「SNSで他人より上の人生歩んでますアピールしたい」
「チヤホヤされるの、だ~い好き!!」
強すぎる自己顕示欲を恥じることなく公言、その欲を満たすためにアイドルとしてデビューし、気に入らないことがあればボディブローで六つ子を吹っ飛ばす。
そんなゲス可愛い「おそ松さん」のメインヒロイン、トト子ちゃん。
今回は皆さんにもお馴染みのソーシャルメディア「Facebook」をテーマに、トト子ちゃんが苦しんだ「愚痴」の心についてより掘り下げて解説していきます。
※前回記事はこちら(この記事だけでも読めます)
チヤホヤされたいヒロイン、トト子ちゃんを襲った困難
魚屋を営む裕福な家に育ち、六つ子たちや街の人々にチヤホヤされながら、地下アイドルとして活動していたトト子ちゃん。
ある日、街に有名な芸能人たちが撮影にやってきてチヤホヤしてもらえなくなります。
さらにライバルである橋本にゃーは、アイドルを引退、ネット事業で儲かっているイケメン男性と結婚。
学生時代の同級生「ブス美」からも、子どもが生まれたと報告され、彼氏すらいないトト子ちゃんは固まってしまいます。
さらにブス美が取り出したスマホ。
画面にはFacebookのタイムラインらしき内容が映されており、でかでかと表示された写真は出産報告をする「バブ美」、娘の入園式の日記を上げる「デス代」…
幸せいっぱいな空気が伝わってくる、同級生の様子が公開されていました。
同級生が小学生の娘を持っているということは、トト子ちゃんもなかなかのお姉さんなのでは…いえ何でもありません。
(私もトト子ちゃんのことを言えない年齢です(笑))
おめでたいはずの周囲の近況を見聞きしたトト子ちゃんは帰宅後
「おりゃあああーー!!!ボケエエエエエ!!!」
と叫びながら冷凍マグロを殴り、蹴り飛ばしていたのでした…
トト子ちゃんを苦しめていたのは「ねたみ、そねみ」の心
それから両親に、苦しい胸の内を打ち明けるトト子ちゃん。
トト子「え~~ん!!!え~~ん!!何か最近変なの~!!気付いたら冷凍マグロをボコボコにしてるぅ~~!!」
お父さん「トト子、それは嫉妬というやつだ。」
トト子「へ?嫉妬?」
お父さん「ねたみ、そして、そねみ。」
トト子「なあに?それ?」
お父さん「え!?知らねえの!?」
トト子ちゃん「はじめて聞いた!」
お父さん「ええっ!?うーーーん、何つったら言いか…要は、相手を羨ましいと思ったんだ。だからストレスが溜まった。分かるかい?」
何故冷凍マグロをボコボコにしているのか分からないトト子ちゃんは、両親に相談。
お父さんが見抜いた原因は「ねたみ、そねみ」の心でした。
欲の心が満たされず、怒ることもできない相手に対して起こるのが、ねたみ、そねみの嫉妬心。
よく「愚痴っぽい人だ」というように、不平不満を吐くことを「愚痴」といいますが、仏教では「ねたみ、そねみ」の嫉妬心を「愚痴」といいます。
トト子ちゃんに「愚痴」を起こさせた“結婚・出産・入園式”の報告
トト子ちゃんのお父さんは娘が、ねたみ、そねみの「愚痴」の心で苦しんでいると分かりましたが、トト子ちゃんは今まで欲が満たされなかったことのない人生を送ってきたので、初めて抱いた、ねたみ、そねみの心が分からず、戸惑います。
トト子ちゃん「羨ましい?そんな風に思ってるのかなあ私…
だって、可愛いことに変わりはないし、いつも褒めてくれる信者は周りにたくさんいるよ?
例えば・・
アイツ(おそ松)でしょ、あとアイツ(カラ松)、アイツ(チョロ松)にアイツ(一松)、アイツ(十四松)とアイツ(トド松)…
…あれ!?あれ~~~~!?
もしかして私って周りってロクなのがいない!?」
トト子ちゃんの周りには、無職童貞ニートでルックスも冴えない六つ子たちしかいなかった!
対して同級生のブス美たちは結婚に出産、入園式…
トト子ちゃんが持たないものを得て、「私より幸せそうな生活」をしている橋本にゃーやブス美。
そんな女性たちを見て、トト子ちゃんは羨ましく思い、激しい「愚痴」の心に苛まれたのでした。
Facebookタイムラインで「愚痴」が大爆発
中でも特に強い「愚痴」でトト子ちゃんが苦しんだのは、ブス美から出産の報告と共に“Facebook”を見せられたときでした。
しかしこれは。何もトト子ちゃんだから苦しんでいるのではなくて、現実世界に生きる私たちも、「愚痴」の心に苦しんでいるのです。
デンマークで、あるグループにFacebookを一週間利用禁止にさせるという実験が行われました。
その結果、生活に対する満足度や幸福度が上がったのです。
それは何故でしょう。
実験の意図が解説された記事にはこのように解説されています。
人は、自分の人生を評価するとき、つい「社会での比較」をしてしまいがちです。
他人と比べて自分の人生はイケているのか、どれだけ自分のほうが優れているのか、というものさしで測ってしまうんですね。
それがFacebookだと、常に友達の投稿がニュースフィードに流れているため、無意識のうちに比較をしてしまう状況に陥るんだそう。そこでFacebookを離れたら、どうなるのか、というのが実験に至った背景です。
引用:https://techub.jp/124702
Facebookなどのソーシャルメディアで他人の身の上の出来事を見ると、ついつい比べて、自分と他人、どちらの方が幸せか測ってしまう。
そして他人の方が幸せに見えると、ねたみ、そねみの愚痴の心が吹き上がって、イヤ~な気持ちになってしまい、素直に友達の幸せが喜べない…
人の幸せが許せない愚痴の心は、トト子ちゃんに限らず、多くの人が苦しんでいるのですね。
現実世界の私たちはもっと「Facebook」の幸せ報告に苦しんでいる!?
マグロを蹴り飛ばすトト子ちゃんも相当怖かったですが、現実世界はもっと恐ろしく、妬んでいる相手を攻撃する人までいるそうです。
小野ほりでいさんという方が「インターネットマウント」という現象を紹介されています。
インターネットマウントの例として、彼氏とスタバに来ている写真をSNSにアップすると
「彼氏いるアピールしたいだけじゃねえか」
「汚い彼氏見せんな」
とフォロワーの女性たちに書き込みされてしまった、というケースが上げられています。
自分のふがいない状況や未熟さで劣等感を味わったりイライラしたら、その原因を取り除くというのが普通の対処よ。
しかし、インターネットマウント術は違う…。原因そのものには対処せず、劣等感やイライラの感情そのものを言語という名の拳で殴ることでストレスに対処するの。
引用:http://togech.jp/2013/12/16/4878
インターネットマウントをする人も、根底にあるのは「彼氏がいて羨ましい」という心でしょう。
ねたみ、そねみの愚痴の心に大変苦しんでいるのですね。
そんな愚痴の心に苦しんだトト子ちゃんは結婚相談所に行き、周りの女性たちを見返すため「石油王と結婚したい」と言いますが、スタッフに追い出されてしまいます。
トト子ちゃん「なによ~!?石油王を望んじゃダメなの?
犯罪?何罪?トト子うざい?はい、サーセン!
だって周りと差をつけたいんだもーん
皆に『イイ人生だね★』って言われたい!てか皆はそういうプレッシャーないの?
ぶっちゃけ私、チヤホヤされたくて息してるとこあるけどな~」
トト子ちゃんの発言は極端ではありますが、周りの人よりイイ人生歩んで、ほめられたい、憧れられたい、という欲は人間、大なり小なりあるでしょう。
しかしその欲求を満たすことは中々難しく、周囲の人間が羨ましがり、嫉妬心で苦しんでいるのが私たち。
周囲と比較して感じる幸せには、どうしても嫉妬心による苦しみが付き物なのです。
仏教哲学には、そんな生き方しかできない愚痴だらけの人間が、そんな心を持ったままで幸せになれる道が説かれています。
周りと差をつけたい欲が満たされず悶絶して苦しむトト子ちゃんも、その個性を持ったままで、幸せになって頂きたいものですね。