『ドラゴン桜』という漫画、聞いたことありますか?
阿部寛さんが主演を務めたドラマもあり、知ってる人も多いかと思います。最高視聴率20.3%を記録し、話題になりましたね。
漫画のあらずじを簡単に説明しますと、弁護士・桜木健二は経営破産寸前のおバカ高校・龍山学園の運営問題を担当することになりました。
当初は清算する予定でしたが、桜木は全国初の試みをしてひと山当ててやろうと、ある試みをしたのでした。
その試みとは、龍山高校を進学校化して特別進学クラスを設置し、5年後に東大合格者100人を出すというものでした。特進クラスに入った水野直美と矢島雄介を偏差値30台から1年で東大に合格させるという物語です。
タイトルのドラゴン桜とは、毎年東大合格者を出す龍山高校のシンボルとして桜木が植えた桜のことです。龍山の龍の字をとって「ドラゴン」桜です。
ドラゴン桜では東大受験プロの特別講師による意外な勉強法や様々なテクニックが紹介されています。
また受験生の心理も鮮明に再現されていますし、教育者や保護者として知っておかなければならないことも書かれています。受験生にはもちろん、受験生を持つ親にも読んでほしい漫画ですね。
成績アップの要諦は「読む力」を養うこと
いろいろ参考になるところはあるのですが、今回は特に国語の芥山龍三郎先生の授業から学んでみましょう。
私も国語は苦手で、どう勉強したらよいのかわからずに苦労していました。
芥山先生は
国語こそがすべての教科の基礎、国語の充実なくして全教科の成績向上はあり得ない。数学、理科、社会の問題文は全て日本語であります。英語さえ日本語に訳して考えます。
ここで読解力が不足していると出題者の意図が読み取れずに正解までには至らない。
読解力、文章表現力を身に着けておくことが肝要。
と言っています。
「読む力」は、すべての教科に共通して重要な力だということですね。「読む力」とは、書いてある内容と筆者の意図をしっかりと把握できる能力のことです。
それを聞いて「そんなの当たり前じゃん」と軽視していた矢島君たちに対し、芥山先生は次の問題を提起しています。
【問題】次の詞から二人の関係と現在の状況を答えなさい
彼女は彼のひげを剃る
彼の髪を梳く
彼がいすを探すのも手助けするし、
彼のために料理もする。
彼の口をふいてあげるし、
外が見えるように窓も拭く。
彼のために本も読むし、
彼に呼びかける
毎日がおなじくりかえし。
彼女は、深いため息をつく。
彼がいなくてさみしいから
みなさんも考えてみてください。
「ひげを剃ったり料理したり彼氏のために尽くして、いい彼女じゃん。でも終わりにさみしいってあるから、彼には他に好きな女がいて失恋の歌だ」と矢島君たちは答えました。
しかし、それは全くの不正解。
正解は、
…
…
…
…
…
一組の老夫婦の日常を描いたものです。
彼は彼女のことが分からない状態だから毎日呼びかけ、二人が愛し合っていた頃と違ってしまっているからさみしいのです。
アルツハイマー病を患った夫への介護の日々の切なさ哀しさを表した詩であることが伺えます。しかし同時に、妻のやさしさ、夫への変わらぬ愛情も読み取れて温かさも感じます。
このように表面を撫でたような読み方では、受け取り方が全く逆になってしまうこともあります。
では、読む力はどうすれば習得できるのでしょうか?
それには正しく読むには常に「なぜ?」という疑問を持つことが大事だ、ということを芥山先生は訴えています。
文章を読んでいるときは、筆者に向かって質問を投げかけ議論をするのです。筆者とのキャッチボールに例えられましょう。
「なぜ」の疑問無くして核心や本質は読み取れません。だから「なぜ」の問いを常に投げかけてその訓練しなさい、という内容でした。
人類の営みの根底にあるのは「なぜ?」の問い
これは国語だけではなく、すべてにおいて通じる大事なことです。
「なぜ?」の疑問なくして文化の発展はあり得ませんでした。政治や経済、科学や医学など、ありとあらゆる人間の行いはすべてこの「なぜ?」を突き止めることから発達してきたのです。
医学でいえば、医者はまず患者を診察します。
発熱・嘔吐・倦怠感・身体の痛み・・・これらはみな結果です。それらの元となる原因は何なのか?なぜこのような病状が出ているのか?を考えます。
発熱の症状なら、熱止めの薬だけを処方して終わり、ということはありません。必ずその原因を突き止めようとします。原因がわからずして完治はあり得ません。原因を突き止めてこそ、その原因を取り除く新たな治療法が生まれ、医学は発展していったのですね。
不幸と幸福の原因を教えられた「因果律」
自分の人生においても、「なぜだろう?」と原因を考えることは最も大事なことではないのでしょうか。
私たちは日頃、幸福や不幸など、さまざまな結果が訪れます。一般にはこの結果というのは「運命」といわれますね。
運命ほど不可解なものはないともいわれます。幸せな運命を受けている人もいれば、中には「私だけがなぜ、こんなに不幸な目に遭わなければならないのか?」と嘆き、自分の運命を呪っている人もいるでしょう。
しかし運命を呪ったり、自分の不幸を他人のせいにしても、残念ながら不幸な運命は変わらず、ますます苦しむことになってしまいます。
不幸という運命が嫌なら、どうして不幸になってしまうのかという原因を正しく突き止めて、取り除くことが必要ですね。
幸せに恵まれたければ、幸せになる種を蒔いいくことが大事です。そうすれば、人生を変えることができるのです。
その運命の原因は、仏教の「因果律」を知られるとわかります。私たちが不幸を避け、幸せになれる法則が因果律からわかるのです。この因果律を知って実践してこそ、本当に幸せな人生を生き抜けるのですね。
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