エスパーニャンコとトド松の本音で分かる、本心のままには生きられない人生|おそ松さんからの仏教

あまりの人気っぷりに早々に決定した第2クールが大好評放送中、どんどんファンを増やしているアニメ、「おそ松さん」。

おそ松さん16話「一松事変」では全国の、いや世界中の腐女子もびっくり!な驚愕の展開で、Twitterのトレンドは「一松事変関連」関連で埋め尽くされていました。

1月29日にはついに待望のBlu-rayやDVD「おそ松さん第一松」が発売され、ますます人気爆発する予感ダヨーン!な「おそ松さん」を今回も仏教の視点から探っていきます。

おそ松さん 第二松 [Blu-ray]

※前回記事はこちら
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人間の心が分かる「エスパーニャンコ」と六つ子の出会い

今回は「エスパーニャンコ」がテーマです。

「エスパーニャンコ」は、一松事変でも大活躍(?)だった一松がメインのエピソードですが、視聴者の共感も呼び、高い評価が寄せられ、一松ファンが増えたきっかけにもなりました。

今回はこのエピソードから、私たち人間の心について仏教の視点から考えていきます。

友達ができず唯一の友達がネコである、四男の一松

弟の十四松は、そんな兄を見て「唯一の友達であるネコの気持ちが分かれば兄は喜ぶのでは」と思い、デカパン博士という研究者のもとへ一松を連れていきました。お兄ちゃん想いですね。

相談を聞いた博士は「気持ち薬」という薬をくれます。

なんと、この薬は相手の本当の気持ちが分かるようになる薬でした

この薬は何故か巨体注射器でお尻に注射(!)するのですが、注射を怖がり暴れる一松の代わりに彼の唯一の友達、ネコが身代わりとして自ら注射を受けてしまいます。

薬を打たれた一松のネコは、人間の本当の気持ちが分かり、人間の言葉を喋れる「エスパーニャンコ」になりました。

エスパーニャンコを自宅に連れて帰った十四松と一松。

他の兄弟たちは興味津々でエスパーニャンコに話しかけます。

おそ松「チョロ松はオシャレだ」

エスパーニャンコ「チョロ松はクソださい」

おそ松・トド松「おおーーーーっ!!すげえ!!見抜かれた!!!」

チョロ松「見抜かれたじゃないよ!!そんなふうに思ってたの!?

トド松「チョロ松は面白い」

エスパーニャンコ「チョロ松はクソつまんない」

チョロ松「おい…!」

おそ松「チョロ松はかしこい」

エスパーニャンコ「チョロ松はクソバカ」

トド松「すっげえーー!!パーフェクト!!!」

チョロ松「イジメ?!イジメだろこれ!!」

トド松「でも・・・心配だなあ、この子悪用されちゃうよ、うちで保護しよう」

エスパーニャンコ「このネコ金になるな」

トド松「うっ!!ま、マスコミに知られたら、大変だし!」

エスパーニャンコ「サーカスもアリか?」

トド松「ううっ・・・!!一松兄さんの親友は、大切にしなきゃ!」

エスパーニャンコ「一攫千金!!アッヒャッヒャッヒャ!」

チョロ松「このドライモンスターめ・・・本音が駄々漏れだよ!!

トド松「ああっ・・・!!」(頭を抱える)

おそ松「ははは・・・こいつの前では誰も嘘つけないんだな・・・」

(アニメ「おそ松さん」5話「エスパーニャンコ」より)

その後、家から飛び出してしまったエスパーニャンコは、街中の人々の「本心」を暴露していきます。

まず選挙カーに乗り「ミーが当選すれば全部解決ざんす!」と街頭演説をするイヤミの前で、「本当は肩書きとお金を使って美人にちやほやされたいだけ」というイヤミの本心を聴衆の前で打ち明けてしまいます。

イヤミの本心を知ってしまった聴衆たちはがっかり。皆演説の場から立ち去ってしまいました。

さらに、授業中の教室に迷い込んだエスパーニャンコは、

「君たちに未来は無い」

という、教壇に立っていた先生の本心(!)を言ってしまいます。

さらにカルト教団の集会場に迷い込み

「よく信じるよね~」

という教祖の本心も信者の前で暴露してしまいます。

街中の人々の本音を次々に暴露してしまったエスパーニャンコは、ペラペラ余計なことばっかり喋りよって!!と人々に追い回され、ボコボコにされてしまいます・・・

エスパーニャンコと暮らしてみたいですか?

私たちが思っていることは、言葉だけではなかなか、伝えたい相手に伝わりにくいものです。

また相手の本当の気持ちを理解したいと思ってもなかなか正しく理解できず、行き違いを生んでしまうことも多々生活の中で起こります。

しかしエスパーニャンコは、正確に伝わりづらい人間の本心を正確に見抜き、そのまま言葉にしてくれます。

もしエスパーニャンコがいれば、メールやLineで自分の気持ちや考えを正確に伝えようと必死にならなくても、瞬時に相手の思っていることが分かり、自分の考えていることも伝えられますね。

さて皆さんは、エスパーニャンコと暮らしてみたいですか?

ある日もしエスパーニャンコが現れて、自分も相手も、本当の気持ちが分かる世界になったらどうなるのでしょう

昔見たことがある「キノの旅」というアニメに「人の痛みの分かる国」という話があります。

このエピソードには、心で思っていることが通じ合う世界が描かれています。

機械技術が著しく発達したとある国では、液体機械を飲むと、数十メートル以内に入れば、心が通じ合うようになりました。

しかしちょっと気に入らない程度のことでも、全て近くにいる人に伝わってしまうので、喧嘩が絶えず、住民たちの生活は破綻してしまいます。

結局社会を維持する機能はすべて機械が担い、人間たちは自分の心が読まれないように人に会わないようにし、皆一人ぼっちの国になってしまったのです。

この国の住民は主人公のキノに

「他人の痛みが分かってしまったら、まともに生きていけない」

と語っていました。

「本当の気持ち」が分かってしまったら、まともに生きていけないのは何故?

人の「本当の気持ち」が分かってしまったら、まともに生きていけないのは何故か。

その理由は人に言えないことを思っているのが、私たち人間の心の実態だからです。

自分の心が他人に知られるのが恐ろしいのは、良く見られるためには平然とウソを言い、良い人を装っているのが、私たち人間の姿だからなのですね。

「私はエスパーニャンコに心の中で思っていることを全部暴露されても大丈夫!」

という人はいないのではないでしょうか。

親、妻、夫を始めとする家族であっても、エスパーニャンコに本心を洗いざらい暴露されてしまうのは恐ろしい気がしてしまいますね。

「おそ松さん」の六つ子は、言いたいことを言いまくり、毎日働きもせずやりたいことをやっているようにみえますが(笑)そんな彼らでさえ、先月放送されたエピソード「トド松のライン」で、こんなやり取りをしていました。

末っ子のトド松はある日、他の兄弟たちに黙ってバイトやジム通い、囲碁を始めていたことを兄たちに知られ、「兄弟なのにちゃんと報告してよ!」と咎められます。

長時間兄たちにしつこく責められ、しまいにカチンときたトド松はこう言います。

「クッソめんどくせえ!!分かった!!もう隠し事は一切しないことにする!!それでいいんでしょ?!」

そして「トド松のすべて」と書いたホワイトボードを持参して、自分の本心を洗いざらい話し始めます。

「まずはこれ!!『フェチ』!!!

今まで足フェチって皆には言ってきましたけど、実はもっとディープな部分があります!!はい!ヘソのしわ!!」

思わぬ弟の暴露に固まっている兄たちを気にせず、続けるトド松。

「知られても全然平気!!だって僕たち何でも報告しあう仲の良い兄弟だから~!!

はい、じゃあ、次!!『兄弟ランキング』~~!!!

これは何かというと、僕には5人の兄がいますが!実は!!ひそかに好きな人の順位があります!!発表しま~~す!!まず1位は・・・」

兄たち「やめてえええええ!!!!!」

おそ松「もうやめて!!!そ、そんなの言わなくていいから!!!」

トド松「なんで??兄弟なのに??」

おそ松「いやリスクが高すぎる!今後の生活に支障をきたす・・・

チョロ松「つーかお前!!なんちゅうランキングつけてんだよ!!!」

トド松「ぶっちゃけだよ、ぶっちゃけ!

兄弟とはいえ性格の合う合わないはあってさ、無意識にこう・・・ふわっと順位つけちゃっているよね~

・・・ちなみにおそ松兄さんの順位はね・・・」

おそ松「だから言うなっての!!!」

チョロ松「兄弟ランキングぅ?!最下位だった場合死ぬしかないよぉ!!

(アニメ「おそ松さん」14話「トド松のライン」より)

このように、好きなことを言い、毎日本心のままに生きているように見える六つ子たちでさえ、「そのホンネは言われると人間関係が壊れる!」という部分があるのですね。

本心を言うと皆逃げてしまうから「いい人」を演じる私たち

「心口各異 言念無実」(大無量寿経)

という言葉が仏教にあります。

心と口は異なり、言っていることと、思っていること、共に真実はない。

口で言っていることと、内心で思っていることは違い、いい人と思われるためには平気で自分の心を偽ったことを言う。

なぜなら本心を知られたなら、演説中のイヤミのように周囲のみんなが逃げ出してしまうから

これが私たちの心の実態なのです。

だから現実社会で生きる私たちは、周囲の人が皆逃げていかないよう、いい人を演じています。でも演じて続けているうちに疲れてしまうことがあります。

そして心が疲れた末に「いい人症候群」になる人が近年増えているそうです。

いい人、演じて疲れてない?【いい人症候群】に悩む人が増えてる – NAVER まとめ

誰でも人に好かれたいし、尊敬されたいけど、無理していい人になろうとすると自分にガタが来てしまう。

心当たりのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

他人を意識するあまり、愛されることに腐心してしまう心理状態をアメリカの心理療法医であるロバート・A・グラバー氏はナイスガイシンドローム、つまり「いい人症候群」と名づけたそうです。

もしエスパーニャンコに出会って、思っていることを全部ぶちまけられたら、家族も友達もみんな逃げ出して孤独になってしまう。

本当の自分を出せたら、どんなに楽かと思いますが、自分のことを受け止めてほしくても、本心は誰にも受け止めてもらえない

そんな私たちは、こんなに人が溢れた社会にいながら、本心はいつも孤独なのですね。

本当の自分の心をさらけ出して、なお受け止めてくれる人がいたらそれほど嬉しいことはないですが、悲しいことにそんな人はいないのです・・・

理解されない「本当の気持ち」を抱える私たちが幸せになるには?

仏様は、そんな私たちの本心を見抜かれた上で、その私が心から安心して生きられる人生があると教えられています。

エスパーニャンコに本心を暴露されたらとてもまともに生きていけない私たちが幸せになるためにはどうすればいいのか、仏教にはその答えが示されているのです。

私たちの「本当の気持ち」を理解してくれる仏様の教えを学んで、幸せな日々を送りたいものですね!

大反響だった25日の16話「一松事変」。

このエピソードでは一松が、普段「クソ松」と口では蔑んでいる兄カラ松の服をこっそり着てみたり、俺はもうカラ松Boysだよおおお!!」と兄を内心では尊敬している部分があることも明らかになったりしました。

まさに言動と、内心が全く違う一松ですが、次回はそんな一松の本心から、私たちが幸せになるヒントをお伝えします。

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