【刀剣乱舞】数珠丸恒次のセリフ「一切皆苦」の意味とは?天下五剣が説く、この世の苦しみ

刀剣乱舞』がついに実写映画化します。

刀剣乱舞、初の実写映画化決定。公開は2019年 

オリコン週間映像ランキングで1位を幾度も獲得した『舞台 刀剣乱舞』シリーズの人気俳優さんがキャストとして起用。 さらに「仮面ライダー」シリーズで知られる小林靖子さんが脚本を担当されることで大きな話題を呼んでいます。

放送中のアニメ・続『刀剣乱舞-花丸-』も話題を呼んでおり、原作ゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』のリリースから3年が経つも衰えない人気の高さですね。

そんな『刀剣乱舞』で活躍するのは、プレイヤーである審神者(さにわ)の力によって美しい人の形を得た「刀剣男士」たち。

「刀剣男士」はただカッコいいだけでなくセリフに深い意味があるキャラも多く、考察が盛んに行われてきました。

このコラムでは現在放送中の続『刀剣乱舞-花丸-』第2話に登場した数珠丸恒次という刀剣男士について、その深いセリフから学べることをお伝えしていきます。

続『刀剣乱舞-花丸-』にいきなり登場!仏道を求める天下五剣・数珠丸恒次の深いセリフ※破壊セリフネタバレ注意

1月14日に放送された第2話「明日もいい日になりますように」でいきなり初登場した数珠丸恒次。

原作ゲームでは現在最難関ステージである「江戸城内」で稀に入手できる超レア刀剣男士で、数珠丸恒次が入手できなくて苦しんでいる通称「数珠丸恒次『難民』」なプレイヤーも多くいます。

難民の一人である筆者は「江戸城内」を日課のように周回中ですが入手できません(泣)

そんな数珠丸恒次をうまくゲットできた方は、儚く美しいビジュアルと大御所声優・緑川光さんのイケボで紡がれる、何やら深いセリフに惹きつけられるのではないでしょうか。

「私は、数珠丸恒次と申します。

人の価値観すら幾度と変わりゆく長き時の中、仏道とはなにかを見つめてまいりました

鎌倉時代の僧侶が身につけ、柄に数珠を巻いていたとされる数珠丸恒次。

刀だった長い時の中で一時、持ち主が求めていた仏道に関心を持ち見つめてきたといいます。

「少々瞑想して参ります

「傷が癒えるまで、しばし仏道の精進に励みます

というセリフもあり、審神者の力によって人の肉体を得たこの機に仏道を求めようとする姿勢が伝わってくる発言が多いです。

続『刀剣乱舞-花丸-』第2話でも数珠丸恒次は「衆生済度のため修行に勤しむ」と言う刀剣男士・山伏国広と山中で修行に励む様子が描かれていました。

また第8話では天下五剣に対抗心を燃やす刀剣男士・大包平が登場しましたが、天下五剣なのに数珠丸恒次に対しては

「こちらこそ、よろしく頼む」

と頭を深く下げる描写が描かれていました。

原作ゲームでも数珠丸に対する大包平の態度は話題になったことがあり、仏道を求めようとする姿が他の刀剣男士からも一目置かれているようですね。

そんな数珠丸恒次ですが、元々は刀剣でも今は人間の体ですので致命傷を負うと死んでしまいます。

審神者にとっては決して聞きたくないそのセリフですが、彼は最期にこう言い残します。

一切皆苦 諸行無常  こうなるのもいつかはありえたことです

「この世は苦しみに満ちています」数珠丸恒次が語る「一切皆苦」の意味

審神者との別れへの思いを吐露するセリフが多い「刀剣破壊ボイス」ですが、数珠丸恒次の最期のセリフは四字熟語の羅列から始まるというインパクトの強さ。

数珠丸恒次が主である審神者に最期に残す言葉 「一切皆苦 諸行無常」とはどういう意味なのでしょうか

後半の「諸行無常」については、以前こちらの記事でご紹介しましたので、今回は前半の「一切皆苦」について数珠丸のセリフから学んでみたいと思います。

(参考)「諸行無常」についての解説はこちら

『刀剣乱舞』の数珠丸恒次が言うセリフ「諸行無常」ってどういう意味?天下五剣から学ぶ仏教の基本

この世は苦しみに満ちています

それを和らげるのが信仰であり、僧の役割なのです」

数珠丸恒次を近侍に任命すると、私たち審神者に語りかけてくるこの言葉は「一切皆苦」を平たい表現で伝えてくれています。

この世界のすべてが、結局はすべて苦であるということ。

一切皆苦(いっさいかいく)とはーーーコトバンク

一切とはこの世に存在するすべてのもの。

この世にある一切のものは全て苦しみ、まさに「この世は苦しみに満ちています」という意味です。

仏教思想の中では非常に有名な言葉で、仏教の根本的な理念を示す3つの教理である「三法印」にこの「一切皆苦」を加えて「四法印」と呼ぶこともあります

僧侶のように袈裟を身にまとい、数珠を持って戦う刀剣男士・江雪左文字も近侍にすると

「世は、悲しみに満ちています。……救いはないのでしょうか」

と言います。

悲しみは苦しみですから、仏教を学ぶ上での基本ともいえる言葉を江雪さんも教えてくれているのかもしれません。

仏教を説かれたお釈迦様は仏の悟りを開かれたときに「人生は苦なり」と仰い、私たち人間が生きていく上で避けられない人生の苦しみを大きく8つに分けて「八苦」と教えられています

今回はその中でも、審神者の私たちにとって身近な苦しみに焦点を当ててお伝えしたいと思います。

審神者なら誰もが痛感せずにおれない苦しみ・求不得苦と愛別離苦

よく「推しのグッズを手に入れるのに四苦八苦した」というように、苦労したという意味で使われる「四苦八苦」は元々は仏語です。

八苦の中でも、審神者の私たちにとって最も身近な苦しみは「求不得苦」ではないでしょうか。

『刀剣乱舞-ONLINE-』では「鍛刀イベント」というレア刀剣男士を稀に入手できる機会があります。

この機会に未所持の刀剣男士を手に入れようとする方は多いですが、目当ての刀剣男士を入手するのは非常に難しいです。

筆者は鍛刀イベントに縁がなく、鍛刀イベントでしか入手できない刀剣男士は一振りも入手できたことがありません。

また各ステージやイベントで「ボスを倒すと稀に入手できる」刀剣男士もおり数珠丸恒次もその一人ですが、冒頭でも言ったように筆者は「数珠丸難民」です(笑)

自分はいくら周回しても入手できない刀剣男士をTwitterで友人たちが次々入手していく…

そんな様子を見たとき湧き上がってくる心はまさに「苦しみ」

欲しくてたまらない刀剣男士がお迎えできない、求めても求まらない苦しみを「求不得苦」といいます

もう一つご紹介するのは「愛別離苦」。

愛し大事にしている人やものと、別れなくてはならないときの苦しみです。

筆者は刀剣乱舞でこの「愛別離苦」を痛感した出来事があります。

昨年11月14日、メンテナンスがありました。

いつも刀剣乱舞のメンテナンスはだいたい予告通り終わりますが、仕事後ログインしようと開いた画面には「メンテンス中」の文字。

公式Twitterではメンテンスが延長しているアナウンスが流れていましたが、終了時刻は未定。

会社の帰り道、真っ先にログインして癒されている刀剣乱舞ができない!

この苦しみは筆者だけでなく、多くの審神者を苦しめました。

非公式の情報配信サイト「刀剣乱舞速報」のコメント欄には「大好きな刀剣乱舞ができない!」と悶え苦しむ審神者たちが苦しみをコメントに表しています。

「むずぁああああああああぉぉうう、禁断症状がー!!!」

「こういう時いかに自分が中毒者か思い知らされる。はよ。」

「この時間いっつもコレしかしてないから何していいのか分からないの…」

2017/11/14メンテは22時45分終了!延長時間5時間45分と言う2倍以上延長された伝説のメンテとなる

ご紹介したのはほんの一部ですが、この日メンテンスが開ける22時45分まで、審神者たちを苦しめたのはまさに「愛別離苦」。

大好きな刀剣男士たちと画面で会えない苦しみは、会えなくなって初めて分かるものです。

人気絶頂のコンテンツ『刀剣乱舞-ONLINE-』はサービス終了の兆しは一切ありません。

しかしゲームの世界は栄枯盛衰のスピードが速く、刀剣乱舞もその例外ではないでしょう。

いつか刀剣乱舞を凌駕する新しいブームが来て、刀剣乱舞がサービス終了したら…

ヘビーユーザーの筆者にとっては、その時の苦しみを想像するとゾッとするほど恐ろしいです。

しかしその刀剣男士たちを見て楽しむ私たちの命もまた有限。

いつか必死に育成した刀剣男士とも、ネット上やリアルを問わず審神者仲間と交流した思い出ともサヨナラしなければならないときが来るでしょう。

これが「愛別離苦」。

数珠丸恒次の

一切皆苦 諸行無常 こうなるのもいつかはありえたことです

の言葉そのものですね。

今回ご紹介した八苦の中の2つは刀剣乱舞の話に限らず、どちらも身近で避けられない苦しみです。

数珠丸が真摯に求める仏教は、時代を問わず人間の苦しみを解決するために説かれた教えです。

苦しみの根本を解決するには、まず何に私たちは苦しんでいるのかを知ることが第一歩だと教えられています。

今回はそんな仏教の深い人間観のほんの一部を数珠丸恒次のセリフを通してお伝えさせて頂きました。