B’z名曲「Brotherhood」の歌詞が教える孤独と、仏教の意外な共通点

コロナの影響で音楽関係のイベントが次々と中止・延期になっています。

私が大好きなB’zも、今年予定されていた稲葉さんのソロツアー、松本さんのソロツアーがともに延期になりました。

そんな「STAY HOME」が呼びかけられた緊急事態宣言下で、B’zの公式YouTubeチャンネルに、今までリリースされたすべてのVHS・DVDの映像がノーカットで掲載され、話題を呼びました。

特にDVD化されていない、B’zファン歴17年の私も見たことのない映像が公開されたことは衝撃的でした。

これをきっかけに、AmazonでB’zのDVDが在庫切れになりました。

今回は、そんなB’zの曲の中で、過去のヒット曲を中心としたツアーで、演奏してほしい
曲の上位に常にランクインしている「Brotherhood」(1999年にリリースされたアルバム「Brotherhood」のタイトル曲)の歌詞を考察します。

アルバム「Brotherhood」をリリースした1999年のB’z


前年に2枚のベストアルバム「B’z The Best “Pleasure”」「B’z The Best “Treasure”」をリリースしたB’z。

それぞれのソロ活動を通して再びめぐり逢いますが、ソロ活動の中にはなかなか聞けない
松本さんの甘い歌声もあります。ハードなギターと甘い歌声のギャップを堪能あれ!!

6月にシングル「ギリギリChop」、7月にアルバム「Brotherhood」をリリースし、さらにアルバムを引き下げたツアーを開催します。

そのツアーの中でも、史上初の横浜国際競技場(現在の日産スタジアム)でのライブは、
JR横浜線もストップするほどの大雨の中でも続行されました。

その翌年、今度はライブが大雨と落雷のため中断され、デビュー15周年の2003年には台風の中での野外ライブを決行しています。

「B’zの野外ライブには雨がつきものだ」とこの頃から言われるようになりましたが、私も一度は豪雨の中でのライブを経験してみたかったですね。

アルバム「Brotherhood」とタイトル曲「Brotherhood」

アルバム「Brotherhood」

稲葉さんと松本さんそれぞれのソロ活動の後製作され、1999年7月14日に発売と
なったアルバム「Brotherhood」。

素晴らしい曲の数々もさながら、レコーディングに当時の大人気バンドMr.Bigの超絶ドラマー・パット・トーピーと超絶ベーシスト・ビリー・シーンが参加していたことが最も話題になりました。

この二人はドラムキッズ・ベースキッズの憧れの的であり、この二人がB’zのレコーディングに参加する、と聞いた時点で胸が熱くなった人も多いです。

その後、ビリーシーンは2002年のツアーでサポートメンバーとして参加して圧巻の超絶
パフォーマンスを披露しました。

ビリー・シーン目当てにB’zのライブを見に行った人も多いのではないでしょうか。

タイトル曲「Brotherhood」

B’zとB’zに関わる人々との関係を歌った曲です。

この頃から、B’zファン同士を“Brother”と呼ぶようになりました。

デビュー15周年記念ツアーで演奏してほしい曲の中でも上位にランクインしました。

デビュー20周年のベスト・アルバム『B’z The Best “ULTRA Treasure”』の収録曲ランキングでは中間投票、最終結果ともに1位となりました。

ライブでは曲の最後で稲葉さんがロングシャウトを叫ぶことが恒例となっており、圧巻の
パフォーマンスを見せてくれます。

1999年10月、ミュージックステーションにB’zが出演した際、ギリギリChopとともに披露
されましたが、このときMr.Bigのパット・トーピーとビリー・シーンがみせた生音での圧巻のパフォーマンスが一番注目を集めました。

また、2011年の東日本大震災後、4月のミュージックステーションにB’zが出演した際、
当時の最新シングル「さよなら傷だらけの日々よ」とともに演奏されました。

ちょうど「絆の大切さ」をみんなが感じた頃にぴったりの曲で、この曲を聞いて心が
救われた人も多いです。

東日本大震災の年である2011年末のツアーでも演奏され、2018年の30周年ツアーでも
演奏されています。

そんな「Brotherhood」の歌詞の中でも特に印象的なサビの部分を見ていきます。

1番サビ

Brother 生きていくだけだよ ためらうことなど何もないよ いまさら
どうか 教えてほしいんだ 苦しいときは苦しいって言ってくれていいんだよ
We’ll be alright  We’ll be alright

苦しいけどなかなか言い出せない。でも「苦しい」と言ってくれていいんだよ、
という優しいメッセージですね。

2番サビ

Brother 生きていくだけだよ ためらうことなど何もないよ いまさら
同じ道を行くわけじゃない それぞれの前にそれぞれの道しかないんだ
We’ll be alright  We’ll be alright

それぞれの生きる道は違う、どんな人生を歩んできて歩んでゆくか全く違うことを示して
います。

3番サビ

Brother 生きていくだけだよ ためらうことなど何もないよ いまさら
走れなきゃ歩けばいいんだよ 道は違っても一人っきりじゃないんだ
We’ll be alright  We’ll be alright

こちらも1番サビと同じくとても優しいメッセージですね。

走り疲れてもう走れない、そんなときは歩いていいんだよ。

それぞれ別の道を歩んでいても、一人じゃない、励ましてくれる仲間がいる。

とても励まされる内容ですね。

「Brotherhood」の歌詞と仏教の「独生独死独去独来」

私が特に印象に残ったのは、2番のサビです。

「同じ道を行くわけじゃない それぞれの前にそれぞれの道しかないんだ」

それぞれの前にそれぞれの道しかない、ということは、人それぞれ全く別の人生を歩んで
いることを示しています。

人それぞれ全く別の人生を歩んでいる、ということは、本質的に人は孤独である、ということです。

仏教では、これを「独生独死独去独来」と教えられています。

これは、人間は一人で生まれて一人で死んでゆく、一人でこの世に来て一人でこの世から
去りゆく、ということです。

ただし、ずっと一人でいるわけではありません。

友人、たよりにしている人は必ずいます。

しかし、本当に心から自分のことを話すことができる友人「心の友人・心の連れ」は、はたしているのでしょうか。

そう聞かれると、ほとんどの人が「いない」と感じるように思います。

「心の連れ」がいない、とは「お互い心の底から分かり合える人がいない」ということです。

同じ家に住んでいる家族でも、経験などはそれぞれ違いますから心の底から本当の意味で分かり合うことはできません。

また、自分の親友に自分の苦しみを全て言うことはできるでしょうか。

全て言うことはできないです。

みんな人に言えない苦しみを抱えて生きています。

だから人は独生独死独去独来である、と仏教で教えられています。

Brotherhoodの歌詞と仏教にはこのような意外な共通点があります。

この共通点と、私たちの寂しさを励ましてくれる歌詞が、この曲が21年経っても人気である秘訣であると著者は感じます。