無二の兄弟・エースの死への絶望からルフィが立ち直った理由とは?「愛別離苦」と“信念”について

最新巻である83巻が11月4日に発売された漫画「ONEPIECE(ワンピース)」。

夏に公開された映画「ワンピース ~ハートオブ ゴールド~」もシリーズ2位となる興行収入45億円を突破しました。ワンピース人気がまだまだ衰えることはなさそうですね。

今回は主人公・ルフィにとって大事な「仲間」「兄弟」のつながり、そして読者に大きな衝撃を与えた兄・エースの死から、信念の大切さについてお話しします。

ルフィにとって大事な「仲間」と「兄弟」

ワンピースの中で大きなテーマとなっているのが「仲間」や「」という言葉です。ルフィと麦わらの一味の仲間たちとは厚い信頼で結ばれており、互いが互いを常に支えあっています。

ワンピースを読んでいる人の多くは、ルフィたちのそういう強いつながりに憧れているのではないでしょうか。ルフィにとって、麦わらの一味は一番安心できる場所であり、何よりも大切な存在です。

自分をいつも支えてくれる存在があるのはとても心強く、幸せなことですね

そしてルフィにとってもう一つ欠かすことのできない繋がりといえば「兄弟」です。

ルフィには血はつながっていなくとも、本当の兄弟よりも強い絆で結ばれたエースサボという二人の兄がいます。
自分よりはるかに強く、常に前を行く二人の背中を追いかけながら、ルフィも強くなっていきました。

「兄」とは、ルフィにとって道しるべであり、目指す先であり、心の支えでもあります。家族がいなくても寂しくなかったのは、尊敬でき、頼れる兄たちの存在あればこそでした

ルフィの気持ちが揺らぐとき

このように、ルフィには仲間と兄弟という、とても大事な2つの繋がりがあります。

ルフィといえば食べ物(特に肉)に目がないという印象が大きいですが、実は何よりも人との繋がりを大事にしているのです。

その証拠に、いつも明るく前向きなルフィが本気で傷つき悩むのは、いつだって仲間絡みのことです

あるとき、シャボンディ諸島というところで、強敵によってルフィは目の前で次々と仲間を消されてしまったことがありました。

一人残され、がっくりと膝をつき、泣き崩れるルフィ。

仲間一人も、救えない…!!

悲痛な叫びと絶望的な表情は、それまで決して見られなかったものでした。

ルフィは自分が痛い思いをすることより、仲間を失うことを何よりも恐れているのです。それはひとえに、仲間たちがルフィの幸せの源であるからに他なりません

ルフィ最大の挫折である「エースの死」

ルフィは幼いころ、兄であるサボを失う経験をしています。

エース、おれは、もっと、強くなりたい!!
(中略)
そしたら…何でも守れる。誰もいなくならなくて済む…!!

(第589話「風雲の志」より)

サボを失い、傷心のルフィを励ましたのは、同じく彼の兄であるエースでした。

エースとともにサボの志を継いでいくことを誓ったルフィはもう一度立ち上がり、冒険に出たのです。エースという存在があればこそ、ルフィは迷いなく冒険を進めることができました。

ところがルフィは、そのエースをも失うことになるのです。それまでONEPIECEは「登場人物が死なない」漫画でした。

故人という形で描かれるキャラクターは別として、物語の時間軸上で現に登場しているキャラクターは、死んだように思われても後々生きていることが判明するパターンがばかりでした。

だからこそ、エースの死というのは特に印象的に描かれ、読者へ与えた衝撃もかなりのものだったのです。

そのエースの死に、一番衝撃を受けたのはルフィでした。何よりも守りたかった存在を目の前で失ったルフィは、自身最大の挫折を味わうこととなります

エースの死がもたらしたルフィの絶望感

ではなぜ、ルフィはそれほどまでに悲しんだのでしょうか?
それは言うまでもなく、ルフィにとってエースが唯一無二の大切な存在だったからです

自分を支えてくれる人とのつながりは、私たちに幸せを与え、生きる希望をもたらしてくれます。私たちはそういった支えがなければ決して生きてはいけません。

しかし生きる源でもあ支えは、同時に悲しみの源にもなりうるものです
大切な支えであればあるほど、それを失うショックは計り知れないものなのです

このように大切なもの、支えとしてくれているものとも別れなければならない苦しみを、仏教では「愛別離苦(あいべつりく)」と言われています。

親愛な者と別れるつらさ。親子・夫婦など、愛する人と生別または死別する苦痛や悲しみ。仏教でいう、八苦の一つ。

愛別離苦の意味 – 四字熟語一覧 – goo辞書

生きている限り、愛別離苦は免れないのですね。

ジンベエの叱咤激励とルフィの信念

エースを失い、悲嘆にくれるルフィをひたすら励ましたのは、ルフィとともにエース救出に尽力し、一部始終を見てきたジンベエでした。

ルフィ君、しっかりせえよ!生きにゃいかんぞ!
…エースさんがもうおらぬこの世界を…明日も明後日も。お前さん…しっかり、生きにゃあいかんぞ!!!

(第577話「畳み掛ける大事件」より)

このセリフを読んだとき、私はなんて切ない言葉なんだろうと思いました。
大切な人を失ってもなお、自分は生きていて、明日も明後日も日々は続いていく。

仮に私たちがジンベエのような立場だったとし、本当に本当に大事なものを失ったルフィのような人に対し、なんと声をかければいいのでしょうか。

もし、かける言葉を持たないとするならば、その人を立ち直らせることはできないし、自分が同じように大切な支えを失ったとき、二度と立ち直ることができないかもしれません

絶望のドン底にいたルフィですが、ジンベエの力強い励ましと、ルフィ自身の信念によってルフィは立ち上がることができました。

ルフィの信念とはご存知のように、「海賊王におれはなる!」という思いですよね。その何ものにもかえがたい信念あればこそ、ルフィは大切な兄・エースを失っても再び前を向くことができたのです

かつて、何重もの武器を仕込んだ強敵ドン・クリークと対峙したときも、ルフィが死をも恐れずにクリークに立ち向かっていけたのは、強い信念あればこそでした。

私たちもルフィのような強い信念を持つことで、大きな挫折からも立ち直ることができます。

そんな信念が見つかるヒントが仏教にあるので、ぜひ学んでもらえたら幸いです。