1月18日に上映スタートした『映画 刀剣乱舞』。
ファンの予想をはるかに上回る、高い評価と支持を受け、異例の応援上映が急遽開催、一ヶ月を超える上映延長というロングランになりました。
『映画刀剣乱舞』新たに全国で50館以上の劇場で公開されることになりました!3月からのセカンドランもよろしくお願い致します。今まで観れなかった受験生の皆様もこの機会に是非。東北の劇場もたくさん追加されました。熱が広がり続けています。全国の審神者の皆様と劇場関係者に本当に感謝!
— 耶雲哉治 映画『ライアー×ライアー』Blu-ray&DVD発売中です! (@yakumomomo) February 18, 2019
筆者もお友達に受験生さんがおり「晴れて受験が終わったら一度でも映画館で見てほしい!」という思いから、映画館を「周回」する毎日。
3月1日からセカンドラン上映が始まる映画館も50館以上出てきており、この流れが全国的に広がって欲しいと思っています。
※「刀剣乱舞って何?」という方はこちらの記事で解説させて頂いています。
感想や考察を語らずにはいられない!『映画 刀剣乱舞』の深いストーリー
筆者は『映画 刀剣乱舞』キャストさんの一部が出演されている「舞台『刀剣乱舞』」(刀ステ)の大ファン。
同じ刀剣男士役として「刀ステ」キャストさんが出演されると知った日から、何人もの友人に「2.5次元と敬遠せずに見てほしい!」と映画館へお誘いしていました。
その結果、ありがたいことに20人近いお友達と『映画 刀剣乱舞』を鑑賞させて頂けることに。
見に来てくださった方のうち、8割近い方が映画館で「初とうらぶ」を味わった方でした。
一緒に鑑賞したあと「もう一度行きたい」「感想を語り合いたい」と言われる方も多く、『映画 刀剣乱舞』という作品の深さを感じています。
今回はある日「初とうらぶ」で鑑賞された方からお聞きした感想をご紹介。
『映画 刀剣乱舞』から学ぶ、幸せになるためのヒントをお伝えしたいと思います。
【あらすじ・ネタバレ注意】任務 織田信長を暗殺せよ 三日月宗近だけが知る、衝撃の真実とは
※ストーリーの核心部分に関するネタバレがあります。「映画刀剣乱舞」はネタバレ情報無しでご鑑賞頂きたい作品です。未鑑賞の方はご鑑賞後に読んで頂くことを強くお薦めいたします。
『映画 刀剣乱舞』では日本史上最大のミステリー、本能寺の変が描かれます。
天下統一を間近にした第六天魔王・織田信長が家臣の明智光秀の謀反に遭い自害した歴史事件。
『映画 刀剣乱舞』では過去にタイムスリップして歴史を変えようとする時間犯罪者・時間遡行軍により織田信長は本能寺を脱出します。
生き延びた信長は安土城に豊臣秀吉を合流させ再び天下人になろうと計画します。
任務 織田信長を 暗殺せよ
歴史上、生きているはずのない織田信長を暗殺する。
刀剣男士たちはこの任務を完遂するため出陣しました。
しかし隊長の三日月宗近が部隊から離脱、信長を望み通り安土城へ連れて行ってしまいます。
三日月の行動の裏にあったのは衝撃の事実でした。
本能寺の変で死んだことになっている織田信長は、裏の歴史、つまり本当の歴史では本能寺から脱出し安土城に入ることに成功していました。
しかし既に天下への道を歩み始めていた豊臣秀吉に裏切られ、明智軍の残党を殲滅するという名目で安土城は襲撃に遭い、信長は安土城で自害。
教科書に載っていない真実を唯一知る三日月は、仲間に裏切り者と思われるのを覚悟で、真の歴史を守るため奔走していたのです。
すべてを知った織田信長は、三日月が近侍を務める本丸に顕現したばかりの刀剣男士・骨喰藤四郎を人質にとりました。
そして三日月に自分の命を救うことを強要します。
織田信長「宗近、わしをここから連れ出せ」
三日月宗近「出来ませぬ」
信長「宗近!」
三日月「出来ませぬ!」
織田信長の心を動かしたのは、三日月宗近が胸に秘めてきた信念
信長「なぜじゃ。
わしは歴史を変えることが悪いとは思わぬ。
むしろ変えて見せよう。
それが、これより『正しい歴史』となる」
三日月「……そういうものなのでございましょうな、歴史とは。
しかし……それによって消滅する、あまたの名もなき人がございまする」
信長「仕方がない。戦の兵と同じじゃ、大勢に影響はなかろう」
歴史を改変することで、自分の寿命は伸びる。
あともう少しで天下統一を成し遂げられる時期にあった信長にとっては、自分に残された最後のチャンスでもありました。
数多の動物や昆虫、魚類がこの地球に存在する中で、人間に生まれることは容易いことではありません。
歴史が変わり信長が天下統一を果たせば、筆者も含め、いまこの現代に生きる人の多くは「生まれていなかった」ことになり一瞬で消え去るでしょう。
過去の歴史が変わるというのは私たちにとって大変恐ろしいことですが、信長の立場からみれば、未来生まれる多くの庶民より、自分が掴む天下を実現したいのも分かります。
今死ぬわけにはいかないと、なりふり構わず三日月宗近に協力を求める織田信長。
苛烈な野心と天下への強い執念に囚われた信長の心を動かしたのは、三日月宗近の刀でも霊力でもなく、言葉でした。
「左様、とても儚い……
長い年月を経るとそういうものが無性に愛しくなりまする。
昔は自分が大事にされるばかりでございましたが、
今では守りたいものが増えるばかり」
表の歴史と裏の歴史の両方を守り、さらには本丸で待つ主を守るため、孤独な戦いに身を投じていた三日月の本心が現れた瞬間でした。
三日月「信長公、歴史とは人。私はその人を守りたい」
信長「わしも人ぞ」
三日月「はい、ですから守りまする。
ここで散ったあなた様を
裏切った秀吉公を、
天運をかすめ取ったと笑い飛ばされました
あっぱれ魔王の死に様にございましたぞ
それに比べると、今のあなた様は少々格好が悪うございますな」
自分一人の天下のために、数多の命を踏みにじろうとしていた己の姿を知らされた信長は人質にとっていた骨喰を解放。
「ふ……やられたわ……」
と煙の中で笑い、燃える安土城で自ら命を絶ちます。
「とうらぶ」を知らない観客の心も揺さぶった、三日月宗近のセリフに隠れた人生哲学
一緒に鑑賞した「初とうらぶ」の方の多くが「凄く感動した」と仰っていたのが、三日月宗近が己の信念を露わにするこの場面でした。
鑑賞後、感想を友人たちと語る中で筆者が特に心を打たれたのは、尊敬する方の感想です。
友人の紹介で出会ったその方は、気品溢れる所作やお姿、どんな世代の人でも楽しく会話できる幅広い見識をお持ちな、筆者にとって憧れの存在。
若年層に人気のあるコンテンツにも広く関心を持ってくださる方で、『映画 刀剣乱舞』をお誘いしたときも、大変お忙しい中、快く予定を調整して下さいました。
そんな方が最も感動したのが三日月の
「左様、とても儚い……
長い年月を経るとそういうものが無性に愛しくなりまする。
昔は自分が大事にされるばかりでございましたが、
今では守りたいものが増えるばかり」
というセリフだそうです。
「私は三日月さんに比べたらずっと短い年数しか生きていませんが、若かった頃の自分を思い返すと、三日月さんと同じことを思うんです。
若い頃は自分一人のことで精一杯で、周りの人に助けられてばかりでした。
でも大事にされる経験を経る中で、後輩さんや貴女のような若い友達が増え、守りたい存在が増えていきました。
自分の人生と重なり、心から共感できたセリフでした。」
と仰っていたのが、強く心に刻まれました。
幾つになっても自分のことしか考えられない人も、世の中にはたくさんいます。
しかしこの感想を仰られた方は、筆者も含め、交友関係や職場、家庭、あらゆる場で多くの人に慕われていることがご本人が仰られずとも伝わってくる方です。
近年、自己啓発でも話題になってきた「利他(りた)」という言葉があります。
著名人では京セラの創始者としても有名な稲盛和夫さんが「利他」の意味とその大切さを語っておられます。
利己、己を利するために、利益を追求することから離れて、利他、他人をよくしてあげようという優しい思いやりをベースに経営していきますと、会社は本当によくなります。
仲間や未来に生まれる数多の人の幸せを願い、試練に立ち向かう三日月の姿はまさに「利他」の姿といえるでしょう。
「利他」の由来は「自利利他(じりりた)」という仏教用語です。
人の幸せを願い、誰かを思いやる「利他」の心そのままが、自分を幸せにする「自利」になるということが「自利利他」です。
反対に自己中心で自分さえ良ければいいという心を「我利我利(がりがり)」と言います。
目前に迫った天下統一のために、これから生まれる数多の命が消えることを「仕方がない」と言った信長。
その心は自分の栄光をおびただしい数の人命より優先した、「我利我利」の姿そのものにも見えます。
しかし筆者も振り返れば自分のことで精一杯な毎日で、決して信長のセリフを非難することはできない身であることも、信長の姿を見て感じました。
大事にされる中で、守りたいものは増えていく。カッコいい「じじい」になる生き方とは
毎日毎日自分のことで精一杯だと感じる方は、多くおられるかもしれません。
先程紹介したお友達はこんな感想も仰っていました。
「今は『自分が大事にされるばかり』でも良いんです。
自分が大事にされた経験を積み重ねてはじめて、年を経る中で守りたいものが増えてくると思います。
守られている自分をむやみに卑下するのではなく、大事にされて感謝する経験もいつか周りの人を大切にできる第一歩ではないでしょうか。」
友人に「不器用さん」と言われることもある筆者は、見かねた周囲の方に助けられてばかりの自身を自己嫌悪して引きずることがあります。
しかしこの方の言葉にあるように「自分が大事にされる」ことを大切に感謝することが、やがて三日月のような誰かを守るカッコいい「じじい」になる道なのかもしれません。
「長い年月を経るとそういうものが無性に愛しくなりまする。
昔は自分が大事にされるばかりでございましたが、
今では守りたいものが増えるばかり」
と優しく微笑む三日月宗近の目線の先には、刀剣男士として誕生したばかりの骨喰藤四郎がいました。
骨喰は出陣前に
「……よくわからない
歴史とは、守らなければならないものなのか?」
と言って周囲を動揺させていました。
しかしこの後、骨喰は三日月の窮地に助太刀し
「あんたの言った通り、俺にも、戦う理由がわかってきた」
と、無表情だった顔に美しい笑顔を浮かべて見せます。
仲間と数多の人命を守るために骨身を削って戦った三日月も、最後は主と仲間に命を救われ、皆に愛される近侍として本丸に帰ってくることができました。
自分が大事にされた過去を大切にすることは、自分も人も幸せにできる「自利利他」の第一歩。
『映画 刀剣乱舞』のカッコいい「じじい」三日月宗近の信念は、周りも自分も幸せにするために必要な深い人生哲学を私たちに教えてくれます。
『映画 刀剣乱舞』の内容紹介はこちらの公式シナリオブックから紹介させて頂きました。映画鑑賞時には気づかなかった新たな発見ができるのでファン必見です!