7つの習慣と仏教:身につけておくべき主体的と因果の法則の考え方

こんにちは。ライターのねりうめです。

現代の大ベストセラー「7つの習慣」と、2600年前から伝わる仏教の教え。全く違うように思われる2つですが、実は、どちらも人生をより良くするための、共通した教えが語られていることはご存知でしょうか。

このシリーズでは、「7つの習慣」と仏教の教えの共通事項を探り、人生をより良くするための考え方を探っていきます。

「7つの習慣」とは

1996年に出版された、「7つの習慣」。米国のフォーブス誌では、もっとも影響を与えたマネジメント部門のトップ10に入るほどのベストセラーで、その出版数は、全世界で3,300万部を突破しています。

著者は、スティーブン・R・コビー博士(1932 – 2012)。アメリカ合衆国の経営コンサルタントをされていた方です。「世界で最も大きな影響力を持つ経営コンサルタント」とも言われていました。

「7つの習慣」では、人生で成功するために、自己の習慣を変えることを教えています。その中でも、最初の習慣、「主体性である」は、7つある習慣のなかでも、最初に身につけたい基本の習慣です。いったいどんな習慣なのでしょうか。

主体的=自分で行動を選択する

主体性という言葉がよく会社で使われますね。主体的な人は、以下の状況例ではどう振る舞うでしょうか。

仕事を頑張っている会社員のA男くん。今日は大事なデートの日。デートを励みに仕事も集中、ですが、気づいたらもう定時。
ここで帰ろうとした時に上司から一言、

「悪いが、今日の夜、残ってくれないか?」

どうやら、緊急のトラブルのようです。さて、あなたがA男くんなら、彼女とのデートを選択しますか、それとも上司の言われるがままに残業をし、大事なデートをキャンセルするでしょうか?

A男くんが主体的な人なら、その場の状況を考え、自分の価値観に従って、考えて行動するでしょう。

残業をするというが、それは自分でしかできないのか、誰かに頼めないか、頼めないにしても、短時間で終わらせることが可能か、それとも今でないとダメな部分はどこなのか、過去デートをキャンセルしたとこがあるなら、キャンセルする代わりに今度のボーナスで旅行に行くとか、遅くなる代わりにおいしいアイスを買っていこうか、と、選択肢を考えつつ、最終的には自分の価値観に基づき、仕事とデート、重視する方を選択するでしょう。

逆に、A男くんが主体的でないなら、どうなるでしょう。自分の嫌いな上司だから、という理由で仕事をサボるかもしれません。もしくは、デートにどうしてもいきたいから、デートに行く。しかし、残業をしないことで、上司からの信頼など、失われることについては考えていません。

いずれにせよ、その場の感情に流されてしまっています。

主体的とは、結果の責任もうけること

7つの習慣で言われる「主体的」とは、どのような状況に置かれても、自分の価値観に基づいて、行動を自分で選択することだけでなく、行動によって現れる結果も、引き受けることも意味します。

先ほどの例で、主体的なA男くんは、行動を選択したのは自分なので、その結果がどうあれ、言い訳はできないと考えます。
自分が選んだのだから、自分の責任。たとえ失敗したとしても、少なくともだれかのせいにすることはないでしょう。

7つの習慣では、「主体的」の反意語として、「反応的」という言葉を使っています。
もしA男くんが「反応的」ならば、自分が行動して起きる結果についてはどう考えるでしょうか。
例えば、デートに行く選択肢をとると、残業をしないことで、上司からの信頼を失うかもしれません。
自分で行動を選択しないので、この結果について文句をいうでしょう。

まとめると、「主体的」な人は、自分で、行動し、自分で責任を取り、例え選択の結果が悪くても、他者や周りの状況のせいにはしません。「反応的」な人は、感情や周りの状況に流されるので、悪い結果も周りのせいにします。

仏教で教えている因果の法則

科学の世界では、因果律という今では当たり前の因果関係が前提の上で研究されています。

結果を起こした原因が、必ずある、という前提がないと、この世の科学のすべての研究は成り立ちません。例えば、りんごが落ちるのも、原因なしに、単なる運が悪かったから落ちてきた、では科学とは言えないですよね。

仏教でも、結果があればその原因がかならずある、原因なしに結果は起こらないと教えられています。スイカが育つには、スイカの種を埋めなければなりません。種が原因、育ってできたスイカは結果ですね。これは、「因果応報」とも言います。

また、よい結果はよい行いから生まれ、悪い結果は悪い行いから生まれるとも教えられています。前者は「善因善果」、後者は「悪因悪果」と呼ばれています。

勉強をすれば、テストに受かるけど、しなければ受からない。だれでもわかる当然のことですが、これも因果律。勉強というよい行いが、テストに受かるというよい結果につながるのですね。

「自因自果」という言葉もあります。自分に訪れる結果は、必ず自分がやった行ない(因)が原因なのです。他人がやった行ないで自分に結果が訪れるということはありえません。

ですので、もし自分にいい結果があったなら、それは自分がやった善い行ないが花咲いたもの。他人が勉強したから、自分がテストに受かるなんてことはありません。

まとめ:主体的であれば、自分を深く見つめ、成長できる

よい結果が起こったら自分が頑張ったから、とは思いますが、逆に悪い結果が自分に起こった時は、どうでしょう。そんなとき、人間は得てして、自分のせいではなくまわりの環境や、他人のせいにしがちです。

主体的であれば、自分の行動によって自分に結果がかえってくる(自業自得)ので、悪い結果を素直に受け止め、反省することができます。
自分を深く見つめることで、今後のミスを防げますし、また、他人を恨むこともなくなるので、上司や部下との信頼を保つことができるでしょう。

反対に反応的な生き方だと、流されるまま行動するので、悪い結果は他人のせいにしてしまう(他因自果)でしょう。
すると、反省もなく、いつまでたっても成長がありません。

「自分に起こる結果の原因は、自分にある」

7つの習慣でも仏教でも、自分で責任をもつことの大切さが真摯に説かれているのです。