なぜキアヌ・リーブスは質素で、施しをやめないのか。その根底にある仏教

キアヌ・リーブス。日本でこの名前を知らない人はまずいないと思います。『スピード』『マトリックス』は見ましたよね。つい先日も『ジョン・ウィック』のプロモーションで来日していました。言うまでもなく著名なハリウッド俳優です。

が、俳優ではなく一人の人間として、という点ではいかがでしょうか?キアヌ・リーブスの人間性にフォーカスして紹介したいと思います。

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波乱万丈なキアヌ・リーブスの人生

ハリウッド俳優として成功するキアヌ・リーブスを見ていると何ら苦労はないように思えます。しかし生まれながらして様々な苦労を抱え、その後も苦しみ続けているのです。

1964年9月2日、レバノンの首都ベイルートにて地質学者の父とダンサーの母親の元、生を受けました。父親はイングランド、ハワイアン、ポルトガル、中国の血を引いており、母親はイングランド人と複雑な血を引き継ぎました。そして血と同様に、家庭環境も複雑なものとなりました。

3歳のときに、父親が家出をしたのです。妻と家族を捨てた彼とは今もなお縁を絶っていると言われます。その後母親とともに育てられるのですが、母親も浮気癖があり、計56人との男と関係をもちました。違う男性を父親として迎えなければらならず、それに合わせて世界各地を転々としていきました。オーストラリア、ニューヨークシティ、カナダのトロントなど。ようやく落ち着いたトロントでも、5年間に4つも高校を通いました。心の休まる時はありませんでした。

そんな彼を夢中にさせたのがアイスホッケーでした。ゴールテンダーという相手からゴールを守るポジションで活躍しました。「The Wall」と言われるほど鉄壁な守備を見せ、最優秀選手にも選ばれました。プロを目指し、まずはカナダの代表としてオリンピックに出ることが何よりの目標でした。しかし、膝の大怪我を負い、夢の道は途絶えてしまいました。

ホッケーとは別に、もう一つの明かりだったのが、映画でした。千葉真一のアクション映画を見て育ったと言うほど、映画が好きだったキアヌ・リーブス。俳優になるために高校を退学しました。その後コメディ映画『ビルとテッドの大冒険』がヒットし、俳優として名を馳せていきます。

1991年には『マイ・プライベート・アイダホ』に出演し、親友であるリヴァー・フェニックスと共演しました。しかし、その親友を2年後に亡くしました。ヘロインやコカインといった薬物中毒によるものでした。「よく彼のことを思い出す」とその後も語ります。

ガールフレンドとも子どもを授かりますが、生まれる前に死んでしまいます。そしてその翌年には自らの運転により、事故を起こし、ガールフレンドもこの世を去ります。

質素を好み、施しをし続けるキアヌ・リーブス

そんな壮絶な人生を送ってきたキアヌ・リーブスは、他のハリウッド俳優とは一線を画すものがあります。

その一つに豪華なものを嫌い、質素なものを好むというのがあります。ハリウッド俳優というと映画の中でもオシャレですが、プライベートも派手なイメージです。きらびやかな服装にアクセサリーも散りばめ、高級車を乗り回しているのがお似合いでしょう。しかし、キアヌ・リーブスは全く違います。

服装や髪型のセットなどお構いなし。私たちと同じ、いやそれよりもひどいくらいの格好なのです。あまりのひどさにホームレスじゃないかという人もあるほどです。彼は言います。

シャワー嫌い、服装もヘアスタイルもお構いなし。シャワーやデオドラントより、今やらなければならない重要なことがもっとたくさんある
相変わらず不潔すぎる? キアヌ・リーブス、今年の夏もこの格好。4年前から変わらず。 | Techinsight|海外セレブ、国内エンタメのオンリーワンをお届けするニュースサイト 相変わらず不潔すぎる? キアヌ・リーブス、今年の夏もこの格好。4年前から変わらず。 | Techinsight|海外セレブ、国内エンタメのオンリーワンをお届けするニュースサイト

表面を着飾るよりももっと重要なものがあるんじゃないか、と彼は主張します。同じことを語る人は多いですが、実践する人は少ないでしょう。

そんな質素な格好をいつもしている彼は、どんな人に対しても平等に接します。ホームレスとも仲良くなり、楽しそうに話している姿がよくパパラッチに撮影されています。またインターネットでも「キアヌ・リーヴスだけど質問ある?」という掲示板を立ち上げ、フランクにやりとりをしています。

そして彼は様々な人に施しをしています。それも大きな額を継続的に続けています。質素な生活をし続ける彼にとって、映画で得られる大金は不要なもののようで、慈善事業にそのほとんどが使われます

施しで一つ象徴的な話があります。彼の代表作である『マトリックス』。シリーズ完結後、その成功は特殊チーム効果のおかげだと言うことで、チームメンバー全員にハーレー・ダヴィッドソンをプレゼントしたのです。ハーレー・ダヴィッドソン、ものによりますが、1台400万くらいするようです…。

また白血病にかかる実の妹キムのために、ハワイに24時間の医療体制であるコンドミニアムをつくってあげています。

キアヌ・リーブスの利他の精神は仏教から

質素な暮らしを好み、利他の精神にあふれ、また人から何を言われてもブレない。そんなキアヌ・リーブスは仏教を信奉しています。映画『リトル・ブッダ』にも出演し、ゴータマ・シッダールタつまりお釈迦様の役として出演しています。他にも仏教映画の製作に携わり、リチャード・ギアにも協力をしているそうです。

仏教では自利利他が教えられています。相手を幸せにすることが、自分の幸せになるという教えです。相手を幸せにすることが施しであり、仏教では「布施」と教えられています

布施する人をサンスクリット語では「ダーナ」と言います。夫のことを「旦那」と言いますね。これはダーナからきています。夫とは布施者であるべしという意味です。もちろん奥さんも布施者であるべきです。

しかし布施というのは口でいうほど簡単ではありません。なぜなら私たちは煩悩いっぱい、欲いっぱいだからです。自分のものを相手に与えるのは、自分の身体の一部を引きちぎはがすようなものです。特にお金のように大事にしているものほど、その執着は増します。親切は親を切るほど難しいと言われる由縁です。

キアヌ・リーブスはその施しをし続けているのは、仏教の利他の心を知り、施しの喜びを知っているからでしょう。見た目が質素なのも、喜びの本質を知っているからこそなのではと思われます。表面を着飾っていても心が虚しい人生よりも、見た目が質素でも施しで心が幸せな人生が大事と知っているからだと思います。

ハリウッド俳優としての才能をもち、人としても際立ったキアヌ・リーブス。その根底には仏教の教えがあるのです。

  • 参考URL

キアヌ・リーブス – Wikipedia キアヌ・リーブス - Wikipedia
キアヌ・リーブス、俳優の宗教 キアヌ・リーブス、俳優の宗教