無気力な若手社員を重役へと導いた“プラスアルファの魔法”とは? 「思考は現実化する」より

心理学の本と自己啓発書に読むことに熱中しているyu3です。

思考は現実化する」は1937年に出版され、全世界で1億部を売り上げた、最も多くの人に読まれている自己啓発書です。

Think and Grow Rich – Napoleon Hill Foundation

昨年の12月には『まんがで納得ナポレオン・ヒル 思考は現実化する』(きこ書房)が発売され、注目を集めています。

著者はナポレオン・ヒル。「思考は現実化する」には鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの見込んだ500人へのインタビューを通して体系化させた成功哲学が書かれています。(ちなみにカーネギーは、史上2番目の富豪と称されています。 アンドリュー・カーネギー – Wikipedia

ナポレオン・ヒルがインタビューした人の中には発明王トーマス・エジソンや、自動車の育ての親であるヘンリー・フォードなども含まれ、偉人のエピソードが数多く紹介されています。

それらの人のインタビューを通して体系化された成功哲学とは、どのようなものなのでしょうか。

成功の6つの原則

1953年に行われたナポレオン・ヒル・セミナーの冒頭演説で、ナポレオン・ヒルは「成功には6つの原則がある」ことを話しています。

その原則とは以下のものです。

    1. 明確な目標を持つ
    2. プラスアルファの努力
    3. 調和の精神
    4. 信念の現実化
    5. 自己規律
    6. 自然の法則

どれも大事な原則であり、1つとして欠くことはできませんが、ここでは2番目の「プラスアルファの努力」を詳しくお話しします。

この「プラスアルファの努力」こそ、すぐにでも実行でき、私たちを所属するコミュニティの中で特別な存在させる、魔法ともいえる原則なのです。

プラスアルファの努力とは

「プラスアルファの努力」は以下のように説明されています。

誰でも、自分に課せられた業務や仕事がありますが、業務を果たすことだけで満足するのではなく、常にそれより多くのことを、自分に期待されているよりも、もっと効果的に行わなくてはなりません。

Napoleon Hill, 田中孝顕(1999). 「序章 思考は現実化する!」 『思考は現実化する』 きこ書房

与えられた仕事をただこなすだけではなく、期待されているより多くのことを想像力を働かせ実行していくことが、プラスアルファの努力です。与えられた仕事すらやらずに、いかに楽をして給料をもらうことばかりを考えているのは論外ですが、与えられた仕事だけをしていても、とても成功することはできないのですね。

「思考は現実化する」にある、1つのエピソードを紹介します。

大きな印刷会社で見積もりを担当する若い社員がいた。彼は、客が書体のことではあまり注文をつけなかったので、そのことには注意を払わずにいた。だから彼の仕事は楽だった。

しかしそれでは、本当に仕事を知っている人間としての彼を特徴づけるものが何もない。私はそのことを彼に指摘した。

そこで彼は編集の勉強を始めた。それによって得た知識はやがて印刷物の出来具合に影響を与えるようになった。顧客から仕上がりの美しさを注目されるようになったのである。客先から「とてもきれいな印刷物を作ってくれたね」との褒め言葉をもらったのだ。そこで彼の上司は、この若い社員が会社の評判のために何をしてくれたかに気がついたのだ。

Napoleon Hill, 田中孝顕(1999). 「第9章 忍耐力を身につける」『思考は現実化する』 きこ書房

「客から苦情を言われなければいい」という、仕事に対して消極的であった若い社員が、ナポレオン・ヒルの忠告によってプラスアルファの努力をし、客から褒められ、上司も彼の変化に気付いたのですね。その結果、どうなったのでしょうか。

この青年は、それまでは会社でほとんど注目されない人間であったが、今ではこの会社の重役である
この青年は、プラスアルファの魔法を用いることによって、ちっぽけな給料とちっぽけな人間になることから自分自身を救ったのである。

Napoleon Hill, 田中孝顕(1999). 「第9章 忍耐力を身につける」『思考は現実化する』 きこ書房

ナポレオン・ヒルの忠告がなければ、客から喜ばれることもなく、上司から注目されることもなく、彼の一生は同じことの繰り返しで終わっていたかもしれません。プラスアルファの努力が彼の人生に劇的な変化をもたらしたのですね。

報酬以上の仕事は必ず報われる 「収穫増加の法則」

しかしこのエピソードを読まれて、「この若手社員の成功は偶然だ。たまたま、客に喜ばれ、上司に注目され、出世をしたに過ぎない。世の中、こんなにうまくはいかない。与えられた以上の仕事をして、それが報われるとは限らない。骨折り損のくたびれ儲けともいうじゃないか」と思われる方もいるかもしれません。

しかしプラスアルファの努力が報われないことは絶対にないのです。

「思考は現実化する」に以下のようにあります。

「報酬以上の仕事をすること」の原則について詳しく述べてみたいと思う。まずこの原則、あるいはノウハウが生み出すものは、プラスアルファの魔法である。

初めに、土地と農夫との関係から話を進めることにしよう。農夫は細心の注意を払って土地の下拵えをする。そして小麦の種子を蒔く。丹精を込めて育成すれば、やがて蒔いた種子の何千倍の収穫をもたらす。この仕組みが「収穫増加の法則」だ。これは、自然の原理(摂理)の一部なのである。

(中略)

この畑から収穫できるのは、小麦だけではない。“自然が教える重要な教訓”という宝物も収穫できる。このプラスアルファの魔法を自分のものとして仕事に応用すれば、労力以上の報酬を得ることができるのだ。

Napoleon Hill, 田中孝顕(1999). 「第11章 モチベーションを生み出す魔法のアイデア」『思考は現実化する』 きこ書房

小麦を畑いっぱいに蒔いたなら、蒔いた以上の収穫を得ることができるように、プラスアルファの魔法を自分のものとすれば、労力以上の報酬を得ることができるのです。これには何のごまかしも詭弁も含まれていないと断言されています。

ナポレオン・ヒルの長年の調査によってもそのことは自明になっています。

世の中には立派に成功している人がいる一方、同等の脳力を持ちながら成功しない人が多い。私はその理由について、半世紀以上にもわたって研究を重ねてきた。

そしてわかったことは、報酬以上の仕事をしてきた人は報酬以下の仕事しかしていない人よりも高い地位につき、高い報酬を得ているという事実であった。きわめて単純な結論だったのである。

Napoleon Hill, 田中孝顕(1999). 「第11章 モチベーションを生み出す魔法のアイデア」『思考は現実化する』 きこ書房

仏教で説かれる福田

「思考は現実化する」で書かれていることが仏教に説かれていることとも重なります。仏教でもお金や労働力を他人に与えて喜ばせれば、必ず与えた人の元に素晴らしい結果(福徳)が返ってくる、と教えられているのです。

私たちがお金や労働力を与える相手は田んぼにたとえられます。田んぼに苗を植えれば、苗はいったんは私の手元を離れます。しかしそれで損をした、と思う人はいないでしょう。収穫増加の法則と同様、秋になれば苗とは比較にならない価値のある黄金色の稲穂が実り、苗を植えた人の元に返ってきます。

ちょうどそのように、お金や労働力を与えることで、与えた人の元に何倍もの善い結果となって戻ってくるのですね。福徳を生み出してくれるので、与える相手は福田(ふくでん)といわれるのです。

ふくでん【福田】

仏教の用語。福徳を生み出す田地の意。
田に種子をまくと収穫があるように,仏,僧,父母,貧窮者などに布施すると,未来に功徳が得られるとして,布施する対象を福田といった。

福田(ふくだ)とは – コトバンク

蒔いた種子は必ず芽を出す

もちろん、目に見える結果となって返ってくるには時間がかかります。苗を植えて、その翌日に稲穂が実っている、なんてことは絶対にないですよね。苗なら稲穂になるまで4ヵ月はかかりますし、小麦なら収穫できるまで1年弱かかります。

同じように、プラスアルファの努力を行い、目に見える成果となるまでは時間がかかるでしょう。客にもなかなか喜んでもらえない。上司にも認めてもらえない。それどころか不当な扱いを受けることもあるかもしれません。しかし種を蒔かずして収穫が得られることは絶対にないのです。

日々、少しでも多く、成功へとつながる種子を蒔いていきたいですね。