なぜFacebookで「人生の幸福度が下がる」のか?米研究結果と仏教から知る

FacebookをはじめとするSNSが人生の幸福度を下げるという、衝撃の研究結果が話題になっていました。メディアリテラシーを専門とする私にとっても興味深く、考察してみました。

SNSが人生の幸福度を下げる?衝撃の研究結果とは

研究結果のニュースは以下で紹介されています。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160522-00012235-forbes-bus_all

要約すると、アメリカの研究チームにて2000人近くの対象者にアンケート調査を実施。その回答から衝撃の結果が出た、と言います。調査結果の概要を紹介します。

  • SNSの利用時間は1日平均61分
  • 利用回数(複数のSNS)は週平均30回

平均61分、一日のうち1時間はSNSを使っているということです。SNSですから、対象はFacebookYoutubeTwitterGoogle+インスタグラムなどなどです。
そう言われてみれば、よく見ているものです。細切れになっているだけで無自覚かもしれませんが、合計すると1時間以上は触れているのではないでしょうか。

そして週平均30回以上ということで、気づけばSNSを立ち上げ、チェックしているのではないでしょうか。1日で考えると4回以上は見ているわけですね。これも頷けます。

あくまで平均ですから、人によっては、これらよりも多く見ています。職場でも、家でも、電車の中でも見てしまっていることを考えると、私は上回っている気がします…。皆さんはいかがでしょうか。

そしてここからが、衝撃の結果です。

  • 利用時間が短い人と比べ、1日中SNSを利用していると答えた人は、うつ病になるリスクが1.7倍

SNSの利用頻度が高ければ高いほど、うつ病のリスクは高い、というのです。これはドキッとしますね。

そして別の研究ではFacebookの利用が増えれば増えるほど、幸福感は低下したといいます。

これもまた恐ろしい結果です…。
どうしてこのような結果になるのでしょうか。研究結果を元に考察したいと思います。

Facebookで人をうらやむ心が、幸福度を下げる?

研究結果を紹介した論文では「SNS上で友人らの投稿を目にすることで、自分以外の人たちは幸せで充実した人生を送っているという歪んだ認識と、うらやむ気持ちが生じる」と言及しています。

Facebookを例にとって、解説します。

Facebookは大変便利なツールで、プライベートはもちろんビジネスでも欠かせないサービスとなっています。そこから生まれる人付き合いも多数あります。

しかし一方で、「リア充発生装置」の側面も強くあります。

リア充、つまりリアルが充実しておられる人のことです。それをモロに目の当たりにせざるを得ないのです。

Facebookを見ていると、リア充ストーリーが散見されます。例えば

○○(基本的に海外であることが多い)に行ってきました!
結婚しました!!
出産しました!!
○○のビジネスで1000人、来場していただきました!

などなど、見れば見るほど色んなパターンがあります。
どれも素晴らしいことですね。

Facebookは「いいね」を集める圧力が働くため、多くの人から羨まれるニュースが投稿されがちです。結果、上述のアピールが生まれやすいのです。そして、多くの人がリア充アピールをすると、自分もそうしなければならないという同調圧力が働き、自分もアピールしてしまうのです。

しかし、素晴らしいなあと「いいね」をクリックする一方で、なにかモヤモヤする感情はないでしょうか。それがうらやむ心です。

「いいなあ」と思う一方で、「対して自分はどうだろうか」と卑下する気持ちです。あくまで他人は他人、自分は自分ですから、関係ないのですが、そうは思えない心が働きます。

これを社会的比較といい、他人に対して自分の境遇を呪う心理が働きます。
これがうつ病につながってしまうと言及されているのです。

「うらやむ心=愚痴の心」?

仏教ではこのうらやむ心を、愚痴と教えられています。

グチというと、会社の同僚に対して、上司への不満をグチグチいうことのように思われていますが、口の行いではなく、心の動きが本来の意味です。

相手の成功を素直に認められず、うらやましく、ねたましく思ってしまう心です。(うらみ、ねたみ、そねみの違いについては以下の記事をご覧ください)

「うらむ」「ねたむ」「そねむ」3つの意味の違いはドコにある?

他人は他人、自分は自分と割り切れれば問題ないのですが、人は比較せずには生きられない生き物です。そうすると愚痴の心はやみません。

「なぜアイツばかりいい思いをするのか」
「なぜ自分は成功できないのか」

という心は、自分の幸福度を下げる、とても大きな要因です。

他人の幸福は、その人が努力したから得たものです。反対に自分の不幸は自分が努力を怠ったから、受けた、まさに自業自得のことです。それを混同して、ちゃんちゃらおかしいイチャモンをつけている馬鹿な心ですから「愚か」と言われているのです。

SNSで人の成功を見ていると、うらやむ心は出てしまいがちですが、「他人は他人、自分は自分」ということを忘れず、自分の幸福のために今日も行動しましょう。