まうでです。
年間1000話ペースで見ているアニメオタクです。
今年の夏アニメは最終話に向けてそろそろ折り返し地点。
夏のイチオシのアニメが固まっていることでしょう。
ところで今年の春アニメの中で、皆さんはどれがイチオシだったでしょうか?
「不滅のあなたへ」「ゾンビランドサガ リベンジ」「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」「シャドーハウス」「86 -エイティシックス-」…
その他色々挙がって来る中で覇権アニメとの声が多いのが
「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」です。
なぜ覇権アニメと推す声が多いのか、
いくつか理由をピックアップしてみたいと思います。
①作画のクオリティが高い!
まずは、作画。
かなりクオリティが高いです。
特に圧巻なのは、戦闘シーンなど激しく動くシーン!
これは作中の攻撃を避けながら飛行しているシーンですが、
アクション映画を観ているかのようなダイナミックな動きにビックリ!
ぜひとも実際にアニメで見て頂きたく思います。
作画を手掛けたのは「WIT STUDIO」。
有名どころを挙げれば「進撃の巨人」など。
作画兵団と称されたあの立体起動シーンの制作元だと知れば
「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」の作画が素晴らしいのにも頷けますね。
②豪華声優陣による熱演が素晴らしい!
作中の中心となるキャラである主人公「ヴィヴィ」
そして、ヴィヴィのパートナーとなる「マツモト」
この2人の中の人の熱演が素晴らしかったですね。
「ヴィヴィ」の中の人は種﨑敦美。
かなり多彩な役を演じられることで有名ですね。
双葉理央(「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」)のような
クールで落ち着いたキャラを演じたかと思いきや、
クルム(「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」)のような
明るい元気なキャラを演じたり。
しまいには「セントールの悩み」では
御魂千草・御魂千奈美・御魂千穂の三つ子役を1人で演じ切ったり。
「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」の中でも
「ヴィヴィ」は基本的には落ち着いたクールな感じの声色ですが、
とあるエピソードにて性格が入れ替わったかのごとく
明るいお姉さんキャラのような声色に変わっています。
声優が種﨑敦美と聞けば、納得ですね。
「マツモト」の中の人は福山潤。
殺せんせー(「暗殺教室」)の中の人と一緒ですね。
ラジオやイベントではとにかくおしゃべりで
マシンガントークで有名。
機械がしゃべってるんじゃないかと思わせる早口っぷりは
人間ではなくAIである「マツモト」のキャラと本当に合っていました。
そういえば、殺せんせーも人間じゃないですね。
人間じゃないキャラと、相性が良いのかも!?
「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」の放送直前に開催されたスペシャルトークでも、
種﨑敦美から「ずっと「マツモト」としゃべってる感があるんですけど、(しゃべりが)早い」と言われ、
ご自身も「(「マツモト」を)演じているのか演じていないのか分からない」と言われています。
※上記のやり取りは「5:35~5:52」あたりです。
③楽曲がどれも心揺さぶる名曲ばかり!
作中で使われている楽曲は、どれも一度聞いたらインパクトが残るものばかりです。
たとえば、オープニングテーマになっている「Sing My Pleasure」。
再生数は250万越え。
Spotifyの国内バイラルチャートで3週連続首位を獲得するなど話題となりました。
作中の楽曲が名曲揃いなのは、神前暁による所が大きいでしょう。
神前暁と言えばアニソンランキングでいつも上位にランクインする名曲、
「God knows…」の生みの親として有名。
その他「もってけ!セーラーふく」「恋愛サーキュレーション」など、
アニメ好きなら多くの人が知る名曲を送り出しました。
④心をつかむ名言・名シーン!
「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」はメッセージ性の強いアニメ。
インパクトのある名言や名シーンが詰まっています。
いくつか紹介!
(注意!若干ネタバレあり)
「使命がいつ終わるかなんて関係ない。
私たちAIは、いつまで稼動するかじゃない。どう稼動し続けるかでしょ?」(2話)
ただ長生きするだけじゃ、消化試合と一緒。
命を、何のために使っているのか。
心を揺さぶられる名言です。
「今の私はディーヴァではありません。私の名前は、ヴィヴィ。
ヴィヴィは滅びの未来を変えるための、AIを滅ぼすAIです」(6話)
主人公が使命を果たす覚悟を決めた覚醒シーンでの名言。
自分の名前を捨て、過去と決別するシーンがカッコいいです。
小説では「来なさい。AIとして、その使命を果たしなさい」と挑発するセリフが追加されていてさらにカッコよくなってます。
「私は…お前の歌を…より多くの…
いや、違う…
私は…本当は…
私のためだけに…お前に歌って…欲しか…ったのだ…」(9話)
パートナーのためと思ってやっていた事が、本当は自分のエゴを押し付けているだけだった。
思いが通じ合うって、難しいものだと感じます。
ここのセリフが出てくるパートは感動的なストーリーになっているので、パートの始めから通して視聴してもらいたいです。
「ディーヴァ、人間はいずれ死ぬ。
けれど、必ず誰かの中に残るんだ。
妻は今でも、僕の中にいるんだよ」(10話)
子供の命と引き換えに、亡くなった妻。
それでも、自分の中に生き続けている。繋がっている。
このセリフを聞いた事から、主人公は人類を救うことになる1曲の歌を書き上げます。
⑤ストーリーに引き込まれる!
「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」のストーリーのキーワードは「AI」。
その存在は、現実世界でも無視できないものになっています。
少子化などによる労働力不足を解決してくれる有難い存在である一方、
「AIが仕事を奪う」と訴え、危険な存在と見る人もいたり。
たとえば、2015年に発表された野村総合研究所のレポートによると
10~20年後に日本の労働人口の約 49%がAI等で代替可能になるそうです。
野村総合研究所 日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に
そんな身近で壮大なテーマを取り扱った事に加えて、
題材がAIであり小難しい単語がちらほら出てくるにも関わらず、
話の内容は凄く分かりやすいので
多くの人の心をつかみ、覇権アニメと称されています。
AIとは違いますが、
同じように近未来技術をテーマにしたアニメに「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」があります。
2020年春に放映されると話題を呼びました。
「難解過ぎる」という事で。「高学歴アニメ」といった称号がついたり。
犯罪者の潜在意識(イド)を分析する近未来技術を生かして事件を解決するというストーリーで、
次々と新しい概念や言葉が出てきて、それを説明する描写が不足したことから
多くの視聴者を置いてきぼりにしてしまった感は否めなかったようです。
それに対し「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」は、そうした難解さは上手く消化されています。
入口はとても分かりやすい。けれど、いつの間にか壮大なテーマに触れている。
これが「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」を覇権アニメと推す人が多い一番の魅力ではないでしょうか。
それもそのはず「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」の原案・脚本に
「Re:ゼロから始める異世界生活」で有名な長月達平が関わっています。
「Re:ゼロから始める異世界生活」は、伏線の張り方からその回収までの流れが秀逸ですよね。
「Re:ゼロ」の秀逸さがそのまま生かされ、
自然な伏線によっていつの間にか壮大なテーマに触れることになる「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」が出来上がったように思います。
「あなたにとって心を込めるって、どういう事?」AIからの挑戦状~意志なき奴隷は人間失格~
「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」のテーマを一言でと言われたら、これでしょう。
「あなたにとって心を込めるって、どういう事?」
「君の使命は歌でみんなを幸せにすることだ。
そのために心を込めて歌うんだよ」(10話)
初の自律人型AIとして作られた歌姫「ヴィヴィ」。
使命を果たすため「心を込める」とは何なのかと、繰り返し自問自答します。
皆さんなら、どう答えるでしょうか?
疑問の声が多い中、開催されたオリンピックとパラリンピック。
開催場所を東京に決定づけたとの声が多い滝川クリステルさんのスピーチで
話題になった言葉が「おもてなし」でした。
その「おもてなし」の意味を調べてみると
「客に対する心のこもった接遇、歓待、サービスなどを意味する表現」
引用:「実用日本語表現辞典」
と出てきます。
つまり「おもてなし」をするためには心を込めなければならない。
日本人は「心を込める」とは何かを知っているからこそ「おもてなし」の文化がある、と世界にアピールしたと言えるでしょう。
それだけではありません。
「心を込める」とは何なのかという問いを、AIに投げかけられている。
「あなたは本当に人間なのか」と突きつけられている質問なのです。
「歯車100%のアンタに心を込めるスキマなんてないんだよ。
ステージの笑顔もパフォーマンスのプログラムに従ってるだけ。
人間のマネして保護ナノスプレーを喉に吹きかけても無駄。
あの子と初めて会ったときに助けたってのも、迷子は迷子センターにって言う規定プログラムを実行しただけ。
そこに心なんて、ないない。
心を込めるなんて無理無理」(1話)
作中のこのセリフのように、AIは心を持っていません。
持っていない以上、心を込める事ができるはずがありません。
一方で、人間は心を持っています。
つまり、心を込めるという行動は人間の証であり
それが少しも分からないようでは人間失格の烙印をおされてしまうのではないでしょうか?
実際、姿形は人間でも、同じ心を持っている人間とは思えない特徴を表す言葉として
「ロボットみたいな人間」という表現があります。
ドラマ「半沢直樹」でも、こんなセリフがありましたね。
「人と人との繋がりだけは大切にせなあかん。
ロボットみたいな仕事だけはしたらあかんど」
引用:「半沢直樹」半沢父/笑福亭鶴瓶
そんな表現があるほど、
人間でありながら心を感じられない。自分の意志がない。
思考停止しているAIのような人間。
Botのように言われた事に反応しているだけの人間が少なくないという事でしょう。
そんな生き方を「思考停止という病」(苫米地英人)という本の中では
「奴隷の人生」と言われています。
「思考を停止するということは、
自分で生きることを放棄し、他人に自分の人生を委ねることにほかなりません。
これを奴隷というのです。
そんな人が幸せになれるはずがありません」
引用:「思考停止という病」(苫米地英人)
親が良い大学に行きなさいというから、なんとなく受験勉強する。
上司が会議に参加しなさいというから、一言も発言しないけどなんとなく参加する。
「マニュアルに書かれている」「これが常識だ」というから、なんとなく従う。
まだ右も左も分からない新入りだからとか、
人間関係を壊したくないからといった事情もあって、
最初の内はなんとなくでもやってみるのもアリでしょう。
しかし、1年経っても、5年経っても、10年経っても、何となく。
「なぜそんな事をやっているのか」と聞かれても、
「みんなもやってる」「そう教わった」と答えの主語はいつも他人。
他人が書いたプログラムに従って、動いているだけ。
いつまで経っても答えが「私がやりたい」という自分の意志にならない。
そんな人が「あなたにとって心を込めるって、どういう事?」と聞かれたら、
うろたえてしまうのも仕方がないでしょう。
AIと人間のケジメ~私を知る者こそ、心を込められる~
私は何をやりたいのか。
私はどんな事が好きで、どんな事が苦手なのか。
他人の様子ばかり伺ってばかりで、外ばかりに向いていた目が、
自分に向けられた時、内に向けられた時、
自分の意志は何なのか、心とは何かが問題になります。
そうなって始めて「心を込める」とは何かに答えられるのではないでしょうか。
すなわち、私とは何なのか。何者なのか、という事です。
仏教では、私とは何者なのかに答える教えだと言われています。
お釈迦様の弟子が仏教では何を教えられているのか、一言で教えてくださいと尋ねたところ、
お釈迦さまは「法鏡」であると答えられています。
「法鏡」とは、本当の自分を映す鏡、という事です。
「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」の作中には
仏教の言葉が元となっている名前が登場しています.。
それはAIの無線通信用の電波塔の名前「アラヤシキ」です。
本当の自分とは何かという話になれば、必ず問題になるのが心。
本当の自分とは、本当の自分の心という事だからです。
その心の中でも、ずっと深い所にある本当の私を表す心を「アラヤシキ」と言われています。
仏教では、心とは何かについて詳しく教えられています。
2016年に亡くなったAI研究の権威であり、「人工知能の父」と呼ばれたマービン・ミンスキー教授はAI研究のためにお経を読んでいたそうです。
なぜAI研究にお経を読んでいたのか、についてこのように語られています。
「人工知能の開発には、当然、人間の心の構造の研究が大切になる。
ところが、現在の心理学は、十分に教えていない。
そこで、心を専門とする宗教の中に、人間の心の構造を解明した宗教はないかと調べてみた。
結果、キリスト教もマホメット教も、ほとんど心のしくみを教えていない。
ところが、仏典には詳しく説かれていた。
釈迦は実に優れた心理学者だ。
コンピューター開発に、仏典が比類なきテキストになる」
引用:田原総一朗 文春文庫 「生命戦争 脳・老化・バイオ文明」
作中で仏教の言葉が使われたこと。
それも作中で大きなテーマとなった「心を込める」、その「心」の言葉を仏教から引用した事は、偶然ではないでしょう。
「ヴィヴィ」だけではなく私たちも、
趣味や仕事、家族など大事なものや人のために「心を込め」ようとする場面はあるでしょう。
そのためには、まずは私とは何かを知る。
それが「心を込める」ためのカギとなるでしょう。
作中でも「ヴィヴィ」はそのカギをつかみながら、
「心を込める」とは何かを答えているシーンがあります。
次回は、そのシーンをピックアップしてその答えに迫ります。
お楽しみに!