言わずとしれた国民的アイドルグループ、AKB48。
筆者が高校生のときにデビューしたAKB48は「会いにいけるアイドル」として東京の秋葉原を拠点に活動をスタートしました。
思えば2005年にデビューしたときは、秋葉原のオタク向けアイドルといった見方をする方が多くいたものです。
しかし今や日本人なら誰でも知っていると言っても過言ではない超大物アイドルグループ。
AKB48はグループを卒業して新たな人生を切り開こうとする「卒業生」も数多く輩出してきました。
そんな卒業生の一人、西野未姫さんの発言が先日話題を呼んでいました。
「家賃21万のタワマン戻りたい」元AKB48アイドル・西野未姫さんの発言が話題に
TBS系で5月29日に放送されたバラエティ番組「有田哲平の夢なら醒めないで」。
この番組に出演した元AKBの西野未姫さんの発言がニュースになっていました。
AKB時代に住んでいた家賃21万円のタワーマンションに戻りたい、と切望する場面があった。
また、西野は16歳の時にひとり暮らしを始めたが、AKBに所属していたこともあり、当時は品川のタワーマンション(家賃21万円)に住んでいたという。
卒業し、現在は荒川のマンション(家賃8万円)に引っ越したものの、今の家には風呂に追い炊き機能がなく、「頭を洗っている間に冷めちゃう。耐えられない」と嘆き、品川のタワマンに戻りたいと語った。
(総合ニュースサイト『ナリナリドットコム』より一部引用)
16歳のときに独立生活を始めた西野未姫さんの住まいは、なんと家賃21万のタワーマンションだったそう。
さすが国民的アイドル、まだ10代半ばでそれほどの収入があったことに驚きです。
筆者はもうアラサーですが、悲しいかな給料自体が月21万もありません(笑)
家賃4万円のワンルームから一人暮らしを始めた筆者からすると、夢のような羨ましい社会人生活のスタート。
西野未姫さんはAKB48卒業後、現在のマンションに転居されたのですが、タワマン暮らしから家賃8万のマンション生活への変化はかなりギャップが。
追い焚き機能のないお風呂のマンション生活はタワマン生活を知った彼女にとっては非常に苦しいものだったようです。
「耐えられない」
元大物アイドルが漏らしたホンネは、庶民からすると衝撃的で、ニュースになるほどに反響を呼んでいました。
元アイドルへ寄せられたのは厳しいコメント。でも、もし自分が同じ立場だったら…?
「しゃべればしゃべるほど炎上しそうな臭い」
「16歳でタワマンとか住んでたらそりゃ変にもなるか」
番組に出演していたタレントさんやネットユーザーからは中々厳しいコメントが寄せられていました。
たしかに筆者は西野未姫さんより10歳ほど年をとっていますが、家賃8万のマンションに住むのは難しく、追い焚き機能どころか自動湯はりもありません。
自動湯はりが無いと「ああ〜〜〜〜!湯が溢れてる〜〜〜!」なんてうっかりミスも起きるんですよね(笑)
そんな庶民からすると、まだ10代なのに求めている生活レベルが贅沢!という気持ちが出てくるのは仕方ない気もします。
しかし仮に私たちが西野未姫さんのように、16歳にして社会で成功していたら、どうなっていたでしょうか。
多くの人は16歳といえば、高校で授業のあと部活に熱中、休みになったら友達とお小遣いを手に遊びに行く…そんな生活をしていたでしょう。
そんな高校時代に、生まれ持った才能で活躍できるようになりタワーマンションに暮らせるようになっていたら。
19歳になって同年代の社会人と同じような生活レベルで暮らすことが「耐えられない」と漏らしてしまうような苦しみに感じてしまうのではないでしょうか。
生活レベルは中々落とせない。元AKB48アイドルの苦しみは、人間の欲の本質
筆者もレベルは月とスッポンですが、似たような苦しみを感じたことがあります。
先述したように筆者の一人暮らしのスタートは家賃4万円台のワンルームマンション。
友人の助けのおかげで、なんとか実現することのできた憧れの一人暮らしでした。
最初は机や椅子もなく、友人が譲ってくれたテレビボードをちゃぶ台代わりにして食事をしていたものです。
どうしても机と椅子が欲しくなり購入しましたが、今から思えばちょっと室内で動くだけで体のどこかをぶつけるほど、家具が密集していました。
異動で職場が遠くなり、通勤時間が片道一時間半以上かかることが辛くなったため、昨年職場に近い都心部の1Kに転居しました。
今の家は玄関ドアと居室の間にちゃんと廊下があり、お風呂も(追い焚き機能はないですが)広くなりました。
最初ちゃぶ台代わりになっていたテレビボードには、今はちゃんと本来の用途であるテレビが載っています。
しかし一方で、ワンルームから1Kに変わったので、家賃は上がり遣り繰りは厳しくなりました。
老後に備えてしっかりと貯金や投資をするなら、前のワンルームに戻るべきなのでしょうが、戻れる気がしないというのがホンネです。
一度上がった生活レベルの満足を感じるラインは、そう簡単には下げられないのですね。
そんな自分を振り返ると、西野未姫さんに決して厳しいコメントを言えない自身が知らされます。
一度上げてしまった生活レベルを落とせない人が多いのは、私たちが持つ欲の心の本質が理由です。
AKB48が毎年登場している紅白歌合戦。
一年の最後を締めくくるあの番組の後に鳴るのが、おなじみ除夜の鐘です。
除夜の鐘といえばご存知の通り108回鳴らされ、その数は仏教で説かれる煩悩の数と同じ。
アイドルでも一般人でも、どんな人にも人間には108の煩悩があります。
その中で最も私たちを悩ませ苦しませる煩悩の一つが「欲」の心です。
私たちは欲の心なくては生きられません。
社会や芸能界で活躍したい。安定した暮らしをしたい。良い家に住みたい…
そんな心あってこそ私たちは仕事や学業に精を出すことができます。
しかし欲の心の恐ろしいところは、底が知れないという点です。
今より高い生活レベルで生活したいという欲は、満たせば満たすほど更に高いレベルを求めたくなり、限りなく広がっていきます。
若い頃に高い生活レベルを知ってしまえば、それだけ欲が満たされなかったときの苦しみも大きくなる。
家賃8万円のマンション暮らしが「耐えられない」という元AKBアイドルのホンネには、私たち誰もが苦しんでいる欲の本質が隠れているのです。