こんにちは、YURAです。
先日、リオデジャネイロオリンピックの閉会式が行われました。
日本は過去最高41個のメダルを獲得したと話題ですが、そんなオリンピック真っ只中に放送されていたのが、イ・ジョンソクとハン・ヒョジュ主演の韓国ドラマ「W」です。7月20日からスタートし、現在放送中の人気ドラマです。
ここ数年の韓国ドラマでは、時空を超えてタイムスリップする話はいくつか作られましたが、「W」は少し違います。ウェブ漫画と現実世界とが行き交う、初めての発想です。
今回はドラマ「W」から命について学びたいと思います。
(MBC 수목드라마 W 방송 より引用)
韓国人気ドラマ『W』あらすじ
主人公オ・ヨンジュ(ハン・ヒョジュ)は研修医です。彼女の父親は、今大人気の売れっ子漫画家です。
ある日、その父親が失踪してしまいます。
ヨンジュは失踪の手がかりを掴むため、父のアトリエに行きます。そこにあった父の連載中のウェブ漫画の中に引きずり込まれ、漫画の主人公カン・チョルと出会います。
カン・チョルは射撃競技のオリンピック選手でした。
2004年のアテネオリンピックで、金メダルを取り、輝かしい人生が待っているはずでした。
ところがある晩、カン・チョルが帰宅すると、一家全員が射殺されていました。息子のカン・チョルは、すぐに疑いがかけられます。
そして殺人に使われた凶器が、カン・チョルがオリンピックで使用した銃であることが判明し、死刑判決を受けます。しかしその後、最終審では証拠不十分により無罪が言い渡され、釈放されます。
法的には無罪になったカン・チョルですが、家に帰っても待っててくれる家族もおらず、一歩外に出てコンビニでも行こうものなら、冷たい視線と噂話が待ち受けています。
これからの人生を思うと耐えられなくなった彼は、ある晩、自殺という選択を決意してしまうのです。
自殺の名所・麻浦大橋と「命の橋」プロジェクト
韓国で有名な橋の一つに、麻浦大橋(マポ おおはし)があります。
この橋はソウルにある漢江に架かっている橋の一つですが、自殺の名所として知られています。劇中でカン・チョルが自殺場所に選んだのも、麻浦大橋でした。
残念なことに、韓国は自殺者が多い国として挙げられ、以下の記事では世界2位の自殺率であることが示されています。
このように、あまりにも自殺が多いことから「命の橋」プロジェクトが進められました。
このプロジェクトは、夜歩くとライトがつき、手すりに書かれてある温かいメッセージや写真を見てもらい、自殺を試みようとする人に“生きる勇気”を与えるプロジェクトです。
(自殺防止キャンペーン「命の橋」動画)
このキャンペーンの取り組みは世界中でシェアされ、麻浦大橋での自殺率は減少、カンヌライオンズ2013では多数の賞を獲得しました。
カン・チョルが自殺を留まった理由
自分が死んだら家族が悲しむかもしれない、と想像すると自殺を止まる気持ちも出てきますね。
しかし、そこまで考える余裕がないほど深刻な状況であったり、カン・チョルのように家族を亡くし、自分の死を悲しむ家族がすでにいない人もいるでしょう。
そんな人の自殺は、どうやって止めればいいのでしょうか。
とても難しい問題ですね。
ところがドラマでは、そんなカン・チョルが自殺を留まります。
なぜ止まったのでしょうか。
世間の目に疲れ切り、支えてくれる家族も自分にはいない。そんなカン・チョルが自殺を留まった理由は、犯人への復讐でした。
死ぬ前に、自分にはやるべきことがある。
自分や自分の家族をこんな風にした犯人に必ず復讐してやる、という強い目標ができ、自殺を思いとどまりました。
目標は満足なく、常に移り変わっていく
ここで復讐することがいいことだ、ということではありません。
私たちが生きたいと思うのは、「生きる意義」があって初めて生まれる心だということです。
では、生きる意義は何でもいいのでしょうか。
私たちはそれぞれ何かしら目標を持って生きています。
学生であれば進学や就職、社会人であれば仕事の成果や昇進、そして結婚。
これが求まればいいな〜、これがあったらきっと幸せになれる、と思って頑張っています。
しかしよく、考えてみてください。
希望の大学に進学できたら次は理想の会社に入りたい。理想の会社に入れれば昇進したい。昇進の次は結婚。
結婚の次は子供に、マイホーム…と、目標は常に移り変わり、限りがありませんよね。
いったい、どこまで頑張れば満足できるのか。
世の中を見渡すと、昇進したが故に仕事に忙殺される人、夫婦生活に悩んでいる人、災害でマイホームが倒壊して悲嘆に暮れている人など、手に入れたものに満足するどころか、それが悩みの種になっている人がとても多いと感じます。
先日も、俳優の息子が罪を犯し、女優であるお母さんの涙の謝罪会見が大きく報道されていました。
女手一つで育ててきた子供に裏切られたお気持ちは察するに余りあります。
手に入れても満足できずに苦労するなら、じゃぁもう何もいらない!
最近韓国でも「無所有」という本が流行ったそうです。何も持たなければ、何も求めなければ失うものもないし、平穏に暮らせるはずだという人もいます。
しかし、それでも何かに支えてもらわずには生きていけないのが私たちであり、今までの支えを失うことが必ずあります。
突然肉親がなくなったり、自分自身が事故に遭い、勤めていた会社で働けなくなったりするかもしれません。
根本的に自殺を止める「生きる意義」
では一体、何のため生きればいいのでしょうか。
麻浦大橋の「命の橋」プロジェクトは、それにより多くの人が自殺を留まれたのですから素晴らしい取り組みです。
しかし、一時的にはメッセージや写真で励まされ、自殺をやめたとしても、また人生の苦しみにぶつかったなら、今度こそ自殺をされてしまいかねません。
自殺を根本的に止めることのできる「生きる意義」を知らせることが大切です。
その「生きる意義」を仏教ではハッキリと答えられています。
生きる意義とは何か。それは、自分の命がどれほど大切かを知るところから始めなければなりません。
自分の命に何の意味があるのか、何の価値があるのか。それがわかったときに、生きる気力が湧いてきます。
命の価値について、同じ韓国の人気ドラマである『太陽の末裔』を通して、仏教の言葉を紹介しながら詳しく書きました。
ぜひこちらの記事も読まれて、仏教で説かれる「命の価値」を知っていただきたいたいです。