今が楽しければいいの?55歳からのハローライフから学ぶ老後のリアル

今、20代なら、30年、40年先、自分が高齢者と呼ばれるような年齢になった時、はたして自分はどんな生活を送っているでしょうか

なかなか自分の老後のイメージは湧かないものです。しかし、この本を読むとよく分かります。

NHKでドラマも放送されたので、ご存じの方も多いかもしれません。

NHKオンデマンド 55歳からのハローライフ NHKオンデマンド 55歳からのハローライフ

5つの短編小説のどの主人公も皆、人生の終盤に差し掛かり、体力は衰え、気力も萎え、経済的にも厳しい状況で、どのように生きていけば良いのか、いや、どうやって生き延びていくか、今、蓄えはどれだけあって、この先どれだけ必要なのか。退職金はどれだけ出て、年金はどれくらいもらえるのか。その額で足りるのか。足りなければ、他に何かあてはあるのか。無ければ、定年後も働くしかないが、再就職先はあるのか、いや、働くどころか、身体が不自由になって誰かの世話にならなければ生きていけなくなったらどうだろう。誰が面倒を見てくれるだろうか。・・・

シビアな現実に、よろめきながらも必死で生きていく人生の先輩たちの姿がそのまま描かれています。身に迫った問題として危機感を煽られる小説です。

この先、しかも、そう遠くない未来、途中で死なない限りは必ず直面する問題に対して、準備はできているでしょうか。

今を生きるのさえ必死なのに、これから体力や能力、気力が衰え、今と同じように仕事をすることができなくなったら、どうやって生きていけば良いのでしょうか。

先のことを考えるのは無意味か

「そんな先のことを考えたって暗くなるだけだよ、それよりもっと、今、目の前の楽しいことを精一杯やっていけば良いんじゃない?」

確かに、そうかもしれません。何十年も先のことなど、対策どころか、想像もできませんし、定年後に後悔しないために今どのように生きれば良いのかなんて、誰にも分からないかもしれません。

ただ、だからといって、今さえ楽しければ良いのだ、と開き直ってしまうのは、あまりに危険ではないでしょうか。必ずやってくる将来をしっかり見据えて、何か対策や準備をしておきたいところです。

イソップ童話の『アリとキリギリス』では、バイオリンを鳴らして毎日遊びほうけていたキリギリスに対し、働き者のアリたちは真夏の猛暑の中、汗水垂らして、やがてやってくる寒い寒い冬のための準備をしていました。

冬はずっと先かもしれない。今日一日遊んだからといって、明日すぐに困るというわけでもありません。

でも、そうやって、今日も大丈夫、明日も大丈夫だろう、明後日も・・・と先延ばしにしているうちに、いつの間にか、どうにもならない事態に陥っています。

やがて冬が来ることはキリギリスも知っていたはずなのに、将来の備えを溜める努力をしてきたアリたちとは大きな違いができてしまっています。自分が、アリとキリギリス、どちらの結末を迎えるかは、今の自分の行動にかかっています。

本当のハローライフを送るには

お金や健康など、不安はある。不安だらけと言ってもいい。だが、人生でもっとも恐ろしいのは、後悔とともに生きることだ。

たとえ、大企業に勤めていても、公務員や銀行員に就いたとしても、素敵な人と結婚したといっても、不慮の事故や突然の病気、天災、人災、様々なリスクの嵐の中で、この先どんなことが起こるか分かりません。

だから、不安で当たり前。

そんな時代に後悔しないで生きるには、「このままで大丈夫だろうか」と常に危機感を持って、現実の問題解決に努めていくことが大事ではないでしょうか。

確かに、人生はやり直せるかも知れない。だが、人生はやり直しがきかないと思っている人のほうが、瞬間瞬間を大切に生きることができるような気がする。

お金を貯蓄しておく。資産を運用する。健康な食生活、日々の運動を心がける。外国語を学ぶ。人のつながりを増やしておく。未来のためにできることはたくさんあります。将来を見越した行動が、老後の人生を変えるのです。

しかし、どんなに老後に対して万全に備えたとしても、やがて人は必ず死ななければなりません。

私たち人間にとっての究極の未来は、老後ではないのです。若くして死んでしまえば老後はありません。老後以上に大事な死という問題に対して、あなたはどのような準備ができていますか?ここから先は、仏教を学ばないと分かりません。

仏教を学んで、生きてよし、死んでよし、老いても、ボケても、寝たきりになっても心の底から満足だと言えるハローライフを送っていただければと思います。


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フルハ
静岡出身の作家。 インフラエンジニアは仮の姿。 週1で急性カラオケ行きたい症を引き起こし、定期的にワンカラに出没。 歌うのはもっぱらボカロとアニソン。