「おそ松さん」の“あざトッティ”に襲いかかった悲劇から学ぶ「ねたみ・そねみ」の本性とは?|おそ松さんからの仏教

ついに大人気アニメ「おそ松さん」が舞台化しました!

名残惜しまれながら3月に放送された「おそ松さん」最終回では、挿入歌『第四銀河団付属高校校歌』を解読すると今後舞台化があるらしい!とネット上で話題になりましたが、まさかの本当に舞台化が実現したのです

色松に夢中な私自身も、舞台の内容が今から楽しみでなりません。

<おそ松さん>人気アニメが舞台化 イケメン俳優が六つ子演じる (まんたんウェブ) – Yahoo!ニュース <おそ松さん>人気アニメが舞台化 イケメン俳優が六つ子演じる (まんたんウェブ) - Yahoo!ニュース

ニュースでも取り上げられ、ますます人気に火がついている「おそ松さん」から学べることについて、今回も解説していきます。

※シリーズ第1回はこちら

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「おそ松さん」の六つ子たちは作中で、人間が持つ「煩悩」の本性を分かりやすく教えてくれています。

今回は、煩悩の中でも特によく知られる「欲」や「怒り」の心について第7話「トド松と5人の悪魔」から解説した記事の続編です。

※前回の記事はこちら

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ニコニコ動画で110万再生を超えた大人気エピソードから学べる「ねたみ・そねみ・うらみ」の心とは? お話ししていきます。

スタバァコォヒィーで惨劇を引き起こした「愚痴」

スタバァコォヒィーでバイトを始めた末っ子・トド松

バイト仲間の可愛い女の子と仲良くなり、念願だった合コンに誘われて狂喜乱舞していました。

しかしその日、六つ子の兄たちがスタバァコォヒィーにやってきてしまいます。

兄の存在をバイト仲間の女の子たちに知られたくなかったトド松は、兄たちに怒りを当たり散らし、早く消えろと大量の殺虫剤を吹きかけます

一方、おそ松たち5人の兄たちの心にも、ある心が渦巻いていました。

その心は「愚痴」の心です。

「愚痴」は「ちょっと仕事の愚痴聞いてほしいんだよね~」というように、不平不満の言葉として日常使っていますが、もともとは仏教語で、本来の意味とは異なります

本来の「愚痴」は、ねたみ・そねみの嫉妬心や恨みの心を指します。

そんな嫉妬心はどんなときに出てくるかというと、欲が妨げられ、しかも怒ったところで敵わない相手に対して出てきます

いくら自他共に認めるダメニートとはいっても、おそ松たち5人の兄たちにも
「モテたい」「認められたい」というような名誉欲があります。

でも六つ子の中で一番世渡り上手なトド松には、おそ松たち5人の兄が束になっても、モテさでは絶対に敵わない。
するとトド松に対して、ねたましい心が湧いてくるのですね。

このように悔しいからと怒ったところで敵わない、自分より優れた人に対して起こってくるのが、ねたみ・そねみ・うらみの「愚痴」の心です

そんなただでさえ敵わない弟に、おそ松たちは酷い仕打ちを受けました。これによりおそ松たちの心には弟への強い「うらみ」が芽生えます。

(うらみ・ねたみ・そねみの違いについて詳しく知りたい方はこちらの記事を御覧ください)

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愚痴の心で悪魔と化した5人の兄

そして兄たちの愚痴の心を爆発させる事件が起こります。

バイト先の女の子がトド松を合コンに誘っていたことを、兄たちが知ってしまうのです。

女の子「あ!ねぇ、そういえば、さっきの合コンの件なんだけど」
おそ松たち(((((ご、合コン!?))))))

女の子「トッティ、友達呼べないの?」
おそ松たち(((((トッティ!?)))))

女の子「大学で聞いといてよ★」
おそ松たち(((((大学―――っ!?)))))

トド松「あーっ・・・!あの!その件は、あ・と・で!!」

女の子「トッティ確か慶應だもんね!」
「イイ人連れてきて」
「楽しみにしてるね!」

“合コン”という単語を聞いた瞬間、おそ松たち5人の表情は急変

兄たちのことを「黄ばんだパンツ」のような存在と言い、殺虫剤を吹きかけてきた弟は、バイト先でカワイイ女の子に“トッティ”と呼ばれ、自分たちが一生縁のなさそうな”合コン“に誘われていた・・・

この事実を知って、兄たちは「ねたみ・そねみ・うらみ」の心が大爆発
トド松の面子を徹底的に叩きつぶそうとします。

おそ松たちは、席を強引にカウンターの前に移動、コーヒーを床に垂れ流し、わざと手を滑らせて弟の頭に熱いコーヒーをぶちまけました。

さらに四男の一松はテーブルの上で下半身を露出して脱糞未遂。もう立派な犯罪です(笑)

トド松が、床を見ると今度は他の兄たちが、仰向けに寝転がってクネクネダンスをしていました。

おそ松「ごめんねぇ、トッティ~」
カラ松「俺たち、こんなお店場違いだったなぁ~」
チョロ松「黄ばんだパンツだから~」

トド松「すみませんでした・・・!!もう許してください・・・!!」

おそ松「ええ~何かなぁ~~!?」
カラ松「俺たちを虫ケラ扱いしたことォ~~!?」
チョロ松「それとも周りに慶応の学生って嘘ついてることぉ~!?」

トド松「ああああああーーーーーーーッ!!!」

おそ松「てか合コンって何~~」
カラ松「な~~に~~?」
チョロ松「どんな字書くのォ~~~!?」

警察沙汰になり体面を汚されたくないトド松は、兄たちをトイレに押し込め、これ以上世間の目に触れないようにします。

しかしトイレの中では押し込めた兄たちが暴徒化。

兄たちに脅迫されたトド松は合コン当日、5人の兄と共に合コンに参加させられ、黄ばんだパンツを頭に被って女の子ドン引きの芸をさせられる羽目に・・・

一連のトド松が自身の面子を守ろうと必死になる様、兄たちの嫉妬と恨みに狂った行動が絶妙なテンポで描写されたこのトッティ回は、アニメ史に残る人気エピソードになりました。

ただ、もし私たちがおそ松たちと同じ立場だったら…と考えると、なかなか笑えない話でもあります。

愚痴が「おろか」と言われる理由

スタバァコォヒィーで立派にバイトをし、職場の人間関係も良好に築いていたトド松。

そんな弟を見ておそ松は最初

いつの間に努力してやがったんだ!
こんなに差がついてるとは…

と悔しがっていました。

悔しいけれど、弟が社会に出てちゃんと働き、女友達までできたのは、本人の努力によるものだと認めていたのです。

ところがトド松に酷い仕打ちをされ、愚痴の心が爆発したおそ松たちは、そんな弟の努力など一切忘れてしまいました
また、おそ松たちは弟に汚点と思われても当然な、日頃の行いも忘れています。

愚痴の愚は「おろか」と書きます。

何が愚かなのかというと、幸せそうな他人の栄光の陰にある努力に気付かず、楽ばかりしてきた結果苦しんでいる我が身の「オソマツ」さに気付かないところが愚かなのです

弟の努力の結果を認められず、幸せそうな姿を見ると引き摺り下ろす。
そんなおそ松たちのねたみ・うらみ・そねみの愚痴の心こそが、「おそ松さん」という名前の所以なのかもしれませんね

兄弟や仕事仲間のような、自分に近い人であればあるほど、愚痴の心でなかなか正しく人の努力を認めることはできないもの。

それでも愚痴の心を持つ私たちであることを正しく見つめ、周囲の人の努力を認めるよう心がけ、自らの行いを反省することは、幸せへの鍵なのですよ、と仏教では教えられています。

愚痴の心で足を引っ張り合った六つ子の末路

クリスマスの日、チビ太のお店でおでんを食べながら、六つ子たちは彼女ができないことを嘆いていました。

おそ松「誰か紹介してよ~~」

チョロ松「トッティは?」

トド松「あ?」

チョロ松「ほら、スタバァで知り合った女の子いたでしょ、連絡取ってないの?

トド松「あれ以来Line返ってこないよ!!!

一松「へ~~なんで?

トド松「『なんで』!?よく言えたね!?

(アニメ「おそ松さん」11話「クリスマス飲み」より)

トド松は結局兄たちに職場を荒らされた後、バイトを辞めてしまいました。

そしてスタバァで知り合ったカワイイ女の子には絶縁されてしまったようです・・・

弟の努力を祝福し、応援していれば、ひょっとしたら晴れて恋人ができたトド松に彼女の女友達を紹介してもらえたかもしれないのに・・・

愚痴の心で弟を引き摺り下ろしたおそ松たちは、結局誰も幸せになれなかったのでした

愚痴の心は人間誰でも持っていますが、自分も周りも不幸にする心だということが、「おそ松さん」の六つ子を見ているとよく分かりますね

次回は「おそ松さん」の自称超絶可愛いヒロイン、トト子ちゃんを通じて愚痴の心をさらに深く見ていきたいと思います。