日々、煩悩に悩まされる私たちです。
さあ今回は瞋恚に続きまして、三大煩悩の一つ「愚痴」について解説いたします。
煩悩シリーズも6回目です。これまでのシリーズの記事は以下からお読みください。
「愚痴」の誤解について
「愚痴」と聞くと、居酒屋での同僚や友人との語らいをイメージしませんか?
「ほんと、あの部長、オレ(ワタシ)のこと分かってない!」
「なんでアイツがうまくいって、ワタシ(オレ)がうまくいかないの!」
などなど。お酒を飲みながら、まさにグチグチ語ってるシーンを想像しませんか?
実はこれ、愚痴の誤解なんです。
愚痴というのは正確には、口の行い(仏教では口業といいます)ではなく、心の行い(意業)なのです。
いままでお話したように、煩悩自体は心のことですからね。気をつけましょう。
なので愚痴という言葉は知っていても、みなさんの想像するものとは違うと思います。しっかり理解しましょう!
愚痴という、醜い心とは
ではあらためて「愚痴」の言葉を解説します。
まず字をみてみましょう。面白いことがわかります。
「愚」は、字の通り愚かです。
そして「痴」は、知恵が疒(病垂れ)の中に入ってます。つまり病院送り。こちらもバカという意味です。
なので、「愚」もバカ、「痴」もバカということで、バカな心を愚痴といいます。
「あれ、悪口かな?」と思うかもしれませんが、そうではありません。
仏教でいうバカは、私たちが考えるバカとは違います。
私たちがバカというと、物覚えが悪い、空気が読めないとか、そういったことですよね。
しかし、仏教ではそこで賢愚を決めません。
では何をもって決めるのか、因果律が分かっているかどうかでバカかが決まります。
つまり自業自得が本当の意味で分かってない心を愚痴というのです。
具体的には「うらみ」「ねたみ」「そねみ」の心をいいます。
ひとまとめにしてしまえば、嫉妬の心とも言えるのですが、これらニュアンスが実は違います。
詳しくは以下の解説記事をぜひご覧ください。
シチュエーション別、愚痴の心
ではどんな心が愚痴の心なのでしょうか。見てみましょう。
シチュエーション①:転職した元同僚が憎い!
同僚の吉田が、同じ業界の別会社に転職した。どうやら聞くところによると、いいポジションにつき、年収もあがったという。
対して、こちらは吉田がいなくなった穴を埋めるために、残業が強いられてる…。年収だってあがらない…。
なんだかムシャクシャする!!しかし目の前に吉田はいない…。うー、イライラする。。
シチュエーション②:イケメン医師と結婚した友人が妬ましい!
高校時代の友だちマリエから、突然LINEでメッセが。なんだろーと開いてみたら、なんと結婚報告!
驚いて、「おめでとー」と返した。そんなとき、どんなレベルの人と結婚したんだろと気になり、それとなく探ってみた。
そうしたら、なんとイケメンの医師という。
こっちは出会いもなくって、ひどい環境なのに、なんでマリエだけいい目にあうの!高校の時はパッとしなかったのになんで!!
シチュエーション③:世界で活躍するアスリートを見て、凹む…
はー、今日も仕事がうまくいかなかった。。最近の楽しみは家に帰って、好きなつまみと、ストロングゼロを飲むこと。
そしてダラダラ、スマホで動画を見るわけだが、今日はアスリート特集が目に入った。
自分と同じ年齢のテニス選手が、いま世界1位の選手と戦ってるという。そのために、日々の体作りに余念がない様子を生々しく映していた。
すごいなー、これで同じ年齢かよ。向こうは世界1位、こっちはお客さんに毎日頭下げて、家に帰ってお酒を飲む。なんだか泣けてきた。。
因果律が分かってない分析
と、3つのパターンを出しました。実はそれぞれが「うらみ」「ねたみ」「そねみ」だったりします。
これらすべて、因果律が分かっていないから生まれる心なのです。
言葉を変えると、自業自得(自分の運命は自分の行いで決まる)が分かっていないのです。
1つ1つ見ていきましょう!
シチュエーション①:転職した元同僚が憎い!
転職した人を恨んでいる心ですね。
これは自分の不幸が、他人の行いによって、作り出されているという考えです。
自業自得の考えとは反しています。
自業自得でいうと、自分の不幸は、自分の行いによって作り出されています。
色々と考えられますが、転職した人の穴埋めをしなければならないのは、当然のこと。誰かがしなければならないわけで、自分が当たるのは自然なことです。
吉田くんの転職がきっかけではありますが、吉田くんに当たるのは論外です。
もし吉田くんのように、キャリアアップしたいのであれば、吉田くんのように転職に向けての行動をしましょう!
ひがんでる暇はないですよ!
シチュエーション②:イケメン医師と結婚した友人が妬ましい!
結婚妬ましい問題です。これもあるあるシチュエーションですね。
相変わらず週刊誌のスキャンダルが多いのは、他人の不幸が大好物な私たちだから。
反対に他人の幸せがねたましいのは、愚痴という煩悩のためです。
自業自得で考えましょう。
マリエさんがイケメン医師と結婚したという結果は、マリエさんの行いがあったからです。
行いなく結果が生まれることはありません。
それを見ずに、高校のときの様子だけで、語るのは愚かしいこと。
こちらもひがんでる暇があれば、ほしい結果のために行動をしましょう!
シチュエーション③:世界で活躍するアスリートを見て、凹む…
最後もSNSがある今、よく感じる劣等感です。
同世代の人が活躍や成功をしているのをみて、いい気持ちになるひとはありません。
さきほどのようにねたましく感じたり、あるいは今回のように「自分なんて」と卑屈になったりします。
では自業自得で考えましょう。
世界1位の人と戦うには、相応の種まきをしてきたわけです。それこそ日々の体調管理です。
しかし、それはその人の運命であって、私の運命ではありません。完全別物なわけです。
比べて競争意識を生むならまだしも、卑屈になる必要はまったくありません。
いまあなたのできることを着実にやっていけばいいのです。結果はかならずあらわれます。
愚痴の心の解決策とは
ということで、愚痴の心について、ダイジェストにできるだけ具体的に解説いたしました。
愚痴の心のポイントは「因果律を知る」ことにあります。
まずはこういった煩悩があることを知り、その上でメカニズムを解明するために因果律を学びましょう。
ほかの煩悩解説記事もお楽しみに!