本記事は、2019年に公開され、Netflixで配信が始まった映画「ドラゴンクエストユアストーリー」のネタバレとセリフの引用を含んでいます。
音楽や旅行の印象が圧倒的に強いファントムです。
しかし、20BAのドラクエ好きといえばファントム。
ファントムといえば往年のドラクエ。
往年のドラクエファンである私は、昨年リリースされたゲーム「ドラクエウォーク」をやったことをきっかけに、昔プレイしたドラクエⅦのことを思い出しました。
そして、原作のドラクエをやり込みました。
そんなドラクエですが、最初のドラクエⅠがリリースされたのはなんと1986年で、30年以上も前です。
(自分の生まれる前で、B’zやミスチルのデビューよりも前!!)
最初のドラクエ1がリリースされた5月27日はドラクエの日として登録されました。
その後、現在までにナンバリングで11作品、派生形の外伝作品が20作品以上もリリース
されており、2019年8月にはシリーズ初の3DCG映画「ドラゴンクエストユアストーリー」
が公開され、話題を呼びました。
今回は、2019年8月に公開された映画「ドラゴンクエストユアストーリー」について、「酷い」「ファンの期待を裏切った最低な作品だ」「史上最悪の駄作」などと激しく批判され炎上した最後の10分間を中心に考察していきます。
映画「ドラゴンクエストユアストーリー」と原作「ドラクエⅤ」
2019年8月に、ドラクエシリーズ初の3DCG映画「ドラゴンクエストユアストーリー」が公開されました。
1992年発売のドラクエⅤ「天空の花嫁」をベースとしており、主なスタッフは以下のとおり、素晴らしい豪華陣となっています。
・原作・監修:堀井雄二
・音楽:すぎやまこういち
・総監督・脚本:山崎貴
・監督:八木竜一、花房真
・リュカ(主人公):佐藤健、大西利空
・ビアンカ(主人公の幼馴染で結婚相手):有村架純
・フローラ(主人公の結婚相手の一人):波瑠
・ヘンリー(ラインハット城の兵士):坂口健太郎
・アルス(息子):内川蓮生
・パパス(父):山田孝之
・サンチョ(パパスの仕え):ケンドーコバヤシ
・プサン(マスタードラゴン):安田顕
・スラりん(主人公の仲間):山寺宏一
・マーサ(母):賀来千香子
・ゲマ(宿敵):吉田鋼太郎
・ミルドラース(魔王):井浦新
ストーリーは1992年発売のドラクエⅤに沿っており、主に登場する城下町などは以下のとおりです。
・サンタローズ:主人公の故郷
・レヌール城:主人公が幼馴染のビアンカとともにお化けをやっつけた城
・ラインハット:旅の途中に立ち寄った城下町
・ゲマの城:主人公とヘンリーが10年間奴隷として働かされていた城。
主人公の母マーサも幽閉されていた。
・セントベレッサ:主人公とヘンリーがゲマの城から脱出した際にたどりついた街。
マスタードラゴンがいた。
・サラボナ:天空のつるぎがあると言われていた町。
主人公の結婚相手の一人であったフローラがいた。
ドラクエVの特徴は、何といっても主人公の結婚と親子3代における宿敵ゲマの討伐です。
これはほかのどのドラクエにもありませんね。
また、往年のドラクエは主人公が勇者であることが多いですが、このドラクエⅤでは主人公は勇者ではなく、主人公の息子が勇者です。
このドラクエⅣからⅥまでの3部作を「天空シリーズ」と言われており、私はこの天空シリーズ三部作が大好きです。
おおまかな映画のあらすじ(以下、ネタバレ)
主人公リュカの幼少期~青年期
主人公のリュカは、父パパスとともに、魔物に連れ去られた母マーサを探す旅に出ていました。
その途中、母マーサを連れ去ったゲマに遭遇し、父パパスは殺され、リュカはゲマの城で奴隷生活を送ります。
数年後、リュカと幼馴染のヘンリー王子は樽の中に入ってふもとの町に脱出し、プサンという老人に助けてもらいました。
そこで、ゲマが大魔王ミルドラースを復活させようとしている話と伝説の剣である天空のつるぎの話をプサンから聞きます。
その後、リュカは自身の故郷であるサンタローズに向かいました。
故郷の家にあった地下室でパパスの日記を見つけ、さらにパパスに仕えていたサンチョと再会します。
サンチョから、サラボナの街に伝説の武器である天空のつるぎがあることを言われて、リュカはサラボナに向かいました。
魔物に襲われていたサラボナの街で、大富豪ルドマンが天空のつるぎを保管していると聞き、天空のつるぎを手に入れるためのチャレンジに挑戦します。
リュカは見事にチャレンジをクリアしますが、天空のつるぎは魔物ブオーンに奪われた後でした。
リュカはブオーンに戦いを挑みますが、大敗し、逃げ込んだルイーダの酒場で幼馴染のビアンカと再会します。
再度ブオーンとの闘いの末、伝説の剣である天空のつるぎを手に入れましたが、リュカは天空のつるぎを鞘から抜くことができませんでした。
リュカは天空人の血を引いていなかったのです。
リュカの結婚
ブオーンの弱点を見抜きブオーンに忠誠を誓わせた後、大富豪ルドマンの娘であるフローラにプロポーズします。
しかしその後、怪しいおばあさんから「結婚について悩んでいないか」とピンク色の液体を渡されました。
フローラの父に結婚の取り消しを依頼すると、セントベレッサの街にマスタードラゴンがいることを教えられます。
実は怪しいおばあさんは、フローラがリュカの本心を探るために変装したものでした。
そして、ビアンカにプロポーズし、見事に成功します。
その後、息子アルスが誕生しますが、リュカの居場所を見つけたゲマたちの襲撃によりリュカとビアンカはともに石化されてしまいます。
一方のアルスはサンチョの手で魔物たちから逃れました。
天空の勇者アルス
8年後、石化を解くストロスの杖を手に入れたアルスは、リュカの石化を解きました。
石化を解かれたリュカは石化を解いたのが息子であるアルスであることを知り驚きます。
アルスに天空のつるぎを渡し、アルスは見事天空のつるぎを鞘から抜きます。
天空のつるぎから青い炎が燃え上がり、ギガンテスを一瞬で倒しました。
アルスは天空人の血を引く勇者であることが分かり、リュカも感動し、さらにサンチョも再会して感動する、作品中最も胸が熱くなるシーンの1つです。
その後、リュカはゲマの城に行くため、マスタードラゴンの手がかりを得ようとします。
そこで、ゲマの城から脱出した際にお世話になったプサンに会いに行きました。
実はプサンはマスタードラゴンが人間に扮していたのです。
しかし、プサンはドラゴンオーブがないとマスタードラゴンに戻れないことが分かり、しかもドラゴンオーブをなくしたことが発覚しました。
そこで、リュカはゲマの城に行くために必要なドラゴンオーブを手に入れるために、妖精の元に向かいます。
幾多の試練を乗り越えて妖精の元にたどり着き、ドラゴンオーブを手に入れました。
この場面でドラクエⅣのフィールド曲「馬車のマーチ」が流れたときに筆者は胸が熱くなりました。
そしてマスタードラゴンにゲマの城に連れて行ってもらい、ビアンカの石化を解きます。
母マーサと再会しますが、ゲマはマーサの結界を解き殺害。
魔界の門を開きました。
「ゲマ・・・貴様・・・!!」
リュカはゲマとの死闘の末、息子アルスとともにゲマを撃破。
アルスが天空のつるぎを魔界の門に入れ、魔界の門を閉じました。
ドラクエのボスの中でも、ドラクエⅤほど憎いボスが多いと思う人は突出して多いのではないでしょうか。
大きな波紋を呼んだ最後のシーン
アルスが天空のつるぎを魔界の門に入れると、魔界の門は閉じますが、リュカの周りのものすべてが色・形を失っていきます。
息子アルス、妻ビアンカ、天空のつるぎ…
そして、ゲームの中では大魔王として登場するミルドラースのウイルスと称する者が登場します。
最後の最後で復活した大魔王ミルドラースは、実はミルドラースと置き換わって世界に介入したウイルスでした。
そのウイルスにより、なんと、この世界がかつてのドラクエⅤをリメイクした仮想現実の世界だったことが判明します。
そのウイルスと称する者は、リュカにこう言いました。
「大人になれ」と。
実は、ある社会人がかつてのドラクエⅤの思い出を元に、ゲームセンターでドラクエⅤをしていたのです。
この映画はそのゲームの中の世界だったのです。
リュカはこう反論し、何とかミルドラースのプログラムに打ち勝とうとします。
「ゲームも1つの現実だ!!」
しかしミルドラースの圧倒的な力により追い詰められてしまいますが、突如リュカとともに行動していたスライム「スラりん」が現れました。
スラりんは、リュカに対してこう叫びました。
「実は私はこの世界を監視していたアンチウイルスなんだ。このワクチンを使え!!」
そして光り輝く剣(ロトのつるぎとそっくりの剣)になり、主人公はその剣でミルドラースのプログラムを撃破します。
すると、ビアンカ、アルスなどリュカの周りのものすべてが元通りになり、ゲームの世界では花火が打ちあがります。
そして、この映画は、リュカの「そうだ、僕は勇者だったんだ」というセリフで締められていました。
このセリフは、最後のシーンの衝撃を和らげるためのセリフだと筆者は感じました。
観客が感動のクライマックスを期待していたところで、主人公が周りのもの全てに裏切られてしまうこのシーンが、「とても酷い」と言われています。
上映終了後、会場の空気が一変していたというツイートもあったほどでした。
監督のメッセージと秀吉の辞世の句
監督のメッセージ
夢から覚めるような最後のシーンですが、最終的にゲームの中のリュカの周りの世界は元に戻り、ハッピーエンドとして丸く収められています。
この映画を通して山崎監督は、以下のメッセージを送りたかったと感じました。
ゲームはゲーム。現実をしっかりと見て、自分の人生「今」を生きてほしい。
でも、ゲームを通して自分の人生を切り開いた人もいる。
ゲームという「夢」から覚めた世界である「現実」を生きよ、ということです。
人生という「ゲーム」
ドラクエはあくまでゲームであり現実ではありません。
現実ではないことを「夢」と表現できますが、人生もゲームと同じく「夢」であると言えます。
私たちは「人生」というゲームを生きています。
私たちの人生には進学・就職・転勤・結婚などのイベントがあります。
人生はドラクエでいう冒険で、辛いこともあればいろんなロマンもありますね。
しかし、ふと振り返ってみると、「あれは何だったんだろう」と当時の出来事が夢や幻のように感じることがあります。
天下を統一した豊臣秀吉も、晩年にこのような辞世の句を残しました。
「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 難波のことも夢のまた夢」
※以下の記事にも詳しく記載されています。
天下を統一し、さらに朝鮮にまで攻め入ろうと栄耀栄華を極めた秀吉でした。
しかし、死んでいくときに、人生は夢のまた夢だった、と言いました。
このように人生が儚いことを、電光朝露・夢幻の如しや、一炊の夢・邯鄲の夢とも言われています。
気になる人は調べてみてください。
この「ドラゴンクエストユアストーリー」の最後の10分間は、人生が夢幻であり、朝露のように儚い人生であることを見つめて、何のために生きていくのか、立ち止まって考えることがとても大切であることを示しています。
夢のような人生だからこそ何のために生きるのかが大切だということを示しています。
いろんな意見はありますが、私はこの2点から、この映画は大波乱を呼んだ最後の10分間を含めて、とてもいい映画だと強く感じました。
DVD化されているので、是非ともあらためて見てもらえたらと思います。