仏教をはじめとする哲学や思想を学ぶ理由の一つに、ビジネスにおいても非常に有用であるからというものがあります。
最近以下の記事が話題となりました。
年収数千万円稼ぐエグゼクティブに共通する「20~30代でやってきた」6つのこと – リクナビNEXTジャーナル
この記事では株式会社リクルートエグゼクティブエージェントの森本千賀子さんが、年収数千万円以上を稼ぐ経営者や経営幹部が20代・30代でやってきたことを紹介されています。
人脈やロールモデルなどが語られていますが、哲学や思想について言及されています。
【5】思想、哲学を学ぶ
企業を訪問して社長室に通されたとき、本棚を見ると、ビジネス書に混じって歴史や思想、哲学の本が並んでいることがよくあります。そうしたセミナーに参加するエグゼクティブも多数いらっしゃいます。
言われてみると有名人として紹介したスティーブ・ジョブスや仏教僧侶でもある京セラ会長の稲盛和夫氏といった超エグゼクティブ層も仏教のような哲学思想を学んでいました。
なぜ彼らが哲学思想を学ぶのか、考えてみました。
Signing an executive order on the Employment of Veterans in the Federal Government / The U.S. Army
より次元の高い観点をもつために
経営層をはじめとする出来るビジネスマンは多くの本を通じて、知見を深めています。著名な経営者で本を全く読まない人は聞いたことがありません。自身が出版してることからも、読書量は伺い知れます。
そしてそのジャンルは多岐にわたっています。最新のビジネス書から純文学まで幅広く読んでいます。そうすることで様々な人間と会う経営層は、上手く対応することができるのです。また市場の動向を察知したりすることができます。直接話を聞くことや体験することも大事なことですが、効率的に学ぶという点において読書に勝るものはありません。読書は経営者において必須の勉強と言えるでしょう。
しかし、それらで得られるのは市場動向や流行りなどの、世の表面的な事柄です。もちろんビジネスにおいて、それらは非常に重要なものです。しかし将来の市場や人生を見据えた時に、それらしかないと知見不足に陥ります。
なので時代を経ても変わらない古典を読み、古の思想を学ぶのです。
先人の知恵、社会の原理・原則などを学ぶことで、重要な局面を迎えたとき、最適な判断を下すための指針を得ているのです。最近では「座禅」や「マインドフルネス(瞑想)」などにはまっているエグゼクティブも見かけることがあります。
そうして原理原則を学ぶことで、市場の遠い先を見据え、自己の人生を深掘りすることができます。
もちろん単純なハウツーではありませんから、5分読んですぐに活かされるものではありません。しかし役に立たないものこそが、後になって活かされることを知っている経営者は古典から哲学思想という通常読んでいる分野とは異なる世界を積極的に学ぶのです。
トラブルに耐えうる精神力を養うため
そして高次元な観点をもつことで、通常とは違った見え方ができます。
経営層にはトラブルが耐えません。それも会社の規模が大きくなればなるほど、予見できるトラブルは多くなります。優秀な経営者とはいえ、トラブルをゼロにすることはできません。
そんな時に物事の観点が多いかが、冷静沈着な判断ができるかのカギです。トラブルをトラブルのまま受け取るのではなく、「なぜそれが起きたのか」「原因はなにか」「どうすれば再発が防げるか」を冷静に決断することが求められます。
また、これらは精神の鍛練にもつながります。いかなる場合でも冷静に思考し、決断しなければならない立場の人だからこそ、必要なトレーニングといえそうです。
物事をありのままに見つめることを仏教では、諦観と教えられています。「諦(アキラカに)観(みる)」ということです。生や死について触れられる哲学思想を知ることで、目先は表面的なことを超えて、判断することができます。
人間の本質を知るために
ビジネスの相手は人間です。PCを前にする時間が長くとも、ビジネスを動かしているのは人間です。
またトラブルの元を辿って行くと、自分はもちろん相手や部下の人間に迫られます。そして人間の行動は心であり思想です。行動心理学で教えられているような表面的な行動原理よりもさらに深い、人を動かす思想を知ることは、ビジネス以上に価値があることです。
「汝自身を知れ」と言われるように、哲学思想は「人間とはなんぞや」という問いから生まれています。思想を知ることは人間の本質に迫る行為です。人間を知ることで、自分を知り、そして相手も知ることになるのです。
仏教も実機が教えられてる教えです。実機というのは「真実の機」ということで、本当の人間のことを言います。機械のように、誰かの作用や影響を受けて、どうにでもなってしまうため、機と言われています。
実機とはどういったものかを仏教で学ぶことで分かっていきます。
まとめ:深い哲学思想だからこそ、聡明な人は若い20代で学ぶ
遠いようで、ビジネスと関係が深いのが哲学思想です。
しかしこれら哲学思想は一朝一夕で学べるものではありません。歴史が長い分、その哲学は深いです。単純に理解できるものは単純ゆえ学べるものは浅く、なかなか理解できないものは、難解ゆえ学べることが深いのです。
ゆえに先を見据えた聡明なエグゼクティブほど、哲学思想を学ぶのは早い傾向にあります。
20代に限らず、今日が一番若い時です。哲学思想の中でもぜひ仏教哲学を学んでいっていただければと思います。