B’z「MONSTER」の意味と仏教で教えられる私たちの「欲望」

コロナの影響で延期されていた稲葉さん、松本さんそれぞれのソロツアー振替公演も無事に決定しました。

ファンとしてホッとしていた、そんな中…

B’zが5週連続Zepp羽田からの無観客配信ライブというビッグニュースが飛び込んできました!!

毎週のライブを全て違う選曲で行うことと、キーボード・ベース・ドラムを昔のサポートメンバーが務めるという点がファンにとっては衝撃的です。

筆者は特にベースの徳永暁人※がサポートメンバーを務めると聞いた瞬間に「おかえり、徳ちゃーん!!」と叫びました(笑)

※90年代後半と2000年代前半のB’zを支えたベーシスト。ZARD、倉木麻衣、大黒摩季などビーイング系歌手のサポートメンバーを務めたり、作曲・編曲を行う。ロックバンドグループ「doa」のリーダー。

今回はそんなB’zの2006年発売アルバム「MONSTER」のタイトル曲「MONSTER」の歌詞が私たちの欲望そのものだと感じたので、ガンガン掘り下げていきたいと思います!!

この記事はこんな方におすすめ

  • B’zが好き
  • B’zの曲の中でも重低音なサウンドの曲が好き
  • B’zの元サポートメンバー徳永暁人さんが懐かしい
  • 仏教で教えられる欲望についてもっと知りたい
  • 欲にはきりがないと感じている

B’z15枚目のアルバム「MONSTER」とタイトル曲「MONSTER」


2006年6月にリリースされたB’z15枚目のオリジナルアルバム「MONSTER」。

シングル曲「OCEAN」「衝動」「ゆるぎないものひとつ」「SPLASH!」を収録しています。

また、アルバム1曲目の「ALL-OUT ATTACK」はPV撮影を原宿のライブハウスで決行。

ファンクラブの男性限定でエキストラが募集され、筆者も当選して参加しました。

そんなアルバム「MONSTER」のタイトル曲「MONSTER」をどんどん深堀りしていきましょう!!

「MONSTER」の歌詞と意味

1番Aメロ

オイラの武器(ウェポン)の方が アイツのよりゃデカい
ってチンケな勝利にしか 快感見出せないMe

自分と相手を比較して、自分が相手より勝っている点、自分と他者を相対的に比べることでしか快感を見出すことができない、ということです。

自分が相手より上だといい気持ちになりますが、逆に相手が自分より上だと嫌な気持ちになりませんか。

同じ高校・大学に通っていた友人・同級生同士でも、年収・勤めている会社名といったところで「自分の方が上だ」と相手を見下すこともしばしばです。

同じ会社に入社した同期同士でも、表面上仲良くしていますが、なかなか出世できない人は、より早く出世した仕事のできる同期に嫉妬心を抱きます。

考えてみると、ちょっと怖いですね。

1番サビ

燃える欲望 どうにもこうにもならない
心に宿る 変幻自在のMONSTER
握ったこぶしを 振り回せど空を切る
黙って目を閉じ 見つめりゃいい
ハルカナル自由 ハルカナル勝利

私たちのどうにもならない欲望のことを、「MONSTER」と表現しています。

稲葉さんは、ファンクラブの会報の中で、以下のようにインタビューに応えています。

怪獣みたいなのがいて、それを倒して、一緒にやっつけるみたいなそういう“MONSTER”ではなくて、自分の中にいて、自分の感情と一緒に同じように形を変えていく、始末のできないものみたいな、そういうイメージがあったんですよ、捕まえられない的なもの。

上記内容を見ると、自分の感情と同じように形を変えていく、とあります。

自分の感情と同じように形を変えていく、とは、自分の感情を映し出している、とも言えます。

サビの歌詞に「燃える欲望」とありますね。

つまり、欲望=「MONSTER」であると言えます。

2番サビ

燃える欲望 どうにもこうにもならない
尻尾をかくして 神出鬼没のMONSTER
どんなに遠くに 逃げて行ってもついてくる
みんなで仲良く 灰になるまで
ハルカナル自由 ハルカナル勝利

「灰になるまで」とは、死ぬまで、ということです。

死ぬまで欲望のままに生きていく、死ぬまで欲望から逃れられない、ということを示しています。

3番サビ

燃える欲望 どうにもこうにもならない
尻尾をかくして 神出鬼没のMONSTER
憎らしいもの うらやましいものたち
許すことから はじめりゃいい
ハルカナル自由 ハルカナル勝利

サビにはすべて「欲望」がどんな「MONSTER」として現れるか、が示されています。

神出鬼没、いつどのような形で現れるか分からないのが私たちの欲望です。

仏教では縁と呼ばれる、きっかけ次第ではどんなことも起きてしまいます。

今は抑えられていて姿を隠している欲望も、もし欲望を駆り立てる何か(縁)があったら、私たちはたちまちのうちに「MONSTER」になってしまうのではないでしょうか。

仏教で教えられる人間の欲望

仏教では、欲望のことを貪欲と言われ、私たちに108ある煩悩の1つであると教えられています。

煩悩って?

煩悩とは、その名のとおり私たちを煩わせ悩ませる、つまり私たちを苦しめる心です。

自覚の有無に関わらず、私たちは煩悩によって日々振り回されて苦しんでいます。

ただ、それに気づいている人はなかなかいないのではないでしょうか。

そんな私たちを振り回して苦しませるなら煩悩なんてなければいいのに…、と思います。

毎日私たちを苦しませる煩悩は全部で108もあってビックリですね!

大みそかに除夜の鐘を108回つく理由はここにあります。

中でも恐ろしいものが3つあり、その中の1つが欲望で、貪欲と言われています。

煩悩については、以下の記事により詳しく掲載されていますので、より詳しく知りたい方はご覧ください。

仏教で教えられる煩悩とはなにか:煩悩①(仏教用語解説シリーズ)

貪欲って?

貪欲は、煩悩の中でも最も恐ろしい3つの煩悩の1つです。

なかったらなかったで欲しい、あればあったでもっと欲しい、そのようにきりがない人間の欲望のことを言います。

一言で言うと「何かを欲しがる心」です。

お金やモノが欲しい、恋人が欲しい、美味しいものが食べたい、やりたいことをやりたい、出世したい、認められたい、と限りなく求め続ける心であり、私たちがあらゆることをするきっかけ・原動力ともなっています。

この点からすると恐ろしいようには見えませんが、実はとても恐ろしいことなのです。

その貪欲にある欲望として、いくつかあげてみましょう。

食欲

何かを食べたい、と思うことです。

空腹時に食べるものは何でも美味しいですが、より美味しいものを食べたい、と思います。

テレビのグルメ番組で取り上げられた店に客が殺到するのはいい例ですね。

普段よりもより美味しいもの、よりよいものを食べたいと思います。

財欲

お金が欲しい、と思うことです。

アルバイトでたくさんのシフトに入るのも、会社で速く出世したいと思って頑張るのも、給料が上がってより多くのお金が手に入れることができるからですね。

欲しいものがあれば1円でも安いところで手に入れたい、と思うのも、お金が惜しいからです。

色欲

異性を求めること、恋人が欲しいと思うことです。

好きな人に愛されたいと思い告白し、プロポーズしますが、そういう人と結婚できたとしても、別の人がうらやましく思うこともあります。

名誉欲

褒められたい、認められたい、評価されたいと思うことです。

仕事を頑張るのも、上司から評価されて出世したいと思うためですよね。

それで認められないと腹が立ってしまいます。

睡眠欲

眠りたい、少しでも楽をしたい、と思うことです。

朝少しでも遅くまで寝ていたいと思いますよね。

そんな中で邪魔をされると嫌な気持ちになりますね。

貪欲の問題点って?

このように見ていくと、どの欲望も全く問題ないように思いませんか。

しかし、欲望には限りがないことと、本質的には自分のことしか考えていないことが問題なのです。

これを仏教で「我利我利」と教えられています。

これは、自分さえ幸せであればいい、人の幸せはどうでもいい、という考え方で、そのような考え方でいると必ず滅びるので、「我利我利亡者」とも言われています。

ほかにも、以下の記事により詳しく掲載されています。より詳しく知りたい・学びたい方は参考にしてください。

一日は欲望に追い立てられて終わる?仏教で教えられる貪欲とは:煩悩②

満たせば満たすほど乾く?限りない欲望の虚しさ:煩悩③

人気書籍と仏教:経営者が言われてならない「我利我利亡者」とは(HARD THINGSより)