こんにちは。みつどんです。
2016年は人工知能ブーム!毎日のようにニュースなどで人工知能について語られてました。
私の勤めている大学の本屋にも、ずっと人工知能コーナーが設置されていて、多くの人が立ち読みしています。
こういう光景を目にするとビジネス書の読書が趣味の私としては、思わず反応して読み始めてしまいました。
人工知能はどのように進化するのか、そして人間の価値はどのように変わるのか。そこには、想像をしていたよりも深い世界が広がっていました。
人工知能の未来と、人間の価値について考察します。
ベストセラー『人工知能は人間を超えるか』で明かされた人工知能の未来
人工知能のビジネス書すべてに共通して書いてあることは、意外と近い将来に、ものすごいイノベーションが起きるだろうということ、そして、21世紀は人工知能の世紀になるだろうということです。
人工知能の本の中で、最もビジネス書として注目されている本は、東京大学の松尾豊准教授の「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」です。
アマゾンのレビューは 2016年11月現在、☆4.4、レビュー数181件であり他の追随を許さないベストセラーになっています。
松尾先生の本の特徴は、言い過ぎ感がなく、少なくともここまでは進化するだろうという論調で書かれていることです。そのため大変信用できます。
その松尾先生でもハッキリと予言していることは、2020年、つまりあと4年後には自動運転車と自動翻訳が実現するだろうということです。
今は人工知能といえば、iPhoneのSiriの珍回答に盛り上がるということ位しか接点がありませんが、その裏では、私たちが想像できない、とてつもない速さで人工知能は進化しているようです。
自動運転車と自動翻訳が実現すれば、トラックやタクシーの運転手は失業してしまうし翻訳家も失業してしまいます。
しかしこれはまだ序の口で、もっととてつもない未来が私達を待ち受けています。
世界のあり方を変えてしまう「汎用型人工知能」の登場
例えば、駒澤大学の講師の井上智洋氏は、2030年には汎用型人工知能が開発され、世界のあり方まで変えてしまうと予言しています。
汎用人工知能が登場すると、仕事、雇用の状況は一変してしまうでしょう。作業をオートメーション化するどころか、人間と同じような振る舞いができてしまうのですから。
自動運転車や自動翻訳といっても、それは特化型人工知能。つまり特定の仕事しかできない人工知能であり、応用・融通が効かないため、本当の意味では人工知能とは言えません。
しかし2030年に出現するだろう汎用型人工知能は、上司が部下に命令するような事務仕事が全てできます。
20人~30人位の会社なら、社員を一人も雇わなくても、社長と人工知能さえあれば成り立つようになります。
例えば、汎用型人工知能となったiPhoneのSiriに「この商品の市場の動向を調査をして、レポートにまとめてメールしてね」といえば、レポートをつくってメールで送ってくるということまでできるようになります。
しかも人間が1週間かかることを1時間でできてしまいます。
どうしてそんなことができるのか。
革新的な機械学習「ディープラーニング」の特徴
1つ目の理由は、コンピューターの性能の向上です。
2016年現在、ヤマダ電機で10万円くらいで売っているコンピューターの処理速度はネズミの脳くらいですが、2020年代には人間の脳の処理速度に達します。
そうなれば、会話も人間同士のようにリアルタイムでできるし、人工知能がカメラセンサーで見たものを人間のように一瞬で正確に判断ができるようになります。
それに加えて、近年、ディープラーニングという革命的な人工知能学習が開発されたことが2つ目の理由です。
ディープラーニングの詳しい仕組みはここでは書ききれないため、松尾先生の「人工知能は人間を超えるか」を読んでもらう必要がありますが、簡単に言うとコンピューターが自ら学び、賢くなることができるシステムです。
例えば、ディープラーニングを搭載したDQNというゲームをするプログラムは、カメラセンサーでゲーム画面を撮して、人間がゲームのルールを一切教えずに、ただ、このスコアを増やすのだよ、ということだけを命令します。
すると、例えばテトリスやピンボールのようなゲームをやらせて、最初はとても下手でも、繰り返すことによって、どんどん勝手に上達をして、なんと、やらせた49個のゲームの中、29個のゲームでは人間には決して出せないハイスコアを記録したというのです。
これと同様に、仕事をカメラセンサーで見させて、仕事のあるべき姿を教えてあげるだけで、自分でどんどん良い仕事のやり方まで考えて学んでいくというのです。
やがては工場も全て自動化されて、燃費の今より20%良い車を開発して日本で100万台つくってくれと命令すれば、勝手に人工知能が考えてつくってくれるのです。
すさまじいことです。
仕事の9割が消失?人工知能発達で生じる「失業問題」
今、人工知能が急速に発展している分野は、携帯電話カメラの顔認識のような、カメラセンサーによる画像認識、つまり人間で言うところの視覚情報処理です。
次に人工知能が身につけるのは聴覚です。マイクセンサーで人間の言葉を聞き取って意味を理解する力です。
「言葉」はあらゆる動物の中で人間しか使えない特別な能力であり、人間を万物の霊長たらしめた力でありますが、近い将来、これを人工知能が習得することとなります。
日本の経済は「失われた20年」と言われて、経済成長が鈍化して元気がなくなってしまっていますが、人工知能が進化したならば経済成長は爆発的な伸びをします。
日本の将来は少子高齢化で働き手がいなくて困るどころか、2030年には、人間にしかできない仕事ほとんどなくなり、失業問題の方が深刻化しているかもしれません。
小説家や映画監督、発明家、研究者、経営者、プロジェクトマネージャー、介護士、看護師、インストラクターといった、クリエイティブ系・マネージメント系・ホスピタリティ系の仕事しか残らないだろうと言われます。
そうなれば、全人口の1割の人しか仕事をしていないか、会社で何もやることがない、社内失業状態になってしまうのです。
おもてなしの精神は、人工知能が苦手とすることなので、今後私たちが身につけるべき能力は人工知能を上手に使う力と、おもてなしの力になるのかもしれません。
人工知能発達で迫られる「価値観・人生観の訂正」
人工知能発達の失業問題を、なんとか国の政策で乗り越えられたならば、やがて人間が働かなくても生きていける世界が実現します。
しかしそうなった時にこそ、人間は自らの価値を見直す必要に迫られます。
先述の井上先生は「現代の人達は有用性に取り付かれている」と言っています。
それは、自分のやっていることが何かの役に立つか立たないかが一番の行動基準となっており、役に立たないことをやっても意味がない、と感じてしまうことです。
しかし有用性に取り付かれているままでいると、自動翻訳や自動運転によって、人間にとって語学力や運転免許は役に立たない、意味がないものになってしまいます。
やがては、汎用型人工知能によって人間の事務処理能力が役に立たないことになってしまいますので、多くの人間は生きる価値を失ってしまいます。
また人工知能が発達しなくても、歳を取れば知能や体力が衰えて若い時のように役に立つことはできなくなるのですから、生きる価値がなくなってしまう、とも言えます。
すると、人間は何をして生きていくべきなのか、自分の本当の価値とは何なのか、という価値観の訂正が必要になるのです。
人工知能によって自分の価値が駆逐される前に、今すぐにでも、有用性の追求以外の人生観を身につけるべきだと思います。
そのヒントが仏教にあります。
仏教では、人間には人工知能の発達や加齢によっても変わらない、普遍的な存在価値があることを教えています。
その普遍的な存在価値を教えられた言葉が「天上天下 唯我独尊」です。
「天上天下 唯我独尊」について詳説した記事がありますので、興味が湧いた方は読んでみて下さい。
仏教で説かれる人間の存在価値とは何か、ぜひ知っていただきたいと思います。