』という掛け合いまではなかなか言う機会が少ないじゃないですか。そうしたちょっとした心遣いがすごく素敵だな」
と語っています。
食堂やレストランなどの外食先でなくても、友達がお菓子などをくれる時でさえも“美味しく食べて~”と言って渡してくれます。もらった側の返答もまた、“美味しくいただきます(チャル モグルケヨ)”と返します。この言葉がとても好きな私は、日本人の友達に対しても「美味しくいただきます」と言って頂き物を頂くようになりました。韓国語には、ちょっとした会話の中にもすてきな言葉をプレゼントしあう文化があるんです。
「ねぎらいの言葉をプレゼントすると幸せの花が咲く」とお釈迦様も教えられている!?
言葉のプレゼントといえば、仏教ワードにこんなすてきな言葉があることを最近知りました。それは、「言辞施(ごんじせ)」という言葉です。
仏教を説かれたお釈迦さまは、お金がなくてもできる7つの「布施(親切)」、無財の七施(むざいのななせ)を教えておられます。たとえお金持ちであっても、お金や物は有限です。ここを訪れる若い人であればなおさら、心があっても、なかなか誰かに何かを与えるほどの余裕はないという人も多いのではないでしょうか。そのような方でも大いにできる「善」と教えられているのが、この無財の七施なのです。
その中でも今回は、「言辞施(ごんじせ)」をご紹介します。「言辞施」とは、優しく温かい言葉をかけたり、ねぎらいの言葉を施すことをいいます。例えば、会社の同僚や先輩に「お疲れ様です」と言ったり、一緒に遊んだ友達に「今日は楽しかったね」とLINEを送るのもそうです。「いい一日を」や「美味しく食べてね」といった上記に挙げた韓国語もまた、相手をねぎらったり、相手を思ってかけている言葉ですよね。そしてその言葉を受け取った相手は幸せに感じ、またその相手から施しをした人へと、幸せのお返しが必ず来ると仏教では教えられます。
相手の努力や苦労に一言ふれると効果は倍!
言辞施って簡単だな!と思われた方も多いはずです。そうなんです。
ただあともう一つ重要なのは、その言葉はどれだけ相手を想って発した言葉かということです。
例えば、好きな人からプレゼントを貰ったとします。そこで「ありがとう」と機械的に言うのではなく、心から感謝の気持ちを述べないと意味がありません。もしかしたらその人は、そのプレゼントを買うためにわざわざ時間を割いてくれたのかもしれない、何がいいかを色々リサーチしてくれたのかもしれません。このように、相手のことを考え、「仕事忙しいのにありがとう。私がこの柄好きって覚えててくれたんだね」と本当の意味での感謝の気持ちを伝えることが大切です。すると、相手は自分の努力をわかってくれたんだと喜んでくれるはずです。
もちろんお世辞やおべっかを使うことではありません。相手の苦労や配慮に気づき、その上で、ねぎらいや感謝の気持ちを言葉にすると、今までよりもっと、相手との関係も上手くいくはずです。
そうすると、どうでしょうか。ねぎらいの言葉を掛けるということは、やっているつもりでも意外とできていないことが知らされるはずです。
簡単なようでとても難しい、というのも、このような言葉をかけるには、まずは相手の言葉に耳を傾け、相手を知らなければならないからです。しかし、「思いやり」さえあれば誰にでも、今すぐにでもできる幸せなタネまきです。心にかけて意識的に実行していきたいものですね。
(※文中に使用している韓国語訳は意訳している箇所があります。ご了承ください)