“独身、彼氏ナシ、女子会中毒の全国のタラレバ娘に捧ぐ!”
累計発行部数330万部突破の超話題作『東京タラレバ娘』。
今年1月からは実写ドラマ化され、3月22日放送された最終回の平均視聴率は11.1%に達しました。
ドラマでも描かれたのは、アラサー女子が
「ホラー漫画だ」「タラレバ娘の攻撃力高過ぎて瀕死」
と悲鳴をあげるほど、生々しいタラレバ娘たちの苦悩。
全国の独身女性たちがこれほどショックを受けたのは、タラレバ娘たちの苦しみは受け入れたくないほど身近でリアルなことだからでしょう。
このコラムでは「名言」とも言われる登場人物たちの突き刺さる言葉から、悩める現代女子が幸せに近づくヒントを探ります。
アラサーは「女の子じゃない」!?タラレバ娘たちを襲う辛すぎる真実
『東京タラレバ娘』を手にした読者が最初に大ダメージを食らうのは何と言ってもこのセリフ。
「いい歳して『痩せたら』だの、『好きになれれば』だの
何の根拠もないタラレバ話でよくそんなに盛りあがれるもんだよな・・・
オレに言わせりゃあんたらのソレは女子会じゃなくて
ただの・・・行き遅れ女の井戸端会議だろ
そうやって一生、女同士で、タラレバつまみに酒飲んでろよ!
このタラレバ女!!」
失恋して居酒屋で飲んだくれ、大声で騒いでいた33歳独身の主人公・鎌田倫子をドン底に落としたKEYという金髪の男(実は芸能人)の発言です。
タラレバばかり言っていたら
こんな歳になってしまった
私達にはもう
時間がないらしい
倫子たちと同じ衝撃を受けた女性は多いと思います。
その後さらなる不幸でまたヤケ酒し、泥酔した倫子たちタラレバ娘は店の前で転倒。目の前にはKEYがいましたが、表情一つ変えずスマホを触っていました。
香「ちょっとっアンタっ、スマホいじってないで手ェ貸してよっ」
KEY「……なんでオレが手ェ貸さなきゃいけないの?あんたら好きで飲んで好きで酔っ払ってるんでしょ?
酔って転んで男に抱えて貰うのは25歳までだろ
30代は自分で立ち上がれ
もう“女の子”じゃないんだよ?おたくら」
多くの女性読者に殺意を沸かせた(笑)KEYのセリフですが、これは世の男性たちのアラサー女子への当たりを表したものかもしれません。
筆者も含め、アラサー女子たち本人は、自分が「オバサン」という感覚はあまりないかと思います。
しかし実際には「酔って転んで男に抱えてもらえる」という「女の子」の扱いを男性が喜んでしてくれるのは25歳まで。30代は自分で立ち上がらないといけないのです。
これは一つの比喩であり、実際の社会におけるアラサー女子の苦しみを表現しているようにもみえます。
『タラレバ娘』で描かれる「アラサーの扱い」は現実世界にも?
業界や会社の社風、本人の容色や性格にもよりますが、入社して数年は周りにチヤホヤされていた記憶のある女子も、25歳を過ぎれば仕事力を求められるようになってくるのではないでしょうか。
放送作家・細田マサシさんにより書かれた記事には、華やかな業界で働く未婚女性2人のインタビューが紹介されています。
ここでは、容色の美しい女性社員A子さんが若い頃チヤホヤされ、そうでない女性社員B子さんが非常に苦労した経験談が語られていますが、A子さんの経験談はまさに「25歳まで」を痛烈に感じます。
「(A子さんが新入社員の頃は)言っちゃ悪いけど、テキトーでした。パッパッとこなせば、あとは男子の社員や上司が処理してくれるし。
実は同期や先輩の女子にもそんなに嫌われてなかったんです。けっこういろんな男子を紹介したからだと思います。だから、本当にあの頃は楽しかった。
戻りたい? はい、間違いなく戻りたい。
戻って、過ちを犯さないように20代をまっとうしたいです(笑)」
30歳を過ぎると、置かれる立場に変化が起きるのは、誰しも変わらない。
エリート美女のA子の変化は如実である。
「前ほどチヤホヤされなくなるの。気のせいでもなんでもなく、実際にそうなるんです」
(中略)
そんなA子を襲うのは、容赦のない非難と陰口の嵐である。
それはなぜか。答えは簡単。新人美女が続々入社するからだ。
男たちの興味が新しいほうに向くのは道理で、かつて自分が居座っていた、“なんでも許される甘えていいポジション”にルーキー美女が入れ替わるように入ってくるのだ。
「あの人、グループ長なのにどうよ」──は、まだいいほうで、「あの人、美人なのに仕事ができない」などと、周囲の後輩にコソコソと言われ続けるのだ。
これは華やかなテレビ業界の話なので、私たちの周りではここまで顕著な変化はないかもしれませんが、大なり小なり周りの扱いが変わってきたように感じるアラサー女子は多いと思います。
倫子もいわゆる「ギョーカイ」出身ライターという設定なので、「アラサーの扱い」はかなり厳しく感じているようです。
人生の主役を張るには、周りの風当たりがキツくなってきた気が…
と仕事中考え込む様子が描かれています。
まだ30代なのに!「タラレバ娘」で描かれるアラサーの苦しみの実態
KEYの毒舌な発言だけでなく、倫子自身もアラサーの苦しみを感じるシーンが『東京タラレバ娘』には数多く描写されています。
例えば倫子たちが失恋のショックから婚活パーティーに行く話では、イケてない男たちしか来ていない上、参加者も自分たちより若い女子ばかりですぐさま立ち去るシーンが描かれています。
婚活パーティー撤退後、居酒屋で頭を抱える倫子は、心中でこのように思っています。
いくつになっても自分が主役だと思ってた
人生という脚本のヒロインは私だと
本気出したら恋も仕事も手に入れられると
お呼びでない
恋に
仕事に
あの婚活パーティーに
お呼びでない?あっそうこりゃまた失礼いたしまっした♪
ってなわけにはいかねーんだよバカヤロー
さらに仕事でもアラサーの苦悩が押し寄せます。
若手脚本家のピンチヒッターとして脚本を書くことになった倫子は、ラブコメばかり書いてきたのに、急にデスゲーム系のシナリオを書くことになり壁にぶち当たります。
それでも
「このピンチをチャンスに変えてみせる」
と意気込んでいたところ、またもKEYが痛烈な一言。
「いや、あんたらの歳だとチャンスがピンチなんだよ。新人じゃないんだから結果出せて当たり前」
その後弟子が書いた脚本が面白いと採用されてしまい、倫子はすっかり意欲を失ってしまいます。
二十歳の頃は私達が考えていることが一番新しかった
年上の人たちはいつも
私達を見て驚いたり感心したり
でも私達って
もう新しくもなんともないんだな
世間からは「チャンスがピンチ」だという圧力を受け、辛くても「自分で立ち上がらないといけない」アラサー女子。
生きていく上での苦しさはアラフォー、アラフィフになるにつれどんどん増していくことでしょう。
今日医学が発達し、平均寿命は80年といわれます。
アラサーはまだ人生30年しか終わっていません。
言い換えれば、人生は苦しい期間の方が半分以上を占めるということです。
「時間(とき)は絶対に巻き戻らないんタラ」タラレバ娘を悶絶させる真実
そんな苦しみに満ちたタラレバ娘の一人・香の前に現れたタラとレバ。
彼らから耳を塞ぎたくなるほど恐ろしい言葉が発せられます…
タラ「現実の時間の流れはこの回転寿司のレーンとは違うんタラ」
レバ「時間の流れは一方向、回転なんてしないんタラ」
タラ「毎日、毎時間、一分一秒、あなた達は歳をとっていくんタラ
レーンは一方向に進む。時間(とき)は絶対に巻き戻らないんタラ」
時間(とき)は絶対に巻き戻らない。
年老いていくことは止められない。
これはこの世で最も残酷な真実であり、どんな人も逃れることができない人間の性(さが)ではないでしょうか。
筆者には中学生の頃、とても毒舌な友人がいまして
「あんたみたいな子供っぽい顔の子って、オンナっていう感じの華やかな時期がなくて、いきなり子供顔からおばさん顔になるらしいよ」
と言われたことがあり、当時はとても腹が立ったのですが(笑)最近毎朝、鏡を覗くたび友人の予言は真実かも…と日々、沈んでいます。
「時間(とき)は絶対に巻き戻らない」を実感する毎日です。
2600年前、悩めるアラサーに幸せになれる生き方を示した人とは
人間が老いていくことはどんなに科学技術が発達しても完全に止めることはできません。
そして人生の半分以上が「老い」の苦しみに覆われているのが、私たち人間です。
苦しい期間が人生の大半を占める人間がどうすれば幸せになれるのか。この課題を追求し、答えを得た人がありました。
それはお釈迦様です。
今日「四苦八苦する」という言葉が残っていますが、この「四苦八苦」はお釈迦様が説かれた言葉で、人間が逃れられない8つの苦しみをいわれています。
その8つの苦しみ(八苦)の中でも、特に苦しいのが「老苦」であり、老いの苦しみです。
そして誰ひとりとして、この老いからは逃れることはできない。
すべてのものは常がなく変わっていく、というこの世の真理を仏教では「諸行無常」といいます。私たちアラサーにとって最も身近で苦しい「無常」は、自身の老いではないでしょうか。
しかしお釈迦様は
無常を観ずるは菩提心のはじめなり
といわれ、たとえ直視したくない真実でもありのままに見つめることは本当の幸せ(菩提心)のはじめだと説かれました。
「もう少し若かっ『たら』」
と過去ばかり振り返って今の自分を嘆いていては、心は過去ばかりを振り返る「オバサン」になっていくだけです。
反対に今の自分をありのままに見つめ、先の未来をより良くしていこうと生きる女性の心はいつまでも若く美しいもの。
そんな、何歳になっても美しい女性になりたいものですね。