ついに夏のコミケが今日から始まりますね!
日本が世界に誇るクールジャパンなお祭りであるコミックマーケット、通称コミケ。
この時期によく話題になるのが「アフター誘われない」問題です。
先週に引き続き「誘われない」腐女子の筆者が深~く考察していきます。
※前回記事はこちら
(「腐女子」って何?と思われた方はこちらの記事を読んで頂く方がわかりやすいです)
「◯◯が無い」腐女子はアフター誘われない?
「アフター誘われない」問題とは、文字通りコミケなどのイベントの後にある「アフター」つまりオフ会(交流会)に誘われないという問題。
筆者は腐女子になってから15年以上、コミケなどいろいろなイベントに参加してきましたが「アフター誘われない」ことの方が多く、特に気になりませんでしたし、気にする方の声も聞きませんでした。
しかし近年オタクや腐女子の趣味を支える重要なツールとしてTwitterなどのSNSが必須アイテムとなる中、出てきた問題があります。
それは、SNS上でつながりのある人たちのアフターで楽しそうな様子が見えてしまうようになったことです。
「今からアフター行きます♥」
「アフターでお話した方々ありがとうございました!」
という楽しそうな呟きや写真は人によっては「私はぼっちで新幹線の中…」という「誘われなかった自分」を痛感させる苦しみの元になるのです。
さらに「絵が描けない」「小説が描けない」「コスプレができない」といった、ファンができる特技を持っていない腐女子は「アフター誘われない」ことが多いように思われます。
前回記事では「絵が描ける」腐女子の友人と「絵が描けない」腐女子の私は、趣味の世界で友人ができる範囲やスピードが圧倒的に違うことを実体験から考察しました。
「アフター」も友人はイベントに来るたび、好きなカップリングが同じ「同志」のTwitterの相互フォロワーさんからお誘いが入っています。
筆者の場合は好きなカップリングが同じ相互フォロワーさんで、リアルな交流のある人が現在は一人もいません(笑)
私のような「絵が描けない」といった「◯◯がない」腐女子はよっぽど積極的に交流を求めないと、アフター以前に同じ趣向を持つ方にTwitterでフォローされること自体難しい現状があります。
アフターに誘われるかどうかが交友関係の全てではありません。
しかし「アフターに誘われる」腐女子の様子がリアルタイムで分かる今日、「◯◯がない」腐女子は同志が多く集まる場に行きながら一人ぼっちで過ごす苦しみをより感じやすいといえるでしょう。
絵や小説が書けない故に一般参加しかできず、アフターも誘われない腐女子の中には、絵が描ける人の絵を無断転載して自分が描いたと偽る人までいます。
もちろん許されないことです。
ファンは好きなカップリングのイラストを隅から隅までチェックしていますから、無断転載はすぐにバレます。
転載がバレた日にはアフター誘われないどころか、友達は一人もいなくなるでしょう。
それでも転載をする人が消えないのは、それだけ「◯◯が無い」苦しみが辛すぎるからかもしれません。
「アフターも誘われない」腐女子も辛いけど、「アフター誘われる」人気者腐女子だって辛い!
以前「絵が描けない人」「絵が描ける人」の実態をとても辛辣に生々しく図解したツイートが多くの人にシェアされていました。
絵師カースト pic.twitter.com/MVQDA4BEVX
— ですね (@desune593) 2017年6月18日
シュールでゆるい筆跡で描かれた「むだんてんさいはやめようね」
無断転載していないですが最下層「絵かけない人」の筆者は中々「つ、つら・・・」と思ってしまうイラストです(笑)
このイラストは「絵師カースト」と名付けられていますが、これはそのままコミケなどのイベントにおける腐女子の交流ポジションを表現しているといえるのではないでしょうか。
しかしこのイラストの凄いところは、「絵師」と名付けられているカーストにいる人の説明です。
しっとに狂っているひとが多く、やみがふかい 意識が高すぎる
前回記事からご紹介している「絵が描ける腐女子」の友人にこの図を見てもらったところ、めちゃめちゃ分かる!!という反応が。
私からすると「絵が描ける腐女子」さんはアフターに誘われないことはなく、ファンにたくさんTwitterでフォローしてもらえて、幸せしかない人生に見えていました。
友人によると、質が変わるだけで苦しみはつきものだそうです。
まず絵が描けない私からすると、イラストをTwitterにアップして「いいね」(昔でいう「お気に入り」)をもらっている腐女子さんはそれだけで雲の上の存在に思います。
しかし実際にTwitterで多くのファンから「いいね」をもらっている友人は
「20や30、100…と段々いいねを貰えるようになると、1000や一万いいねを貰ってる絵師の方が羨ましく思えてくるんです」
「獄上さん(筆者)は私のことを絵が上手いと言ってくれるけど、サークル活動している人はファンの数も桁違いで、そんな方々に比べると自分なんて…って思ってしまうこともあるんですよ」
と言います。
まさに上には上がいる。
自身より評価される絵師の存在はより絵の腕を磨こうという向上心をもたらしてくれます。
しかし同時に明らかなのは、「誰よりもファンが多くて幸せ」と思っている人は無く、画力がある故の「もっと上手く描きたいのに描けない」という苦しみと常に隣り合わせで生きておられるのです。
私が忘れられないのは
「推しカップリングの絵を描いているときは一番幸せでありながら、一番心が狂気に満ちているときでもあります」
という友人の言葉。
腐女子に限らず「絵が描ける」全ての人に共通する苦しみかもしれません。
そして絵に限らず、高収入の人、カワイイ・美人な方、高学歴の人…「◯◯がある」人は有るが故の苦しみを持っているのではないでしょうか。
ファンのたくさんいる「神絵師」「同人作家」もホンネは「楽になりたい」
友人は「サークル活動している人はファンの数も桁違い」と言っていますが、こんな呟きがTwitterで多くの人にシェアされていました。
「すっげえ同人誌描きたい!」
→「面白い同人誌にしたい」
→「絵だけでも上手い同人誌にしたい」
→「とりあえず完成させたい」
→「なにがなんでも締切だけには間に合わせたい」
→「楽になりたい」— 祭唄@C92,1日目ラ41a (@maturiuta) 2017年8月8日
絵が上手い人でも、一冊の作品を締め切りまでに入稿させるのは大変なこと。
特に同人作家さんの場合、昼間は本業の仕事をして、夜中に好きなカップリングの原稿をするという方も多いでしょう。
締め切り直前は「楽になりたい」と喘ぎ苦しみながらペンタブを握っておられる方も多いようです。
先月、人気同人作家のカイナ先生が若くして急逝し、ファンの悲しみの声が溢れていました。
同人作家のカイナ氏が脳出血のため死去。タイバニ、海城(海馬&城之内)などの作品で人気。
カイナ先生は『TIGER & BUNNY』『遊戯王』などの二次創作で多くのファンがいたボーイズラブ同人作家さん。
脳出血に至った理由は分かりませんが、ファンからの期待に応えるべくお体に大変無理をなされていた部分もあったのではないでしょうか。
また無事同人誌を完成させコミケなどの即売会で作品を頒布するも、非常識なファンに絡まれ困惑する作家さんも少なからずあります。
こないだのイベントで新刊がなくなった頃に現れた人がいた。
「AB本は!?ないんですか!」
「すいません、ここB健全本しかないんですよ」(ABスペでもない)
「ええ〜〜ABないのォ〜〜ふみゅ〜〜(サークルの机に両手をつく)」
おっ、こいつはやべぇなっ!って悟空になった— アズマ (@eastpoppo) 2017年8月7日
まさかの「仲間やファンである腐女子が来てくれるはずの即売会で、非常識な腐女子に絡まれる」。
悲しい被害を防止する策をボランティアで打ち出しておられる方もいらっしゃいます。
サークル主と売り子さんの連携ツール、作ってみました。
「長話してるけど…売り子さんの知り合い?それとも絡まれてる?どうしよう…」みたいなとき
机の手前側に貼っておくと、指さしで意思伝達できるアイテム。ネットプリントから印刷できます。
(※私には1円も入らないシステムです) pic.twitter.com/3vDmYwhyJk— 倉戸みと@夏コミ3日目 東V-55b (@mitragyna) 2017年7月30日
「絵が描ける」人はもちろん、「サークル活動ができる」「ファンがたくさんいる」方も決して幸せいっぱいの人生ではないことが知らされます。
最近ファンの多い腐女子さんの中には「フォロワーさん以外のリプ不要です」と自分がフォローした絡みたい人以外と交流はしません!という意思をはっきり書かれる方も増えてきました。
古の腐女子である筆者がTwitterを始めた昔々の頃は、同人作家さんをTwitterでフォローをすると「フォロー返し」をしてくれる作家さんが多数ありまして、今でもフォローしてくださっています。
しかし近年「絵も描かない、小説も書かない、レイヤーでもないただの一ファン」の筆者がフォロー返しをして頂けることはほぼ無くなりました。
ファンが増えれば増えるほど、中には非常識な人もいて大変な苦労をされることもあり、必要以上にファンと接点を持たないようにする作家さんが増えたのかもしれませんね。
人は皆「有るが故の苦しみ」か「ないものねだり」。この実態を2600年前見抜いた人がいた
「絵が描けない」腐女子は交流が広がらず「萌え~~~」という気持ちを一人で噛みしめるしかない。
しかし「絵が描ける」腐女子は「自分よりもっと絵が上手い」「同人活動ができる」方が届かない世界の住人に見えて寂しく思える。
そしてファンがたくさんいる同人作家の方々は、ファンの期待に応えたいと身を削って作品を生み出しながら、一方で行き過ぎたファンに苦しめられている。
まさに前回記事でご紹介した
有田憂田 有宅憂宅 (大無量寿経)
の実態が知らされます。
ファンに愛される特技で活躍し「アフター誘われる」人は有るが故の苦しみを感じている。
そんな方々を応援するしかできない「アフター誘われない」人は「ないものねだり」で苦しんでいる。
お釈迦様はそんな人間の実態を、2600年前に「有田憂田 有宅憂宅」と表されました。
「誘われる人」にも「誘われない人」にも存在する、それぞれの苦しみ。
そんな誰もが抱える苦悩を解決する道が説かれているのがお経に残された仏の教えです。
筆者はまだまだ学んでいる途中ではありますが、自分と同じく「アフター誘われない」問題で苦しんでいる方に、人それぞれの苦しみを持つ人間が幸せになれる道をお伝えできたらいいなと思います。