最近では映画やドラマの主題歌も多く有名になり、知る人の多いバンド「サカナクション」。
よく周りの人にサカナクションが好きという話をすると「おしゃれだね」と言われますが、私が思うに彼らは、ただおしゃれな曲を歌っているわけではありません。
彼らの魅力は、文学的で深く考えさせられる詩を、おしゃれに彼ららしく歌いこなしているところにあるのではないかと思います。
そんな数々の素晴しい曲の中で今回ご紹介したいのは、「蓮の花」という曲です。
実はこの曲、芥川龍之介の蜘蛛の糸をモチーフにしてかいた曲なのです。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」とは
蜘蛛の糸とは、芥川龍之介の初めての児童向け短編小説で1918年に発表されました。
物語のあらすじですが、地獄に落ちたカンダタという名の泥棒の男が蜘蛛を助けたことから、なんとかこの男を助ける縁を与えたいと考えたお釈迦様が、蜘蛛の糸を垂らしこの男を助けようとします。
しかし、のぼっている最中に自分以外の地獄にいる罪人もいまにも切れそうなその糸でのぼってこようとします。罪人たちを振り落とそうと暴れ、これは俺の糸だと叫んだ瞬間糸はぷつりと切れます。結局自分だけ助かろうとした男は元の地獄に落ちてしまいました。
この物語は日本むかしばなしでもアニメ化されており、2011年には新たな解釈を加えて現代劇として映画化もされています。
皆さんもきっと一度は名前を聞いたことがある名作かと思います。
「蓮の花」の歌詞の意味
では、まず歌詞の一部をご紹介します。
そう
今朝逃がした
あの小さい蜘蛛
どうしてるだろうAh
終わらないな
疲れる夜がまってるせめて
静かに君を妄想したいのにそう夢をみた
あの小さい蜘蛛君みたいだったAh 蜘蛛の糸
花揺る蓮までたれさがって
苦しむ僕をひっぱりあげてよ花降る花降る水辺
花散る花散る風で
あらゆる あらゆる技で
花びら花びら咲かそう
「蓮の花」作曲の背景・ボーカル山口一郎さんの苦悩
この「蓮の花」という曲は、2014年に山下智久さん主演の「近キョリ恋愛」という恋愛映画の主題歌です。
この曲には、その際のボーカル山口一郎さんの制作の苦しみが表れています。
一見ガチガチの恋愛主題歌に、普段恋愛曲をあまり歌わないサカナクションがタイアップ。
ファンの方々はご存じかもしれませんが、サカナクションの曲には「ただ会いたい」とか「あの人が好きだ」とか「ずっと一緒にいたい」とか一般な恋愛ソングで歌われるような曲はありません。
そんな中、曲の依頼がきた一郎さんは悩んだといいます。
恋愛映画にあうような曲をつくりたいが、サカナクションとして曲調ももちろんあります。
以下、一郎さんのインタビューの言葉です。
タイアップという部分で不器用な僕は、毎回悩むわけですよ。
シングルで自分たちの曲を作るというので、サカナクションとしてのストーリーもあるわけじゃないですか。
そのストーリーと、実際にその曲が提供される映画などのタイアップものに対するストーリーみたいなのをうまく結びつけなきゃいけない。
だって、 映画にとってあまり良い曲じゃなかったら、それはサカナクションとしてダメなわけですよね。効果がないわけだから。イメージも良くないし。
だけど、映画によりすぎて、サカナクションとしてあまり良い曲じゃなければ、それはまたちょっと違った話になる、と。その整合性を保つために曲を作らなきゃいけないというところが、タイアップの本当に難しいところだし、面白いところであるんですけど。
また最近のライブでも、よく一郎さんは話していますが、このときは、本当にバンドとして歌詞がかけない時期でもあり、自分たちがこれからどういう方向性の曲を書いていけばよいのか、思い悩んでいた時期だったそうです。
そんな中、ふと部屋にいた蜘蛛を見て、歌詞の書けない自分の状況、恋愛映画の恋愛だけではない部分と寄り添わせようとした結果、この曲が生まれたといいます。
作品を作り出す苦しみとは
歌詞がかけず苦しんでいて、期日はせまっている。
しかも、期待以上のものをつくりあげなければならない。
花びらを咲かせるまでの過程の苦しみをかいたように思えます。
だれか私を救ってくれる存在がどこかにいて、助けてくれるのではないか、と。
花揺る蓮までたれさがって
苦しむ僕をひっぱりあげてよ
これは本当に生活の一場面の歌詞をかくという行為にあたるかもしれませんが、
私たちも人生を生きていると、日々いろいろな苦しみにあいます。
乗り越えても乗り越えても、場所を変えても変えても、常に新しい悩みが生まれる。
ミュージシャンなら、ひとつ曲がかけて達成できたとしても、また新たに前作を超えるヒット作を生み出さなければなりません。
最高のライブができたとしても同じです。
結論:まず人生の本質にある苦を知ることから
蜘蛛の糸を書いた芥川龍之介は「人生は地獄よりも地獄的である」と言っています。
仏教では「人生苦なり」と教えられています。
「人生楽ありゃ苦もあるさ」と言いたいところですが、仏教では人生の本質は苦しみとハッキリ教えられています。
なにか楽しいと思えることがあっても、ほとぼりが冷めたあとは急にむなしくなる。
苦しみを乗り越えるために日々生きているけれど、この苦しみを超えた先に求めてる何かはあるのでしょうか。
苦しみをハッキリと教えた上で、その苦しみの原因、そしてその取り除き方を教えられたのが仏教です。
まずは苦しみを正しく見つめること(仏教では正見といいます)が大事です。大好きなサカナクションの曲からも、学ぶことができます。
ぜひこの記事を通してそのような仏教を学んでみるきっかけになれば幸いです。



















