20代30代はあっという間!『東京タラレバ娘』から知るアラサーの人生の見直し方

人生は短い たとえそれを長いと思って 過ごしている人たちにとっても

東京タラレバ娘』は東村アキコ先生による大ヒット作。

最終巻発刊時点で累計460万部を突破、今年初めにはドラマ化もされ、一躍社会現象になった話題作です。

アラサー独身女子を精神的に殺しにかかる「現実」を次々と突きつけてくることで話題となった『東京タラレバ娘』ですが、実はこの作品で読者が突きつけられる残酷な「現実」は、独身女性だけに限定されません。

私は既婚だから大丈夫…

結婚前提で付き合ってる彼氏がいるから大丈夫…

好きなことを仕事にして充実した生活だから大丈夫…

一見、『東京タラレバ娘』を読んでも精神的に攻撃を受けなさそうな読者層にも容赦なく突き刺さる「現実」を突きつけてきます

それは何か。

クライマックス部分の展開から解説します。

『東京タラレバ娘』佳境に入った物語のあらすじ

『東京タラレバ娘』は33歳の独身アラサー女子・鎌田倫子が主人公の物語。

居酒屋で飲んだくれて大騒ぎで愚痴を言い合っていた倫子は、KEYという金髪のモデルに

「オレに言わせりゃあんたらのソレは女子会じゃなくて

ただの・・・行き遅れ女の井戸端会議だろ

そうやって一生、女同士で、タラレバつまみに酒飲んでろよ!

このタラレバ女!!

となじられた日から恋愛も仕事も苦難の連続。

何かと倫子の前に現れては爆弾発言を浴びせるKEYにより、メンタルを抉られる毎日でした。

しかし佳境に入った『東京タラレバ娘』は急展開。

売れっ子モデルで、仕事も高評価だったはずのKEYは、ドキュメンタリー映画の撮影で最愛の人と向き合うことになり、仕事から逃げ出します。

KEYは33歳でこの世を去った妻、沢田曜子の死が受け入れられず、ずっと心の傷を背負っていたのでした。

そしてKEYの亡き妻は倫子にそっくりな女性だったことが明らかに。

仕事の現場を逃亡し北伊豆に来ていたKEYを追いかけた倫子は、海辺でKEYと口論、勢いで一夜を共にしてしまいます。

倫子の携帯には、最近交際スタートし、同棲生活を始めたばかりの恋人・早坂さんからの電話が鳴り続けていました。

収まるところに収まりたくて、身近な存在で優しい男性・早坂さんと結ばれたばかりの夜に、KEYと一線を超えてしまった倫子。

二人の男の間で揺れる倫子の運命はどうなってしまうのでしょう。

「ねぇ、タラレバ

教えてよ

私は一体どうしたいのか」

自分はどうすれば幸せになれるのか。

どうなるのか気になって仕方ない展開で、急に始まるのが「ACT0 ビフォータラレバ女」です。

とにかく読んでてつらい!!「ACT0 ビフォータラレバ女」全てのアラサーに突き刺さる回想編

「15YEARS AGO」

物語は急に場面が変わります。

現れたのはなんと、15年前、18歳で上京したばかりの倫子たちが東京タワーに登る様子でした。

まだ田舎の娘の雰囲気が残るあどけない可愛い3人。

続いて14年前、カフェで談笑する倫子たちが登場します。

十代らしく高い声でキャピキャピはしゃぐ3人はカフェを出て表参道の街を楽しそうに歩いていました。

そこで倫子たちはチャペルで結婚式をあげるカップルを目撃、相手の男がチャラい等うんちくを言い合います。

そのうちブライズメイドをして欲しいと香が言い出しました。

香「3人だと3回できるね!!

あの花嫁さんめっちゃ若かったよね

何歳で結婚したい?あたし27!!

倫子「あたしはちょっと遅めに30で結婚して、33くらいまでに、子供産もっかな

その様子を白目むきながら眺めている存在がありました。

それは物語の要所要所に出てきてはKEY並みにえげつない発言をする謎の生物「タラ」と「レバ」。

実は「タラ」と「レバ」は倫子が見ている幻覚です。

脳内にあったイメージが現実社会で現れたものが幻覚なので、「タラ」と「レバ」は倫子の脳内にいて、脳内にあるモニターで倫子が過去に経験した記憶を視聴していたのでした。

モニターに映された時はあっという間に過ぎ、23歳、24歳、25歳へ…

「え、倫子ちゃん今日誕生日なんだ、いくつになったの?」

「25です!!今日女友達とホテルビュッフェで誕生会してもらうんです!」

倫子ちゃん、ひとつだけ言っておくね

25過ぎたら あっ という間に30だから

岩元さん、30代はその倍速で あっ という間よ

「寺田さん……!」

タラとレバが住む倫子の脳内から、現実世界の倫子に場面は変わります。

あれ何で今

急に昔のこと思い出してんだろ、私

あの日の東京タワー

つまらない合コン

岩元さんの予言

全部まるで昨日のことのよう

25過ぎたらあっという間で

30超えたらさらにその倍

ここから私の人生

倍速 早送り

ってやだよそんなの

何で早送りされなきゃなんないの?

リモコンあるならスローにしてくればかやろう

生きている限りすべてのアラサーが経験するつらい現実「人生あっという間」

現実の時間の流れはこの回転寿司のレーンとは違うんタラ

時間の流れは一方向、回転なんてしないんタラ

毎日毎時間一分一秒、あなた達は歳を取っていくんタラ

レーンは一方向に進む

時間(とき)は絶対に巻き戻らないんタラ

物語の序盤に「タラ」と「レバ」が言ったこの言葉。

これは未婚女性にしか当てはまらないことではなく、早死しない限り全ての人に当てはまること。

30代、40代…と人は一方向に歳を取っていき、決して若い頃に巻き戻ることはありません。

そして人は生きれば生きるほど、「人生あっという間」という感覚を覚えるようになります。

ちょうど先日、Twitterでこんなツイートが話題になっていました。

おっさんが口うるさく

「30過ぎたら一年マジはやい」

って言うのはドヤアピールではなく

同じように言われて来てバカにしてたのが今になって

「マジだった!伝えないと!」

ってなってるだけだから許して

的士:たくしー @gothamTaxii

この呟きは4万人以上のユーザーにリツイートされ、共感を示すコメントが大量に寄せられています。

倫子の記憶の中に出てきた、会社の先輩たちのセリフにも

「25過ぎたら あっ という間に30だから」

「30代はその倍速で あっ という間よ」

という言葉がありましたが、後者の40代の女性の先輩はアピールとは程遠い、「マジだった!伝えないと!」という心が伝わってくる鬼気迫る表情でした。

誰もができれば歳を取りたくないのに、実際は歳をとれば取るほど人生の時間は早く去っていくものです。

何で早送りされなきゃなんないの?

リモコンあるならスローにしてくればかやろう

という倫子の叫びは、全てのアラサーに共通する苦しみではないでしょうか。

タラも学ぶ仏教には人生を見つめ直すカギが隠れている

「…レバちゃん、『法話』って知ってるタラか?」

「え、ごめんわかんない」

「『法話』とか『法語』とか、お寺さんで説かれる仏様のありがたいお言葉のことじゃ

こないだめっちゃ素晴らしい法語に出会っちまったわけ

その言葉がもう染みちゃってオレ…」

なんと倫子の脳内の住人・タラは法語を学んでいました。

タラが心に染みるありがたい言葉と言っていたのはこんな法語。

人生一生 酒一升あるかと 思えば もう空か

人生の「一生」を酒の「一升」に譬え、さっきまであったと思ったのにあっという間に無くなる一升瓶のように人生もあっという間に終わってしまうことを表現していうようです。

室町時代に書かれた有名な仏教書には

されば未だ万歳の人身を受けたりという事を聞かず。一生過ぎ易し。

という一節があります。

室町時代は人生50年と言われたので勿論ですが、今日でも1万歳まで生きる人はありません。

私たちの人生は短く、あっという間に人生の終わりが来てしまう。

倫子がこの15年を思い出して実感したように、「人生あっという間」を痛感しない人はないでしょう。

あっという間に終わる人生の最期、後悔しないか。

人生の短さを見つめ直すことの大切さが仏教には説かれています。

タラは倫子たちや読者を奈落に突き落とすような毒舌発言を繰り返していましたが、「人生あっという間」を味わっていたからこそ、厳しい真実を伝えずにおれなかったのかもしれませんね。