日本を代表するロックバンド「B’z」。
CDの総売上枚数はAKBも足元に及んでいません。
中でも名曲「RUN」は92年発表なのにいまだにライブで演奏されています。
その「RUN」の歌詞の意味と、20周年ライブでのメッセージの内容を詳しく考えるとともに、このことを仏教で教えられている「流転輪廻」から考察します。
B’zとは
1988年にデビューし、今年デビュー31年目を迎えたロックバンド、B’z。
ボーカルの稲葉浩志さんとギターの松本孝弘さんのユニットで、デビューから31年を経ても今なお第一線を走り続ける大人気のロックバンドユニットです。
何といってもCDの売上枚数8000万枚以上で日本一であることが最大の特徴です。
世界でも8000万枚以上のCDを売り上げた歌手はごくわずかで、いまだに日本一のこの記録は破られていません。
オリコンチャートにおける初登場1位の記録も、1990年から今までずっと続いています。
1995年発売のシングル「LOVE PHANTOM」は発売から一週間で95万枚以上の売り上げを記録し、年間販売枚数186.2万枚を記録しました。
1998年に2枚のベストアルバム「B’z The Best“Pleasure”」「B’z The Best“Treasure”」をリリースし、その2枚の売上枚数は合計1000万枚以上を記録しました。
2001年発売のシングル「ultra soul」は、発売から18年を経た今もなお世界水泳のテーマソングに起用され続けています。B’zといえばこの曲が思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
また、2007年には、アジアの歌手で初めてハリウッドウォークに殿堂入りを果たしました。
2018年には、デビュー30周年を記念して有楽町で大規模な展覧会「B’z 30th Year Exhibition “SCENES” 1988-2018」を実施しました。そのあまりにも豪華な展示内容・コラボレーション企画と、それを目当てに並んだファンの大行列が話題になり、メディアでも度々取り上げられました。
ボーカルの稲葉浩志さんは岡山県津山市出身で、津山市の市民栄誉賞を受賞しています。
ギターの松本孝弘さんは大阪府豊中市出身で、松本さんご自身のギターのモデルを世界の有名なギターメーカーから発売しているほどです。
今回は、そんなB’zの数多い曲の中でも、1992年に発売されたアルバム「RUN」の表題曲である「RUN」の歌詞と、20周年記念ライブでの稲葉さんのメッセージとその意味を深く掘り下げていきます!!
人生を走ること・マラソンに例えた曲「RUN」
1992年に発売され、200万枚以上の売り上げを記録したアルバム「RUN」。そのタイトル曲が、「RUN」です。
元々タイアップはありませんでしたが、1998年に日産アベニールのCMテーマソングに起用されました。
ライブパフォーマンスでも印象的なものが多く、野外ライブでのサイリウムや、東京ドームの外野を一周しながら息切れせずに歌っていたことを思い出すファンも多いではないでしょうか。
歌詞を見てみましょう。サビの歌詞です。
荒野を走れ どこまでも 心臓破りの丘を越えよう
飛べるだけ飛ぼう 地面蹴りつけて 心開ける人よ 行こう
辛い壁を越えようとすることを「心臓破りの丘を越えよう」と、とても力強く表現しています。
「心開ける人よ 行こう!!」と言う力強い言葉にも強く励まされますね。
誰かが待ってる どこかで待っている 死ぬなら一人だ 生きるなら一人じゃない
生きるなら一人じゃないという部分に励まされたファンも多く、筆者もその一人です。
辛いときに誰かに助けてもらった経験は誰しもあるかと思います。
まさにこれは人生をマラソンに例えた曲です。
シドニー五輪のマラソンの金メダリスト高橋尚子さんことQちゃんの監督であった小出監督も、人生をマラソンに例えています。
「マラソンは人生そのものである」という言葉もとても有名ですね。
この曲「RUN」ですが、発売から26年以上経った今でもライブで演奏されることが多いです。
B’zのファンクラブ内で取った、2018年の30周年ツアーに似合う曲ランキングでは、見事のこの曲が1位に輝き、最後の最後で演奏されました。
デビューから20年を迎えた2008年のライブでも、この曲は演奏されました。
その2008年のライブでこの曲を演奏する前に、ボーカルの稲葉さんはメッセージを観客に送りました。
ここで、メッセージの内容を見てみましょう。
僕ら、ずっと今まで走り続けることでいろんな景色を見せてもらってきました。
そして、そのどれもが本当に感動的で愛しくて、かけがえのないものです。
早くたって、ゆっくりだって、とにかく走り続ければたどり着ける場所があると言うことを教えてくれたのはみんななんだよ!!
そうやって今日たどり着いたこの場所、ここ横浜で今こうやってみているこの景色、これはもう本当に最高です!!
是非お互いにこの瞬間をしっかり胸に焼き付けて、また今度笑顔で会える日までゆっくり走り続けましょうね!!
また会うんだぞ!!約束だぞ!!
今までみんなが僕たちにくれたすべての声援に心から感謝します、どうもありがとう!!
このメッセージは、ファンの間でも、B’zからファンへの最高のメッセージだと言われており、伝説だと言う人もいるほどです。
私も何回もこのメッセージに勇気づけられました。
歌詞とメッセージと深い意味、人生マラソンのゴール
上のメッセージの中に、「早くたってゆっくりだって、とにかく走り続ければたどり着ける場所がある」とあります。
とにかく目の前のことに全力で取り組んで走り続けてきた、その結果たどり着いた日産スタジアムの景色はB’zの二人にとっても、ファンにとっても素晴らしいものでした。
社会人になると、目の前の仕事にひたすら全力で取り組んで走り続けてきたという人が多いと思います。筆者もその一人です。
しかし、目の前のことに全力で取り組んで、どこに向かって走るのでしょうか。
走り続けて一体どこにたどり着くことができるのでしょうか。
マラソンには、必ずゴールがあります。
円形トラックでのマラソンであっても、何週回ればゴールだ、と言われるように、どんなことにも必ずゴールがあります。
ゴールがあって、そのゴールにたどり着いて初めて「今まで苦労してきてよかった!!」と言えるのではないでしょうか。
シドニーオリンピックで金メダルに輝いた高橋尚子選手は、ゴールして金メダルを獲得して、このように言っています。
「とっても楽しい42.195キロでした!」
この言葉は、ゴールがあったからこそゴールに向けて頑張れて、ゴールしたときの嬉しさを示しています。
では、私たちは、この人生でどこに向かって走っているのでしょうか。
私たちの人生のゴールは何なのでしょうか。
こう聞かれると、ほとんどの人が答えられないと思います。
実際、RUNの歌詞でも、上のメッセージでも、どこに向かうかは分かりません。
みんな、どこに向かうか分からないまま人生を走っているのです。
つまり、何のために生きるのか分からないまま生きているのです。
ゴールのないマラソンを走る=流転輪廻
先ほど、私たちは何のために生きるのか分からないまま走っている、と言いました。
これをマラソンに例えると、ゴールのないマラソンを延々と走り続けていることと同じです。
どこに行くのか分からない。きりも際もない。人生はそのようなマラソンであると言っても過言ではありません。
最初はそこまで苦しくなくても、延々と走り続けているととても苦しくなりますよね。
円形トラックを延々と走ることは、ちょうど車の輪が延々と回り続けるように、安心することも満足することもない、ゴールのない円周をひたすら回り続けて苦しんでいるようなものです。
これを、仏教では「流転輪廻(るてんりんね)」といわれます。
これは生きていてもどこに向かって生きているのか分からず、日々ひたすら苦しく過ごしている、辛いことから離れられないことを意味しています。
毎日同じことの繰り返しであると感じる人も多いと思います。
それは、人生マラソンが本質的に辛いことの繰り返しであることが表れているためでしょう。
その流転輪廻については、こちらの記事にも書いてあります。より理解を深めたい方はぜひご覧ください。