最近大きく取り上げられているニュースといいますと、SMAP解散報道・・・もそうですが、「軽井沢スキーバス転落事故」ではないでしょうか。
1月15日午後1時過ぎ、長野県軽井沢町の碓氷バイパスで、スキーツアーの大型バスが道路脇から転落し、運転手を含め15人が死亡した事故です。
軽井沢のバス事故、死者15人に | 信濃毎日新聞[信毎web]
バス事故としては過去30年で最多の死者が出る事故であったばかりでなく、死亡した15人のうち、運転手2人を除く13人は全員大学生。大学生の前途を奪う、極めて悲惨な事故になってしまったのです。
過去30年で最多の犠牲者を出したバス事故 原因は?
どうしてこれほどの惨事が起きたのでしょうか。事故原因の究明が急がれていますが、まだハッキリとした原因はわかっていません。
運転していた65歳男性の技術不足や、体調急変が重なったのでは、と見られています。
【軽井沢スキーバス転落】技量不足、車体異常、体調急変…事故原因は? 65歳運転手の経験はマイクロバス- 産経ニュース
運転手が運転経験のあったのは主にマイクロバスであり、大型バスの運転経験に乏しかったこと、またバス会社が事前に運転手の健康診断を行っておらず、急な眠気に襲われるなど意識障害を抱えていたのではないか、と考えられているようです。
最新のニュースによると、事故現場から250メートル手前でバスは蛇行運転していたことがわかり、その映像も公開されています。
「バス事故直前の映像公開、かなりの速度出し蛇行」 News i – TBSの動画ニュースサイト
二度とこんな事故が引き起こらないよう、早期の原因解明が求められますね。
犠牲になった13人の大学生 想像もしていなかった惨事
この事故で犠牲になった大学生は、バスの中でスキーを楽しみにしていたでしょう。家を出るときも、バスに乗る前も、車中でも、まさかこんな事故に遭うなんて思ってもいなかったはずです。
犠牲者の家族の方はどうでしょうか。「いってきます」と笑顔で出て行った子供がもう帰って来ない。そんなことは毛頭思われていなかったでしょう。ご家族にとって生き甲斐でもあった子供の将来が奪われた悲惨さ、残酷さは、察するに余りあります。
されば朝(あした)には紅顔ありて、夕(ゆうべ)には白骨となる身なり
葬儀や法事でしばしば読まれる「白骨」の一節です。
紅顔とは、血の通った元気な顔、赤ら顔のことです。朝、家を出るときはとても元気な顔をしていたのに、思いもよらなかった突然の事故に遭い、夕べには変わり果てた姿の我が子が帰ってくる。
大げさではない、世の無常が痛烈に歌いあげられています。
あてにならない「私だけは大丈夫」の思い
「私だけは大丈夫。事故に遭うはずがない」とみんなが思っています。
しかし、みんなが思う「私だけは大丈夫」が正しいなら、死亡事故は1件も起こらないことになります。けれどそんなことはなく、「私だけは大丈夫」と思っていた方が毎日のように事故に遭われてしまっているのです。「私だけは大丈夫」という思いは、あてにならないのであり、たまたま、事故に遭うバスに乗らなかっただけのことなのです。事故へと向かうバスに乗るかは否かは、紙一重です。
ずっと大丈夫なものはなく、この世で続くものなど何一つありません。これを仏教で諸行無常といいます。
諸行無常とは、諸行(すべてのもの)が常が無く、続かない、ということです。健康も、かけがえのない家族も友人も、いちばん大事にしている命も、ずっとあるものではないのです。
私事ですが、身内が脳梗塞になりました。はじめは少し右手が痺れて文字が書きづらいと言っていたそうです。日が経つにつれ、右足に力が入らなくなり、ふらふらすることも…。また、何かを思い出すことに時間がかかるようになったそうです。
様子がおかしいと思い、診察を受けることを勧めました。後日、病院でMRI検査をしたところ、左前頭葉の脳梗塞と診断されたのです。
右手足の麻痺でほとんど動かせず、歩くことも、お箸を持って食事を摂ることも、トイレに行くことも、お風呂に入ることも、昨日まで自分でできていたことができなくなりました。呂律がまわらず、会話をすることも難しくなり、何を言っているか分からなくもなってしまったのです。
「昨日まで普通に生活していたよね?さっきまで喋っていたよね?」突然の変化に驚くと共に、無常を感じずにはいられませんでした。
無常は相手だけのことではない、自分にも襲いかかることなのです。バス事故のニュースを見て、自分にもいつ死が襲いかかるかわからないことを改めて痛感しました。
無常を見つめて、決して後悔を残さないように
命は無常です。無常が差し迫ってから、ああすればよかった、こうすればよかったと思っても、後戻りはできません。あなたは大切な人に伝えたいことを伝えていますか?これ一つやり遂げれば満足できる、といえるものはありますか?
「襲い来る無常は他人事ではなかった」と後悔することのないよう、無常を見つめて、私も自分がやるべきことに向かっていきたいと思います。