不撓不屈の意味や使い方を解説!あきらめない精神で仏教をインドから中国に伝えた人も紹介

「不撓不屈(ふとうふくつ)」という言葉の意味を知っていますか?

今回はいろいろな場面で「不撓不屈」という言葉について解説しています。

こんな人におすすめ
・不撓不屈の意味を詳しく知りたい人
・不撓不屈を使い方を知りたい人
・不撓不屈を座右の銘にしたい人

不撓不屈の意味を知ると座右の銘にしてみたくなりますよ!

今回はどんな困難も乗り越えて不撓不屈の精神で仏典をインドから中国へ持ち帰った人についても紹介しますね。

まずは不撓不屈の意味から解説します。

不撓不屈(ふとうふくつ)の意味

辞書の意味を3つ紹介。

どんな困難や障害をも乗り越える強い意志をもっているさま
学研 四字熟語辞典

強い意志をもって、どんな苦労や困難にもくじけないさま
三省堂 新明解四字熟語辞典

どんな困難にあっても決して心がくじけないこと。
小学館 大辞泉

引用:goo辞書

つまり不撓不屈の意味を要約すると、「強い意思」でどんなピンチでも「くじけない」姿勢のこと

次にもう少し不撓不屈の漢字を分解して説明します。

不撓と不屈の意味

不撓は、

どのような困難にあっても屈しないこと。また、そのさま。「不撓な(の)気力」
引用:goo辞書

「撓」は、たわわと読みたわむ意味です。

たわむは枝がしなっている様子から「心が折れる」「くじける」イメージがあるのですが、それを「不」撓と否定することで強さを表現しています。

不屈は、屈しないということで、やはりくじけないことを意味しています。

不撓不屈という言葉、同じ意味の言葉を2つ重ねることで、意味を強調した漢字なんですね。

※ちなみに漢字を逆にして「不屈不撓」でも同じ意味で使えます!

不撓不屈の語源・由来

中国の『漢書「叙伝下」』に登場する「楽昌(がくしょう)」に由来します。

王 商(おう しょう? – 紀元前25年)は、前漢後期の人です。

楽昌篤実、不撓不屈(がくしょうとくしつ ふとうふくつ)
意味:楽昌は篤実で、不撓不屈だった

とあります。

侯は皇帝から渡される位のことで、「楽昌」というのは、楽昌侯「王商(おうしょう)」のことです。

訳すると「王商(楽昌)はまじめ(篤実)で志を曲げなかった(不撓不屈)」という意味です。

王商という人の誠実で、困難にくじけない姿が「不撓不屈」の由来になったんですね。

王商のエピソードとしては、民衆の間で「洪水が来る」という噂がたったとき、長安中がパニックに陥り、国の大臣たちまで「船で逃げるべきだ」と主張しました。

しかし、王商一人だけが事実無根だと動じず、当時の皇帝も王商の意見に従ったところ、ただの噂話だと判明し、王商の評価があがったということがありました。

王商は、後に最高位の補佐官になっています。

不撓不屈の使い方

ここでは状況別に不撓不屈の使い方をみてみましょう。

ビジネスシーン

たとえばシステムエンジニアがプロジェクトをやり遂げる場合です。

急なバグや人員の減少などの困難にも負けずに不撓不屈の精神で、部長はプロジェクトを完遂した。

スポーツ

相撲で有名なのは貴乃花が大関昇進と横綱昇進した際の口上の中で、不撓不屈の精神と使っていましたね。
平成5年1月場所後大関昇進
不撓不屈の精神で相撲道に精進いたします」
平成6年(1994年)11月場所後横綱昇進
「今後も不撓不屈の精神で、力士として相撲道に『不惜身命』を貫く所存でございます」

※ちなみに不惜身命は仏教用語です。また別の記事で解説します。

生き様を示す

生き様を示したいときは、服に刺繍して掲げてみるのもOK!
生き様を示せます。

参照:アメブロ

不撓不屈の類義語4つ

不撓不屈とほとんど同じ意味の言葉を4つ紹介します。

・七転八起(しちてんはっき)
・百折不撓(ひゃくせつふとう)
・不退転(ふたいてん)
・不惜身命(ふしゃくしんみょう)

七転八起

何度失敗しても諦めない意味です。

苦しいことがあっても何度でも立ち上がある姿がイメージできます。

ハヤテのごとくオープニングテーマのタイトルにもなっています。

百折不撓

百回折れても、くじけない様で、こちらも絶対にあきらめない意味ですね。

こんな風に座右の銘としても使われますね。

不退転

仏教が由来となっている用語ですね。

不退転の決意という使われ方が一般的です。

詳しくは下記で解説しています!

不退転の意味や使い方(決意・覚悟)を徹底解説!語源・由来は仏教の「悟りの位」

不惜身命

不惜身命も語源が仏教にある用語です。

かっこいい仏教用語ですので、詳しくは下記で解説していきます!

※すみません、記事準備中です。

最後に、不撓不屈の精神でインドから仏教の経典を中国へ持ち帰った人を紹介します。

玄奘三蔵法師の不撓不屈の精神

参照:Wikipedia

仏教を伝えた人で、不撓不屈の精神をもっていた人は誰かと聞かれたら私はすぐに玄奘三蔵法師と言います。

玄奘三蔵法師について簡単に紹介しますね!

玄奘三蔵法師とは

三蔵は、経蔵(仏教の経典)、律蔵(戒律)、論蔵(インドの高僧が書き残した解説書)の3つのことをいい、この3つに詳しくインドの三蔵を中国語に翻訳した人を三蔵法師といいます。

三蔵法師と呼ばれる人は玄奘だけではなく、複数人います。

たとえば鳩摩羅什、真諦、不空金剛など。

三蔵法師の中でも玄奘は、インドの言葉で書かれた仏典を中国語へ翻訳する作業に何十年も没頭するだけでなく、インドにある経典を自らの足で取りに行って持って帰ってくるという荒業までやってのけました。

インドへの旅は今では考えられないほど過酷なもの。。

どんな旅だったか玄奘を例に箇条書きにしてみます。

  • 車がないので馬や徒歩での移動
  • 靴は今以上に歩きやすいものではない(草履など
  • 唐(当時の中国)とは宗教も文化も全然違う国への旅
  • 唐の政治情勢が不安定で出国が認められなかったのに国禁を破り出国
  • 普通に山賊や盗賊がウロウロ
  • 道路は整備されておらず
  • いくつも山脈を超えていく
  • 水害・干ばつ・台風なども直撃
  • 片道だけでも命がけなのに往復することに
  • 経典をもってかえるだけで16年
  • 657部の経典を持ち帰る
  • 持ち帰っても力尽きることなく翻訳作業開始
  • 国家事業として予算を確保
  • 全部は訳せなかったが亡くなるまで翻訳を続ける
  • 玄奘の活躍がもとになって一宗一派(法相宗)ができるほどの影響

まだまだ様々な困難がありましたが、どんなに国難だったとしても、旅が厳しい状況であっても、不撓不屈の精神で翻訳事業を遂行したのが玄奘三蔵法師なのです。

もちろん玄奘だけではなく、他の三蔵法師もものすごい精神力で翻訳作業を推し進めたことが記録に残っています。

玄奘を動かした理由

命がけで翻訳作業に打ち込ませた理由は、お釈迦様の 教えの深さに魅了されたからでした。

当時の中国には経典の内容が正確に伝わっているとはいい難い状況だったので、「お釈迦の正しい教えが知りたい。そして教えを中国に広め、生きることに苦しむ人たちの救いにしたい」と考えられたのです。

「マルコポーロなど欧米人の冒険は「もの」を持ち帰ったが、三蔵法師はお釈迦様の「心」を持ち帰った」とも言われます。

三蔵法師が命をかけて伝えたかったお釈迦様の心「仏教」について、一度学んでみてくださいね。